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ブレイクソード  作者: 遊者
獣世界
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第七十七話 獣世界4

「お前はいつも俺の邪魔をしてきたよな!!」本音をぶつけながら斬りつける。スキルも呪いも使わない。使うのは能力だけで真っ向からこいつを叩き潰して二度と出てこれないようにしてやる。


「邪魔?手助けを無下にしないでくれ」黒い影を器用に動かし攻撃を無効化してくる。何度見ても攻略できなかった鉄壁の守り。でも今日の俺は前よりも強い。


「生き方を強制するのが手助けなのか!?」渾身の七連撃を体のど真ん中に撃ち込み、後方に吹き飛ばす。


「最善の策を取るのが世界を上手く生きる方法なんだよ」束縛は体を前に倒しながら形を変えていく。背中から蝙蝠のような翼が生え、赤い棘が全身を覆う。顔も真っ黒から色が付き、表情が簡単に見れるようになった。


だがむかつくのはその顔が命を落としてまで戦った二人の顔に少し似ていることだ。世界樹まで一緒に苦楽を共にした仲間をこんな風に扱う奴は___ゴミだ。


「侮辱すんじゃねぇぇ!!」地面を抉るように蹴り、急接近を試みる。瞋恚の炎が内側から完全に燃やそうとしている。


「侮辱?これはしょうさんだよ」不敵に笑うアイツの顔はどこまでも生命を馬鹿にしている。


「黙れ!!」怒りを短剣に込め汚い翼を切り刻んでいく。手に伝わる嫌な感触が記憶と連動して、胸が痛くなる。綺麗な顔が痛みで少しだけ歪んでいく。もう楽にしてあげたい。二人にはもう安らかに休息を取ってほしい。


「中々痛いね。最初の頃とは実力が違うみたいだ」~縛棘~

棘が四方に爆散していく。見切れなかった俺に直に棘が突き刺さる。咄嗟に顔を守った判断はいいと思うがそれ以外は駄目だ。


「ぐっ!!」バックステップを取りながら棘を抜いて行く。棘には返しが付いていて抜くたびに傷が増えていく。涙が出るくらいに痛いが、今は我慢する時だ。


「縫い付け」束縛がそう言葉を発すると、地面に落ちた棘の影と俺の影かくっ付き身動きが取れなくなった。影使い、が頭の中をよぎったが考えている暇はない。ここから脱することが大前提だ。


「おらあああぁぁ!!」~世界加速~

体に力を入れ自分自身を加速させる。反動がきついが克服するための過程。目を瞑ろう。俺の事を縛っていた影を振りほどき、遥か上空に吹っ飛んでいく。


呆気に取られていた束縛は事態を理解すると舌打ちをして、次の段階に移行していた。もう遅い。加速した世界で自由に動けるのは俺だけだ。


「悪あがきは止めてくれよ」地面に根を張りながら束縛は棘を飛ばしてくる。色も形も様々だが当たれば縛られるか、相当のデバフを受けるのは間違いないだろう。


「お前に縛られるのはもう嫌なんだ!!」回転しながら短剣を振り棘を斬り伏せていく。狙うは地面にバクテリアの様に張り付く忌々しい呪縛。


回転しながら狙いを定める。視野が少しだけ狭くなった俺に棘が突き刺さる。直後少しだけ体が重たくなった。やはりデバフだったかと思うと同時に、このくらいかと思えた。


ようやく、幼い頃から頭の中で囁き、恐怖と怒りだけで俺の事を支配してきたこいつに終止符を打つ。


「俺は生きる!!」~自由加速~

短剣に蒼の光が宿る。今までに見た頃が無いくらいに神々しい光。自由の象徴である青と酷似したそれは、意志を尊重するように背中を押してくれる。


「畜生!!なんでそこまで自由になりたいんだ!?」数多の剣の軌跡が重なり呪縛の影を照らしていく。そして徐々に、確実に見覚えのある顔に変容していく。頭では分かっているはずなのに手が止まる。


ブレイク、ブラン、レーネ、フィーレ。四つの顔に埋め込まれた瞳が俺の事を睨んでくる。許さないと言わんばかりの眼光の鋭さ。その風貌に怯む。


でも俺はもう行かないと。この先に。縛られないように、世界を楽しむために越えなくちゃならない。ダストにも言われた。目を覚ます時が来たんだ。楽しい夢からも、うなされる様な悪い夢からも。


「ごめんなさい,,,」強張った手を無理やり動かし、攻撃を続ける。当たるたびに歪んでいく顔。喉が潰れるのではないかと思えるくらいの悲鳴。記憶から苛まれていく感覚に吐きそうになる。


「やめて、やめて!!」レーネとフィーレの声が聞こえる。世界樹に行くとき何度も聞いた活発な少女と穏やかな性格が分かる声。挫けそうに、折れそうに、砕けそうになった時に何度も連れ戻してくれた俺の心の拠り所。


「仲間でしょ!?」ブランさんの声が聞こえる。自分の力を信じて前に進む背中が頭に浮かぶ。山龍と戦った時は恐ろしい成長ぶりに震えが止まらなかった。今何をしているのだろうか。学校でその才能を伸ばし続けているのだろうか。


「馬鹿なことは止めろ!!」ブレイクの声が聞こえる。神聖な赤い髪を揺らす俺が知っている中で誰よりも自由に生きる男。時に大胆で、時に冷静な判断を下す、信頼できる仲間。勇敢に戦いを、世界を潜り抜ける背中に憧れるのは、俺だけか。


沢山の記憶達が目の前に現れては攻撃を止めるように訴えてくる。神がいないのは模倣できないからだろう。


「やめろ!アクセル!ここまで育ったのは誰のおかげだ!?」傷のせいで再生できない翼と棘は、液体の様に溶けて地面に染み込んでいく。顔も黒く塗りつぶされたいつもの憎たらしい顔に戻った。


ここまで来ると抵抗ができないのか、それとも俺の意志に敗けたのか、ただただ俺の攻撃を受け続けた。そして肉を切る感触から硬いものに当たった感覚があった。強引に押し広げるとそこには根源である石が埋まっていた。


「今までありがとな,,,」淡く光る石の塊を見つけて礼を言う。ここまで生きてこられたのはこいつのおかげ。なぁ運命、これまではこいつの分。これからは俺の分ってことでいいか?


「不幸者が,,,!!」


「お休み」短剣を核に突き立てて粉砕する。最後に見せた呪いの顔は、憎しみや怒りと言った負の感情ではなく、巣立っていく子供を見るような母の顔だった。


最期にそんな顔を見せられたら,,,


「堪えられなくなるだろ,,,」上を向くが、涙が止まらない。本当はもっとましな解決策があったのかもしれない。俺が不器用なばかりにこんな結末を迎えることになった。


「自由に生きな」どこかから束縛の声が聞こえた。本当に呪いってのは人の心の隙間に入り込むんだな。


「そうするよ」光を乱反射させる砕けた核を見ながら呟く。これから俺の生き方をする。闘争なんて運命も此処で終わりだ。舞台で踊るだけの道化はもう死んだ。最後の最後で大どんでん返しをする主人公に成ろう。


「試練は終わりだ」覚悟が決まったタイミングで空を滑空しながら火を纏った鳥が近づいてくる。ナギサや八咫烏と同じ雰囲気を感じる。恐らくは神だろう。


「背中に乗れ。獣世界に返してやろう」翼を大きく広げながら鳥を見て、軽く地面を蹴って乗る。俺が乗ったことを確認した鳥は翼を大きくはためかせ空を飛び始めた。


次々に変わっていく世界に釘付けになる。深海に大樹。神界に巨峰。峡谷に渓谷。雷が落ちる魔境に、七色の鳥が群れを作りながら生きている秘境。


未知が放つ不思議な魅力に笑みがこぼれる。追う側から追われる側に。憧れからその先に。あいつらと会うときまでには自分の人生の主人公に成れる気がするからな。


「なぁ、俺今スゲェ強気な事を言った気がするよ」


アクセルが束縛の呪いから解放されました。残りの呪いは二つです。

世界樹の防人に安らぎが与えられました。これにより二人の顔に喜びが生まれました。

亜人たちに祝福が与えられました。これにより亜人たちの身体能力が跳ねあがります。

軸が更に不安定になりました。これにより***が不機嫌になりました。それを***が嘲笑っています。***は傍観を続けています。

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