七十一話
~***視点~
「あああああああぁぁぁ!!!!!!」自分の鼓膜が破れるのではないかと思うくらいの声量で叫び、周囲の物を蹴散らしていく。
「なんでうまくいかない!?お前らが望んだものだろう!?なぜ拒む!?理解ができない!!!」魔力をため込み、爆発させ空間に亀裂を生じさせる。
「僕はなりたくてなったんじゃない!壊したい!世界を!空間も!時空も!全てを!!」俺の怒気に合わせて天地が割れる。鼓動に合わせて大気が震える。
「でも僕は、この世界を愛している!だからできない!!」壊れた世界を魔法を使い修復していく。死んだ生き物も全て。
「だれか殺してくれ!アイツを!アイツを!!アイツらを!!!」私ができないことを誰かにやってもらうしかない。でもそれは叶わない。全てが幻想で終わる。でも夢を見たっていいだろう?
「殺さなくてもいい!!少しだけおとなしくしてくれればいい!それだけだ!なのになんでできないんだ,,,,,,,,,」我の無力さに涙が出る。でも存在してはいけない涙なのか、地面に落ちる前に揮発した。
そんな光景を見てまた涙が出る。初めは叶わないこと何一つなかった。でも今は束縛されるばかりで望むもの全てが手のひらから滑り落ちる。
「神よ!想像神よ!何故余を生み出した!?理由も分からぬまま大界に捨てられる気持ちが分からぬか!?」行き場の無い感情をただひたすら口に出す。こうでもしないと気が狂う。いや、元から気なんてないのかもしれない。元から狂っていただけなのかもしれない。元に戻るだけなのかもしれない。
「そうか!回答すらない愚問だったか!」天を仰ぎ、ただひたすらに続く蒼い空を見る。
「なら俺が自分で見つけよう!お前が生み出した正解の盾を!!」亜空間から考えられるだけの武器を取り出し、構える。両手は魔力の塊で埋め尽くされている。
「不正解の剣で砕いて見せよう!!!!!!!!」全ての武器を魔力を空に向かって穿つ。あらゆるものを無視して進んでいくそれは酷く懐かしく、僕が望んでいたものだった。
「待っていろ。必ず俺が手にして見せる」無くなった魔力を自分から差し出し、世界を再構築する。いや、巻き戻しと言った方が正しいな。
「いつかの話ではなくなった。時間が解決する話でもない。己が動いて成就するものだ」ぼやきながら全ての軸を観測する。不自然な動きがあってもいいだろう。自由にやってもいいだろう。でもそれは終わりが来る。どんな形になるか分からないが、今はただ、牙を研ぐしかない。
王国で自由に動いた奴ら。魔王、ブレイク、ブラン、そして姿を見せないゼロ。あいつらだけは殺さなくては。




