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ブレイクソード  作者: 遊者
交差点に向かって
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第五十話 いつかの戦場

~アミス視点~

「ラヴィ!前方から新しく赤竜二体!後方の陣形が崩れそう!」槍で飛んできたブレスを弾きながら相棒に状況を伝える。正直このままじゃ私たち帝国騎士が帝国に辿り着く前に死んでしまう。


最悪の事態は前衛である私とラヴィ、タンクが死ぬことだ。そうなれば雪だるま方式で後衛の人間はなすすべもなく死ぬ。


「了解!後方は陣形を維持できるように後退!前方は私とアミス、タンクが抑える!」ヴァミリアを展開しながら彼女は竜の足元に突撃していった。私もそれに追随するようにヴァミリアを展開していく。赤い雷を纏いながら周囲のモンスターを蹴散らしていく。


本命の竜はラヴィが何とかしてくれる。私がするのは周囲のモンスターを殺すこと。そして後方が魔法を詠唱する時間を確保すること。タンクのシェルダに回復が回らないかもしれないが、ポーションと私の回復魔法で何とかなるだろう。


「っち!アミス!回復を頼む!!」腕を吹き飛ばされたシェルダが回復を要請している。傷が深い,,,できても止血だけだろう。このまま戦場に残ったら現役復帰は望めないだろう。と言いたいところだが、彼の再生パッシブは頭がおかしいくらいに高い。翌日には腕が、さらにその次の日には指まで戻っているだろう。機能回復なんて三日もいらない。


「了解!」回復魔法を唱えながらポーションを当てを傷口を治す。腕の部分は潰れたように肉が丸まっている。申し訳ないがここを勝つためには仕方のない犠牲だ。


「もっとまともに直せよな!」シェルダが愚痴を溢しながら盾を張り直している。魔法障壁に物理障壁。彼の腕前は帝国随一だ。「腕なんて飾り、精神が物を言う」彼の口癖だ。このくらい目を瞑って欲しい。


「うるさい!目の前の敵に集中して!」赤雷を纏いながら周囲のモンスターを貫いて行く。質は悪いが量が多い。後方にまで手が伸びるのにも納得がいく。


「分かってるよ!ヘイト・シールド!」彼が赤く不気味に光る。瞬間モンスターの殺気が全てシェルダに向く。帝国が崩壊しない理由は優秀過ぎるタンクがいるからだ。物理、魔法を完全に防ぎ、怪我をしてもすぐに帰ってくる不屈の精神。


「ナイス」~赤雷槍~

シェルダも敵も纏めて攻撃する。彼はタフだから何とかなるだろう。それよりも竜の方が気掛かりだ。すぐに雷を装填して竜に向かって疾走する。後ろから罵声が聞こえてくるが気のせいだろう。


「アミス!この竜は強い!!」攻撃をいなしながらラヴィは魔槍でチャンスを窺っている。二体の竜は完璧に息を合わせて確実に追い詰めているということが分かる。


「後方の支援はまだ!?」後ろで詠唱をしている魔法使いたち聞く。攻撃魔法じゃなくて支援魔法や回復魔法を使ってくれる方が良い。帝国は接近戦は強いが魔法戦は弓兵を使った戦いは得意ではない。


「ストロング、アクセラレーション、リジェネ行けます!!」


「今すぐ使って!防衛はシェルダ、前衛がやって帝国に!ここは私たちで守る!!」全身に力が漲っていくのが分かる。世界がゆっくりと流れていく。バフ魔法がしっかりとかかっている証拠だ。


「了解!お前ら団長命令だ!引き上げるぞ!!」シェルダの声で前衛が下がっていく。竜以外の攻撃はあまり強くない。むしろモンスターが邪魔にならないように端に避けるようにしている。統率がうまく取れているモンスターはあまり聞いたことが無い。災禍が生み出したモンスターはとてつもない連携で世界を破壊に導くらしいが今は関係ない。


「アミス、またこうなるんだね」


「そうだね。でも切り抜けられる」魔槍を展開して従来の威力よりも格段に上昇したヴァミリアを構える。ラヴィは魔力を流して雷を発生させている。でも彼女の槍の方が数段火力が高い。魔剣や魔槍などは使用者で威力が変わる。


「ホント、あなたは強いわ」~赤雲~

魔力が一点に集まり、爆発したかと思えば天を貫き空に大きな穴が空いた。そしてそれを補うように赤い雷が居場所を求めて奔っている。彼女の得意技の赤雲雷が来る。これは少し離れていた方がいいかも。


「ラヴィには遠く及ばない」雷を纏い範囲外に出る。その間に周りにいるモンスターに雷を飛ばし麻痺させるか、息の根を止めて増援が来ないようにする。戦場で役に立つのは肉の壁だ。重いし壊れるまで何度でも使える。非常に合理的な物だ。


ピリピリと空気が張り詰めていくのが分かる。今回は最大火力で行くみたいだ。竜たちも異変に気が付いているがもう後には引けないのだろう。力を振り絞ってラヴィに攻撃を仕掛けている。しかし全て軽々といなされ攻撃は空を切る。


「誉め言葉ありがとう!」~赤雲雷~

ラヴィが持っていた槍を地面に突き刺すと天から地面に向かって巨大な雲の塊が落ちてきた。大気を揺らし、地面を抉りながら竜を飲み込むそれは生命を拒絶していた。雲の跡に残るのは赤い雷と血だけだ。


「これで終わり。アミスは残党でも狩っておいて」槍を引き抜いて適当な岩の上に座って飲み物を手に持ち休憩を始めた。私は活躍していないから言われたとおりのことをしよう。


「分かった」索敵スキルを発動させて周囲にいるモンスターの総数を確認する。数は百と数十。弱い奴ばかりだから手こずることは無いだろう。


「ふっ!てやっ!」槍でモンスターの体を貫きながらこの後の事態を考える。ここから帝国に帰るためには数ヶ月はかかる。その間にシェルダ達と合流しなければいけないし、食料のこともある。


それに追手の龍が気になる。上からの要請で活発化している龍の調査に乗り出した。それが龍の逆鱗を撫でることになった。暴れていた龍はさらに暴れるようになり、私たちが通った道は焦土と化している。今は私体はそれから逃げるように行動している。


今回の件は上と取り合うのではなく帝国にぶつけて解消するということを騎士団の中で決めた。腰の重たい連中だ。私たちが起こした不祥事の始末なんてしたくないだろう。


「ラヴィ、終わったよ。早めにシェルダと合流しよう」索敵スキルの範囲にいたモンスターは全て殺して、使えそうな素材は魔法空間の中に放り込んだ。飲み物も魔力とスタミナがあればなんとかなる。


「そうね。でも今日はもう無理じゃないかしら」夕日に照らされる彼女を見て気が付いた。今日が終わろうとしている。暗い中で行動するのは危険だ。方向感覚が奪われるし、精神も削られる。


「キャンプ地の設営をしよう。龍が心配だから見張りは交代交代、異変があったら伝える方針で。三日以内には合流しないと不安がシェルダ達を襲うから」魔法空間からキャンプに必要なものを取り出しながら、今後の計画を話す。私はこれでも帝国の中では頭が良い部類だ。ラヴィは下から数えた方が早い。


ラヴィは綺麗な顔立ちから考えられないがスラム育ちだ。生まれたときから生涯孤独。その手を取ったのが帝国騎士団だった。その日から忠誠を誓い戦う彼女はありえないスピードで団長まで上り詰めた。


「そういう難しいのはアミスに任せるわ。あと団長って呼んでくれない?あなただけよ。いまだに団長って呼んでくれないの」少し頬を膨らませながら焚火をする彼女は幼く見える。これでも二十三だというのだから驚きだ。私よりも五歳年上。団長とかよりは姉さんって感じがする。


「無理、拒否、嫌だ。ラヴィはラヴィって名前がある。団長だけじゃ省略できない」


「ならラヴィ団長って呼べばいいじゃない」


「それも,,,何か違う。ラヴィはラヴィのままがいい」焼けた肉を皿に乗せて手渡す。


「そーですか。私は馬鹿だから舐められてるんですね」そっぽを向いて肉を頬張る彼女は私よりも明らかに幼い。


「舐めてないよ。尊敬している。これは心の底からの本音」赤い瞳を真っ直ぐに見つめて断言する。私よりも後に騎士団に入って力だけで上に立ち、垣根無く人と話す人物。憧れを抱くのは当然だろう。


「その顔、本当にずるいわ」笑いながらこちらを向く彼女は大人びていて、敬意を表したくなる。


「,,,,,,,,,,団長もね」


「今なんて言ったの?ねぇ、もう一回言ってみて!?」小声でつぶやいたつもりだが聞こえていたみたいだ。肩を掴まれてグワングワンと体を揺らさせれる。


「酔うからやめて。後ご飯が冷える。折角作ったんだから美味しいうちに食べよう」スキルを使って拘束を解く。呆気にとられる彼女を横目に肉を口の中に放り込んでいく。肉汁が溢れ出て本当においしい。オークは臭みも無いし、脂が程よく付いている。


「はぁ、今日は早めに寝ましょう」私の姿を見て諦めたのかおとなしくご飯に手を付け始めた。そして見張りのために肉を燻ていた。


「ねぇアミス。私今回の調査が終わったら海を見に行かない?本とかでしか知らないから実際に見たいのよ」


「行こう。そして,,,」


「があぁぁぁあああ!!!!」耳を塞ぎたくなるような咆哮が私たちが通ってきた道から聞こえた。


「この咆哮,,,!!龍がすぐ近くまで来ている!!」ラヴィがいた場所に目線をやると彼女はそこには居なくて、龍がいるであろう場所に駆けていた。急いで魔槍を展開して戦場に走った。森を抜けた先に広がっていた光景はどんな光景よりも凄まじいものだった。


地面を焦がす灼熱の炎。木々を薙ぎ払う龍の咆哮に尾を活かしたリーチのある攻撃。それを必死に受け流す槍使い。


「アミス!あなただけでも逃げて!この龍は私だけで食い止める!」雷を纏いながら汗をにじませる団長は今までに見たことが無いくらいの形相をしていた。


「それは嫌だ!ここで逃げたらみんなが死ぬ!!~赤雷槍~

龍の足元に雷で出来た槍を突き刺し足止めをする。少しだけ怯んだがすぐにブレスを吐き牽制をしてきた。この龍は本当に強い。調査を頼まれたときから嫌な感じがずっとしていた。へばりつくようなジメッとした死の気配。


「私の実力を舐めてるの?本気を出せばこの龍なんて一撃よ」~赤雷槍天~

天空から巨大な雷の槍が龍の体を貫き爆散した。彼女の手には魔槍ヴァミリアが完全展開した状態で握られていた。三叉槍で雷が大気に放たれ、捻じれた柄は真っ赤になり、手には雷紋ができていた。


「ほらね。こんなの一撃,,,ってわけにはいかなさそうね!」再生した龍は咢を大きく開けラヴィを喰らわんとしていた。それを見越していたのか槍を横にして口が閉じるのを防いでいた。しかしそれも束の間なのだろう。槍は展開状態が終わろうとしている。魔力切れが近い。


「装填!アミスいいから早く逃げて!」最後の力を使っているのか槍がまた最大展開状態になり、龍の顔の半分を吹き飛ばした。それでも致命傷には至らない。龍はまた再生を始め攻撃の態勢を取り始めていた。


「正直あなたは弱い。足手纏いよ」彼女は嘘を吐くときに顔を見ない。


ガリガリガリガリ。何かが削れるような音がする。槍の音なのか精神の音なのか。見当もつかない。分かるのは私はこの場に必要のないということだ。


「,,,,,,,,,,分かった」彼女に背を向けてシェルダ達が後退した方向に駆ける。後ろからは熱い炎と痺れるほどの雷が飛んできている。


「ごめん、本当にごめん。ラヴィ、私が弱いから」暗闇の中を走っていく。足がもつれて上手く走れない。彼女の言葉が私の心を抉る。


惰弱、虚弱、脆弱、薄弱、たくさんの言葉が頭の中を埋め尽くす。彼女はあの龍に殺される。それは直感的に分かっていた。恐らく、ラヴィもそうだろう。死を覚悟してそれでもなお任務の遂行を優先した。


「おえぇ,,,」口の中から吐瀉物が溢れ出る。依然後ろから戦闘の音が聞こえる。だが、さっきよりも激しさを増している。恐らく互いが全力で戦っている。


「ごめん、ラヴィ」自責を謝罪の言葉が口から無限に出てくる。涙も止まらない。戦友の姿を見ることすら許されない自分を殺したくなるくらい憎かった。


そんな心境の中で三日三晩休まずに歩いて私は力尽き、目を覚ました時には帝国に運ばれていた。時間にして一年と数ヶ月。医者からは奇跡と言われるくらいには回復は見込めなかったそうだ。


調査した龍は赤龍の変異個体だったようで帝国に攻め込んできたところを殺したということをシェルダから聞いた。ここまで運んできてくれたのも、看病をしてくれたのもシェルダだ。


全幅の信頼を寄せていた彼から放たれた言葉は私を締め付けるようになった。「ラヴィが死んだ」短くも残酷なその言葉を受け入れることができなくて私は激昂した。


「そんなことはありえない!!」自分の傍に置かれていた食べ物を投げつけ、シェルダに獣のように噛みついた。そんな私を憐れむように彼は優しく抱きしめた。それがまた私の心を壊した。


そこから記憶が飛んで気が付いたらラヴィの死んだ顔が目の前にあった。彼女は帝国に反逆をもたらそうとした犯罪者として防腐魔法をかけられて晒し首にされていた。そこで泣き崩れた。周りからは石を投げられた。反逆者に情を持つ社会不適合者と言われて。その時にまた私が死んだ。


見方を変えればそう捉えることもできる。龍の調査に失敗してその尻拭いを帝国にさせようとしていた。実害は無かったらしいが上層部にも面子があったのだろう。騎士団長が失敗するという最悪のことを悟られないようにするために。


そのあとは暫く私は病院の中に閉じ込められていた。精神的に不安定だから。何日も飲まず食わずの私にシェルダは軽蔑するような目で見てきた。皇帝に何かを吹き込まれたのだろう。


そう思った時に私の中で帝国が彼が、死んだ。今まで忠誠を誓い戦ってきた自分が馬鹿らしくなった。病院を展開で破壊して物品庫に走った。


そこで帝国から貰った魔槍ヴァミリアをへし折り、彼女の首と彼女のことを刺していた魔槍ヴァミリアを白昼堂々と奪還した。見張りに止められたがそんなことを気にしている場合じゃなかった。


私の中で彼女が死ぬ。それだけは避けたかった。魔槍を展開して私はなだれ込む帝国騎士達を迎え撃った。その中にシェルダもいたが、彼はもう死んでいた。帝国に尽くす彼はもう私の仲間じゃない。彼も私のことをそう認識していただろう。


「アミス!帝国を敵に回すのか!?」予想通り彼は敵意と殺意を剥き出しにして盾を構えていた。彼の盾にはたくさんの仕掛けが施されている。毒を噴出させたり、魔法を飛ばしたり、武器を飛ばしたりと様々だ。


「私は帝国を敵に回す!ラヴィを滅茶苦茶にしたお前等を絶対に許さない!!!」魔槍を完全展開状態にして赤雷を発生させる。彼女が見たかった海を見せるためにもこんなところで止まってなんかいられない。


「そうか!ならお前を殺しても問題はなさそうだ!行けお前ら!!」銀の甲冑を身に着けた騎士たちが突撃をしてくる。こいつらに攻撃をしてもシェルダにダメージが行くだけで殺せない。


「来い!全力で殺してやる!!」瞋恚の炎を滾らせていた私はヴァミリアに代償を払い、さらなる力を得ることができた。最大展開のさらに上。赤い雷が自由自在に騎士たちの合間を駆け巡り、一瞬にして塵にした。


「残るはシェルダ!お前だけだ!」~神槍ヴァミリア~

雷を装填して解き放つ。軌跡を残しながら敵の体を穿つそれは神の槍。私にとって邪魔なものは全て貫いてくれる神罰の代理。


「アミス,,,いつか後悔するぞ」彼は血を噴き上げながらそう言った。そんな彼の声が鬱陶しかった。だからとどめを刺した。私の手で直々に。展開を終えたヴァミリアを喉元に、ゆっくりと確実に、葬るために。


「じゃあね」ザシュ!と小気味のいい音と共に彼は息をするのを止めた。


そこからは帝国からの追尾を振り払って大陸を渡った。全世界に指名手配をされたが私の外見は数ヶ月で別人に変化した。十数歳の間に刻んだ皺は無くなり、背丈も小さくなった。それに言語能力も低下した。


私がヴァミリアに払った代償は己の経験値。戻ってくる条件はラヴィに出会うこと。そのためにも私は神の門を探した。不可思議の領域で出会えるということを旅の噂で聞いた。


数年かけて探索したが手掛かりは掴めず、探索を諦めて帝国に復讐をするためだけにギルドで名を挙げ力を付けた。そんなときに歴史の追跡者という人物と出会った。これが私の人生の分岐点だった。


彼と打ち解けるのに時間はそういらなかった。同じ目標を掲げて同じ場所に向かうために世界各地を歩き回った。そして今の私たちじゃ力が足りないと理解した彼は一つの街に居座り強者が来るのを待った。


彼は情報を集め強者を、私は現地に赴いて強者を探した。それが蒼い髪の青年。ブレイクだ。彼は甘いところがあるが、信頼を寄せるのには十分な人物だった。自由度の高い技に表裏の無い性格。それに仲間を大切に思う気持ちがはっきりと伝わってきた。


そこからここまで来るまで楽しく来れた。でもラヴィを見殺しにしたという過去が私を縛っていた。それに気が付いていたのはベータだけだった。ブレイクは,,,よく分からない。彼は適当に生きているから。


「私が死んだ後にそんなことがあったのね」私の話を聞いていたラヴィは悲しそうな顔をしていた。まるで自分の事の様に顔を歪めて。その顔が私の心をまた傷つけた。


「それなら私の能力をアミスに伝えておけばよかったわ」


「どういうこと?」


「私の能力は繰り返し。円環の理に入ってもすぐに私は生を受けることができる。だから実力だけで騎士団長になったの。まぁ、そんな仕打ちをされているなんて思いもしなかったけど」


「言わなかったのはアミスが戦場に残ると感じたから。あのままいれば確実に死んでいた。それだけは避けてほしかった」彼女は笑いながら全てを教えてくれた。その時に感じたのは怒りではなく、喜びだ。彼女はまだ生きていられる。それがとっても嬉しい。


「そういうことなら早く言ってよ」泣きながら彼女に抱き着く。確かにその能力なら今までのことに納得がいく。本当にどこまでも私のことを考えてくれている。


「そういうことだから早く仲間のとこに行ってあなたの人生を歩んで。いつかまた逢う日まで」彼女はそう言って倒木に腰かけ鼻歌を奏で始めた。曲の名前はリフレイン。私の好きな曲。そして彼女が好きな曲・


「分かった。また会おう。その時は笑顔で」手を振って別れを告げる。でもこれは永遠の物じゃない。いつかまた巡り逢える。次の目標はラヴィに会うことじゃなくて自分の人生を歩もう。仲間と一緒に楽しく。


「アミス!お前も来たんだな!」


「お前は来ないと思っていたぞ」


「アミスちゃん?これからよろしくね」


「待ちくたびれたぞ」


四人四色の様子を見せる仲間たちは本当に暖かい。本当に私には勿体ないくらいに。


「お待たせ」新たな旅が始まる。どうなるか分からないけど、前よりもずっと楽しくて騒がしくてかけがえのないものになるだろう。これを語る人物は___


アミスが本当に仲間になりました。アミスとの親交が深くなりました。世界の軸が乱れ始めました。抵抗者の勢力が拡大しました。上位者は不満な顔を浮かべた。**はさらに**になりました。世界が収束する未来が一パーセント以下になりました。

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