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ブレイクソード  作者: 遊者
変化する世界
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第三十一話 出会い

「昨日のこと何も覚えていないな」宴会をしたところまでは覚えているんだが、この宿にどうやって辿り着いたのかが全く分からない。救いなのは隣に男と女がいないってことだ。もしも居たら,,,想像したくないな。こんな話はやめやめ!俺の純潔がなくなっちゃう。


「今日も依頼を受けるか」窓を開けて外の茎を部屋の中に送り込む。朝焼けがまだ見える頃の空気は一番おいしくて、懐かしくなって泣きそうになる。こうして一日が始まることで生きてるって実感できる。


それよりも今日はどんな依頼が出ているのだろうか。二つ名はそんな高頻度で出てくるものじゃないし、出てたとしても早い者勝ちだから無くなってるかもしれない。こんな朝早くから依頼を受ける、冒険者の鑑なんて存在しないか。


「ってないんかい!!」掲示板の前に俺は立ち尽くすことしかできなかった。何も貼られてなかった。なんでだ?もうこの町はモンスターに襲われる心配はないのか?


「あ、ブレイクさん!」ぼーっと見ていると後ろから名前を呼ばれた。なんだと思って後ろを見ると、受付嬢が立っていた。朝早くから出勤してるなんて優秀な人材ですな。ぜひパラディはこの人たちにボーナスを与えてほしい。


「今日はギルドマスターが二日酔いなので依頼は受けられないですよ」え?なんて?二日酔いで受理ができない?舐めてるだろここのマスターは。先に代理人立ててから飲めよ。


「あ、そうすか,,,」俺はそう言い残してギルドから立ち去った。依頼の無いギルドはギルドじゃない。宴会場か何かだ。そう自分に言い聞かせて何とか怒りを抑える。じゃないと今すぐにでもパラディにのことを殴りそうだからだ。


終わった。今日することが無くなった。二つ名じゃなくても依頼は受けようと思っていたのに。完全にやる気そがれました。ここ数日は依頼なんて受け取らないで、うんこを製造する機械になろう。流石に人として終わってるか。それだけはやめておこう。


「まじでどうしよ。スタートダッシュ、思いっきりこけたんですけど」まだ人の通りが少ない大通りを歩く。ちらほらと人がいるが、出店の準備なんかをしている商人ばっかりだ。後は俺よりも早く起きた冒険者か死にかけになってる顔した徹夜冒険者が外に向かって歩いているくらいだ。


朝ごはんはここら辺で食べてもいいかもな。優雅に紅茶でも飲んで、パンを食べて美女を観察しよう。それか、どっかの冒険者と臨時でパーティーを組むのもいいかもしれない。今までは一人だったから、複数人でわいわいしたい。


ブランとアクセルと過ごした時間が恋しいな。こんな風になるから暇な時間は嫌なんだよな。外に出て、フリーハントでもすっかな。


「朝飯食って行くか」大剣を揺らしながらどの店の料理を食うか考える。がっつり行きたいから肉は欠かせないな。でも狩りもしたいから手ごろなのがいい。片手で持って食えるような感じの,,,


「おっ。おっちゃん、そのパン三つ買わせてくれ」適当にぶらぶら外に向かって歩いていると、ちょうどいいものが売っていた。パンの中に野菜とたっぷりの肉と香辛料が詰まった最高に頭が悪そうな見た目をしているのが。


「はいよ。三つで2400リルだ」


「はいよ」カウンターに言われたリルよりも少しだけ高い金額を出す。これをすると包装してくれるし、顔も覚えてもらえる。不味かったらそれまでなんだが、リピートしたいと思った時に便利だから俺は癖でやってしまう。


「これから狩りに行くのかい?」パンを丁寧に包んでいるおっちゃんが話しかけてきた。見た目はよぼよぼだが、手先は現役な様でてきぱきと動かし、形は崩れないようにしていた。


「あぁ、フリーハントだけどな」手先の器用さに感心しながら返事をする。コミュニケーションを取るのも大事な技術だ。まぁ、なくても困りはしないが、あった方がいい。


「それならこれを持って行きな」袋にパンと一緒に詰められていたのはスタミナポーションだった。


「これをくれるんだったら,,,」


「また足を運んでくれればいいよ」俺の言葉に被せるように言った。ポーションは高いから俺が出した金額とは全く見合っていないんだけど,,,


「そうするよ」この店にはなんだか世話になりそうな気がする。礼を言って俺はその場を後にした。パンを片手に俺は通りを歩いて外を目指す。


居住地になっているところは基本モンスターが出ないからな。ハントをするなら居住地になっていないところに行かないといけない。


「美味いな。このパン」袋から一つのパンを取り出して思いっきり頬張る。肉汁が溢れて、それを野菜たちが受け取り、香辛料が最後にパンチをかましてくる。


「残りはあとで食うか」魔法空間に余った二つを入れる。忘れないようにしないと腐った状態で出てくるから気をつけないとな。今日の計画を考えているといつの間にか外に出ていた。考え事を足ているとあっという間に時間が経つな。今日はどのくらいモンスターを倒せるかな。


外に出てから数十分で初モンスターと接敵した。見た目は人型だが、頭部は骨で形成され、腕は極端に肥大化していて鉄でできた棍棒を握っていた。周りには鎧なんかの装備が散らかっている。恐らく人間との戦闘が終わった後だろう。


「俺も挑ませてもらうかな」背中に担いだ大剣を抜け出し構える。歴戦の戦士に戦いを挑むってのは心が躍るな。


「蒼髪、邪魔」急に地面が近くなった。頭が痛い。誰かに踏み台にされたのか。急いで視線を上げると、骸骨に金髪の少女が槍一本で挑んでいくのが見えた。俺は女の子に踏み台にされたのか。嬉しいな。って違う違う。あのままじゃあの子がやられちゃう。加勢しないと。


「聞こえた?邪魔」加勢しようとしたらスキルで牽制された。こいつは自分の獲物ってか。でもな、黙ってみてても仕方ないし危なくなったら助けに入ろう。


なんでこんなに優しいかって?金髪にロリ属性なんて最高だからだよ!ブランに怒られるから狙っては無いけど、こんな儚い存在が目の前で消えたら悲しいだろ?そうならないように俺が見てておかないと。←変態です


こんなくだらないことして俺らの世界に介入してくんなよ!?俺はロリコンじゃないからな!?本当だぞ。神に誓ってもいいくらいだ。って神はいるんだ。もうちょっと小さいところにしておくか。パラディに口約束くらいだな。


それにしても戦い方が綺麗だな。槍で突いて、スキルを撃ち込み、それで出来た隙で魔法を撃ちこんでいる。モンスターの方も、綺麗にいなして攻撃のチャンスを狙っている。


キィン!ギィン!幾千にもなる金属と金属が激しくぶつかる音。先に負けたのはモンスターの武器の方だった。


「カカカ」骸骨は笑っているのかわからないが、歯をぶつけて音を出して首を振っていた。腕からは血が噴き出していて気味が悪い。


「カカカカ,,,」笑いが止まると腕が瞬く間に止血され、皮膚が硬質化した。爪は歪に曲がり、何本かは自分の手の平に突き刺さっていた。第二形態だな。少女はどんなふうに戦闘を展開していくのかな。


「展開、魔槍ヴァミリア」持っていた白い槍が赤い光に包まれていき、内側から変化していった。持ち手は赤く、握りやすくなり、先端は三つ又になり、その間を赤い稲妻が光輝いている。そして槍を囲むように赤い魔力の塊が浮遊している。魔力の塊にはそれぞれの役割があるようで、剣や盾、杖などの形態をとっていた。


「蒼髪、これは,,,秘密」言葉を探したが見つからなかったようで、そう残して第二形態の骸骨に向かって走った。恐らくは奥の手だから黙っててということだろう。言いません。絶対に。確信しています。


残像ができる程の速さの槍の突きに骸骨は押し負けている。それに加えて、魔力の塊が追撃をしてダメージを増やしている。よくできた能力だな。


「カカカ,,,」骸骨が不気味に笑うと辺りが黒い霧に覆われた。魔力の流れが変わったのを肌で感じる。恐らくは魔法で闇系統のものだろう。


少女は霧を警戒して、そこを避けるように攻撃を仕掛けに行った。中々に鋭い動きをするな。俺みたいに魔法研究でもしてたのかってくらいに。でも、それだと危ない。助けに入るか。


「邪魔するぜ」霧から出てくる鉤爪を蒼で叩きのめして間に入る。霧系統の魔法は霧での攻撃ではなくそこからの攻撃というパターンが多い。視覚を奪っているし、気も引きやすい。たくさん生成されれば分からなくなる。


「蒼髪,,,助かった」背を向けられて感謝を言われた。難しい感じのロリか。悪くない。ってそうじゃない。背中を任せてくれたってことだよな。なら全力で守るか。


「礼なら後さ。倒そうぜ?」大剣から短剣に持ち替える。この子の立ち回りはよくわからないから安定した動きができる装備にしておく。足りないところは蒼で補って、やばかったら俺が置いてきた転送石を砕いてもらうしかないな。


「そうする」深く姿勢を低くして渾身の突きのタイミングを狙い始めた。俺は完全にヘイトを貰う立ち回りをした方がいいな。ついでに補助もしておくか。


「骸骨!よそ見すんなよ!」蒼を地面に叩きつけて空気が舞い上がるようにする。こうすれば霧は一瞬だろうが晴れるし、視線は俺に向くはずだ。その瞬間を狙って一気に間合いを詰めて短剣でヒットアンドアウェイでこの子の一撃で終わらせよう。


「カカカ」骸骨は俺の攻撃を予想していたかのように笑い、口から霧を吐き出した。黒く重たい霧はあっという間に俺のことを囲み、窒息寸前まで持って行った。あっという間に意識が混濁していく。目の前が暗い。時間はまだ稼がないと。どれくらいだ?確証は?


全てが遅く感じる。恐らくこれが死ぬ間際に見える走馬灯というものだろう。何も見えなかった。俺の人生は希薄だったのか,,,


「バーバリアン・レッド」目の前に赤い稲妻が走った。荒々しく、通り道全てを焼き焦がすそれは俺の網膜に焼き付いた。


「カカ,,,カ」槍が突き刺さった骸骨は頭蓋骨を爆散させ、塵になった。そこに残されたのは荒々しい骨でできた鉤爪だった。なんとか助かったのか?


「蒼髪、大丈夫?」天使が俺の顔を覗いてきている。ここは天国かなにかか?俺、そんなに徳を積んだ人間だったかな。


「何とかな」上手く動かない体を起こそうとして盛大にこけた。見栄は張るもんじゃないな。回復するまで待つか。酸欠だったらすぐに治るだろうし、駄目でも魔法が使えるようになればすぐだ。


「そう,,,ギルドで、待ってる」片言で要件を言い、素材を拾い上げどこかに去ってしまった。あの子にまた逢えるのか。最高だな!あ、名前聞くの忘れたな。見れば分かるかな。


あの後、体の機能が戻った俺はフリーハントをした。上質な素材とかは手に入らなかったが、あの少女と出会えただけで大きい。でもいつ会うのか聞いていないし、しばらくはギルドに居座ることになりそうだな。


「お疲れ様」門番に挨拶をされながら町の中に入る。もう日が暮れていて、街中は街灯で照らされている。こんな時間になっても朝と同じ人が立っているなんて人で不足なんだろうな。


そんなことを思いながら宿を目指して歩く。朝に買ったパンは狩りの途中で全部食べ切ってしまって腹がペコペコだ。早く帰って飯を食いたい。


今日の献立はなんだろうな。俺が頼んだら出してくれるだろうか。最高級に近いし頼めば出てくるか。材料とは俺が用意しておけば、いい感じにシェフが調理してくれるだろう。


それにしても、あの子可愛かったな。長い金髪にぱっちりとした金色の瞳。背丈には合わない長い槍。それに太ももを出した可愛い戦闘用の装備。これで萌えない男は果たして男なのかどうなのか。真相は神のみぞ知る,,,。


絶対にアクセルと相性いいな。パーティーに勧誘したら入ってくれるだろうか。ていうか半壊したところには入ってくれないよな。それに目的もあやふやなところに行くことになってるし。


アクセルは生きているだろうか。あいつのことから死んではいないとは思うが、優しくされたら命を張って助ける人間だからな。どっかの人間とかエルフとかパーティーになって旅でもして、「ここは僕に任せてください!」とか言って死んだのかもしれない。


それは流石にないか。もし死んでいたら手間が増えてしまうからやめてほしい。ただでさえブランのことで手いっぱいだし、情報もいいのが入ってこないしな。


「宿に行く前にギルドに向かうか」情報で思い出した俺はギルドに足を運ぶことにした。なんでここに居るのかを忘れてしまうところだった。三つのポイントに行くための足掛かりをここで手に入れるためだった。


こういうところが抜けているから今日も死にそうになるんだよ。あそこも油断していなかったらもっと安全に戦えていたし。反省することが多いな。


静かな裏道から雑踏の多い大通りに出る。朝の閑散とした雰囲気とは一変して繁華街の様な賑わいを見せている。店に誘う男女や、怪しいものを売る老夫婦。効果があるのかわからないアクセサリーを売る屋台。


なんでもありそうな雰囲気を醸し出すここは某ド〇キ・ホテを連想してしまう。こんなことを言ったら危ないか。止めておこう。でもあの歌頭から離れないんだよな。ドンドン,,,ってチキンレースしてる場合じゃない。早くギルドに行かないと腹が減って死んでしまう。


ていうか機能してるのか?ギルドマスターが死んでいるから、食堂もやっていない気もするが,,,職員がいるからやっているか。最悪やっていなくても宿が近くにあるからいいか。


「なんだ、機能してるじゃん」ギルドが近くなってくると、昨日と同じように騒ぎが行われているのが見えた。近隣住民からのクレームが凄そうだな。


てか、パラディの姿も見えるな。あいつ二日酔いとか言ってなかったか。これはあとでみっちりと話を聞いておかないといけないのかもしれないな。


「蒼髪」喧騒の中、俺のことを呼ぶ声がした。振り返ってみると、金髪の少女が槍を持ちながら立っていた。


「お、今日中に会えるなんてな。何か用事でもあったのか?」


「ん。臨時で、いいから、パーティーを、組みたい」顔を少し赤らめながら少女は俺にパーティーを組まないかと誘ってきた。なにこれ?どういう状況だ?前世で徳を積みまくったのか?本当にこれ組んでもいいやつですか?訴えられたりしないですよね?


「了解。で、いつから組むんだ?」上がる口角を抑えながらいつから組むのかを聞く。


「明日から。それじゃ、朝、ギルドで、待ってる」そう言い残して大通りの中に姿を消した。


ひゃっほーい!!俺にもついに春が来たのか!もとから来てたのか。アクセルに春が来たって言った方がいいのか。あいつは色々と他人行儀なところがあったからな。これを機に無くしてほしいものだ。


あー。でも臨時か。本格的に組みたいな。俺の旅の内容を話したらついてきてくれるだろうか。無理だよな。俺がそんな誘いを受けたら間違いなく断るもんな。でも聞くだけ聞いておくか。あんな可愛いこと旅をできるのなら本望だ。


「聞きたいことも聞けたし、静かにギルドで飯でも過ごすか」人ごみを掻き分けて、ギルドの中に入る。俺の大剣に驚いて皆は避けてくれる。俺、もしかいて臭いか?浄化魔法をかけてから中に入るか。


体に付いた汚れと臭いを取って、目視でも汚れが無いかを確認して中に入る。一回の宴会場は相も変わらず酒の匂いでいっぱいだ。でも今日は飲みに来たわけじゃない。情報を集めるために来ている。なるべく目立たないようにしないとな。


端のカウンター席に座って何を食べるのかをメニュー表を見て考える。チキンもいいし、ボアのステーキもありだな。トレントの酒漬けもあるのか迷うな。


「兄ちゃん。そこの席に座るってことは欲しい情報でもあるのかい?」声が聞こえた方を向くと、フードを深く被った男が立っていた。情報屋か。ていうかこの席はそんな役割を担っていたのか。なんの変哲も無い席だと思ったのだが,,,


「忘却の墓場か、終わりなき,,,」俺が欲しい情報を言おうとすると、男が俺の口を押さえてきた。喧嘩でも始めようってか?


「その話はここ以外でしよう。俺も行きたいしな」


「オーケー。俺が止まっている宿に向かおう」男の行動の意味を汲み取り、防音対策がされている俺の宿に行こうと指示をする。


「分かった」俺たちは怪しい動きをしないで通りに出て、宿に向かった。途中でパラディに声をかけられたが、フードの男を見ると何かを察したように下がってくれた。


「俺の名前はベータ。世界中の情報を集めている。お前の自己紹介はいらないよ。グロリア王国のブレイク、だろ?」宿に着いて部屋に着くと、向こうがフードを脱いで顔と自己紹介をした。俺がどこに居て名前まで知っているなんて大したものだな。向こうではプロティスに言われて偽名しか名乗っていなかったのに。


「よく知ってるじゃないか」コーヒーを渡しながら素直に称賛する。ここまでの情報収集能力があるのなんて世界に数人いるかいないかだろう。


「誉め言葉ありがとう。こっからは仲間として会話したいんだが,,,いいか?」さっきの謎めいた感じとは打って変わって爽やかな青年になった。


「なんでだ?メリットがそんなにあるのか?」


「あぁ。君は強いからね。仲間になればより多くの情報が集まるだろうし、俺の野望に一歩近づく。君が欲しい情報だってたくさんある」話し方がうさん臭いが、引き受けても損はしなさそうだ。それに俺の直感が大丈夫だと言っている。


「俺も正直お前のことを仲間にしたい。でも俺の話を聞いてくれ。無茶な事ばかりだからな」


「断るつもりはないけど、聞いておこうかな」ベータはソファに深く座り、コーヒーを飲んでいた。


「ギルドでも言った通り俺は忘却の墓場と終わりなき交差点に行きたい。そしてそこで俺の幼馴染である人間を蘇らせたい。後は気ままに旅をしたいかな」端的な話だが、俺のやりたいことは全てつまっている。


「そうか。俺も死ぬまで暇つぶしだしな。戦闘じゃ役に立たないがサポートは任せてくれ」コーヒーを飲み切った彼はフードを深く被った。


「明日、あの子と会うんだろ?俺も同行するぜ。これからよろしくな、ブレイク」ベータは窓を開けると、暗闇に溶け込むように姿を消した。あいつ、どこまで情報を握っているんだか。間違いなく敵には回したくはない。


「ブレイクさん。今日の晩御飯はどうしますか?」扉の外からシェフの声が聞こえた。そういえば飯を食べていなかったな。今日は疲れたし適当なのでいいか。


「オススメで」


「畏まりました」そう言うと扉の先から気配が消えた。今日のオススメはなんだろうな。変なのじゃないといいんだけど。ま、食べれればなんでもいいか。今日はいろんなことがあったな。金髪のロリにも会ったし、情報屋ともコンタクトが取れた。


明日からやることも多くなりそうだ。こうやって少しづつ成長していくのは、何時まで経っても変わらないな。


「お待たせしました」三十分くらい待ったところで料理が運ばれてきた。内容はでかい肉と優しいスープ。それとサラダに芋を揚げたもの。後は上質な白いパン。やはり高級な宿だけあって料理の質がいいな。


「いただきます」成長させてくれる血肉に感謝して胃に食べ物を入れていく。感謝を忘れたとき、成長は止まるし、人として弱い。じいちゃんから教わった大事なことだ。


「ごちそうさまでした」食べ終わった後は皿を廊下に置いておけば使用人が片付けてくれる。本当に楽だ。


「明日からは忙しくなるな」少しの不安とたくさんの好奇心がベッドの上の俺に襲ってくる。こうやって入れるのも今の内かもしれないな。そんなことを思いながら俺は意識を夢の中に放り投げた。


「ふあぁ~」眩しい太陽の光で目を覚まして,,,ということはなく、外は土砂降りの大雨でその轟音で目が覚めた。こんな中でもギルドに行かないと駄目なのか。濡れると見た目とか、装備とかが錆びるから嫌なんだよな。


それでも二人に会わないといけないから行くしかないのか。軽く身支度を済めせて部屋を出る。朝ごはんはを必要か聞かれたが、ギルドで食べるからと断った。二人も恐らくはギルドで食べているだろう。多分。


「風魔法の応用でブランは雨を避けていたな」自分の周りに風を発生させて器用に雨を弾いている様子はシュールだったがよく考えてみれば魔力の扱いが上手い証俺には到底真似できない芸当だ。おとなしく雨に打たれながらギルドに向かうか。


雨を避ける傘みたいのが欲しいんだが、片方の手でも塞がると死に直結するような世界だからそんなものないんだよな。雨具も嵩張るし、動きが鈍くなるから好んで着る人間は居ない。それで死んだら一生笑いの種にされる。


「結構降ってるな」雨はしだいに強くなっている。もたもたしていたら浸水とかもあり得るかもしれない。今日の依頼は排水でたくさんになっていそうだな。そうなったら俺も行こうかな。生活がかかっているし。後は金がたくさんもらえる。


バシャバシャと音を立てながら道を歩いて行く。人の通りは全くない。昨日まで出ていた店も全て撤収していて閑散としていた。なんて言うか、捨てられた町みたいだな。明かりもあるわけじゃないし。怖~い。


「今日も人が少ないな」ギルドの中を濡れたまま入る。中には数人の職員と冒険者が居るくらいだ。昨日と何も変わらないな。変わっているところはやはり、排水の依頼がたくさん出ているということだ。


「蒼髪、遅い」肩を棒の様なものでで叩かれた。この喋り方と見たことのある槍はあのロリ娘だな。


「悪いな。雨が酷くてやる気が出なかったんだ」振り向くとそこには濡れた少女の姿があった。しっとりとした金の髪は光によってキラキラと宝石のように輝き、寒さで赤くなった顔はあどけない顔の妖艶さを足していて、なんていうか,,,,,,エッチです。


「俺のことも待たせ過ぎだ」柱の裏からフードを深く被った男が出てきた。ベータだな。


「まじ謝罪。朝ごはんおごるんで許してください」


「「許す」」世の中ってこんなものか。


「それじゃ自己紹介でもしておくか?」円いテーブルを囲んで料理が運ばれてくるまでの間、暇なので話して時間を潰したい。


「そうだな。俺の名前はベータ。情報収集を主にやっている、戦闘自体には積極的には参加しないが、サポートは任せてくれ」フードを脱いだ彼は笑いながら水を飲んだ。


緑色の髪に顔を縦断する大きな傷は死線を幾度となく潜り抜けてきたことを教えてくれている。腰にはたくさんの袋が付けられている。恐らくはバフ用のアイテムが入っているのだろう。武器は片手で持てるくらいの剣に左手には盾を付けている。


長身で体の線は細い。だが、それを補うように勇ましい傷の後が見え隠れしている。


「私の、名前は、アミス。蒼髪とは、臨時でパーティーを組む。戦闘は、任せて」言いたいことがしっかりと言えたようで、満足した顔をしていた。


「俺の名前はブレイク。オールラウンダーだ。魔法も少しは使えるな。アミス,,,とは臨時でパーティーを組む予定なんだが、一緒に旅をしないか?」


「え?」予想通りの反応をされた。横ではベータが水を噴き出して大変なことになっている。


「あー、ベータと旅をするんだが、一緒に来ないかって言う誘いだったんだ。嫌なら予定通りの臨時で組もう」頭を掻きながら提案をする。予防策も張ってあるから余計に恥ずかしい。


「それでいい」え?なんていいました?俺たちと一緒に来るってことですか?嘘だろ?本当に?最高じゃないか。


「こほっ,,,よかったな、ブレイク。俺たちの目標のためにも人は多い方がいいからな」水を全て吐き出したベータは嬉しそうに親指を立てていた。


「目標って?」アミスが興味のある顔で聞いてきた。その上目遣いは反則だろ。まじでその顔があれば世界平和も夢じゃない。


「忘却の墓場と終わりなき交差点に向かうっていう目標だ。それでも来てくれるか?」断られるかもしれないと思って恐る恐る聞いてみる。ここまで来て断られたら泣いちゃう。


「うん」あっさりと了承してくれた。アミス、本当はスパイとかじゃないよな。話がいい感じに進み過ぎている。可愛いからいっか。


「本当にいいのか?」


「もとから、そのつもり」視線の先にはベータがいた。なるほどな。根回しはしっかりしていたみたいだな。流石は情報屋。先を見越しているな。


「お待たせしました」話に丁度節ができたところで注文していたものが来た。


「あとは食べながらにしようぜ」ベータは早速ジュースの入ったジョッキを持っている。ていうかもうチキンを食べているな。口元に肉のカスが付いている。


「そうだな」俺もつられるようにジョッキを持つ。中身はブドウで出来たジュースだ。これから冒険に行くから酒は飲めない。本当は飲めるんだが、浄化魔法をかけないといけないから面倒くさい。


「乾、杯,,,?」戸惑う少女の一声で俺たちの旅の幕が開けた。これからは楽しくなりそうだ。ブランとアクセルを合わせて五人パーティーか。楽しくなりそうだな。


ベータが仲間になった。


アミスが仲間になった。


世界の軸が治り始めた。原初の地の存在が薄まりました。忘れられた人々の記憶が世界中に散らばりました。世界樹に光が戻り始めましたた。***ガ現れました。

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