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隣の教室が急に騒がしくなった。窓から顔を出し、職員用の駐車場を指差す者が大勢現れる。何だ何だとこの教室の者達も外に視線を向けた。教師もチョークを置き、好奇心に駆られ窓際へ移動する。
僕は自分の席に座ったままクラスメート達の背中を眺めた。キャーキャーと歓声が上がるその集団の視線の先には、どうやら一匹の犬がいるらしかった。野良犬が迷い込んだのだろう。
僕は集団の背中から、机の下に隠したスマートフォンの画面に視線を戻した。歓声は伝染し、隣や上下の教室からも人差し指が延びてきた。中にはスマホで写真を撮る者までいる。
僕はふとそれに気付き、必要最低限の動きで一つ後ろの席を見やった。後ろの席の男子生徒は机に頬杖をつき、じっと窓の向こうを見つめている。
迷い犬に興味を示すタイプには見えなかったので、僕はそれが意外だなと思った。まぁ僕はクラスに気を掛けたことはほとんど無いし、意外な一面の一つや二つ誰にだってあるだろうと、それ以上気にも留めなかった。




