学園イフ
あたしの名前はアメリカ。
トワイライト学園に通う女子高校生だ。
とくに変わった生活を送っているわけじゃなかったけれど、最近変なやつが隣の席になった。
そいつの名前はクラン。
笑顔の胡散臭い腹黒い男子高校生だ。
顔は良いけど、内面からにじみ出る不気味さが大きすぎて警戒してる。
そんなクランは、暇を持て余しているのか、いつもアタシに絡んでくる。
何考えてるの?
何してるんだい?
何が好きなのかな?
こんな事ばかり喋りかけてくる。
こっちは人生の年数=平凡だ。
ごく普通の一般家庭にそだって、何の英才教育もほどこされず、ぐれる事もなく優等生になる事もなく、ここまで成長したごく普通の人間だぞ。
あたしに話しかけることの、何が面白いんだかかわかんねー。
正直、クランはあたしには全く理解できない生き物だ。
でも、それだけだったのならまだ良かった。
教師のカイゼルになんとかしてくれって頼んでも、「青春ねぇ」しか言わねーし。
で、そいつはあたしにかまってほしいのか、とうとう人質を、いや物質を取り始めたのだ。
あたしが大事にしている猛禽類ストラップを手にして微笑むあいつときたら、悪魔のようだったぜ。
「返してほしかったら、お話してくれるかな?」
なんて小首かしげながら言ってたけど、あたしにはただの悪魔フェイス。
それ、脅迫だからな。
そいつゲーセンで苦労してとった奴なのに。
クランを無視こくのもそれはそれで後が怖い。
仕方なしに話はしてるけど、目はあわせたくねーから、そっぽむいてる。
物質を取れないときは、どうやってかは知らないが同じ会社が作ってる猛禽類グッズを餌にしてくる。
「これがほしいかな?」
ばか、欲しいにきまってるだろ。
でもそんな弱みを見せるわけにはいかないから、必死に我慢。
「休みの日にデートしてくれたらあげるよ」
って釣られるわけねーだろ。いくらなんでも。
なあ、こいつクソだよな。
でも顔がいいから、性格が死んでいてもクラスの中では人気者なんだ。
女子にはもちろん、なぜか男子にも。
弱みでも握ってんのかと思う。
テスト前に、馬鹿どもには山はりノート見せてるから、そういう面とかか?
クラスはあいつの王国で。クランは王みたいに君臨してる。
お酒を時々もらってるらしく、カイゼルだってクランには弱腰だ。
で、そんな天狗になってるクランに反撃しようと思ったことは、山ほどある。
でもクランのやつ妙に感が良いから、毎回察知されちまう。
ダチのタバサに相談したけど、「面白そうな人だね」で話が終わっちまうから、力にならない。どうすりゃ良いんだよ。
ならばと思って、クランの弟であるヒューズを味方につけようとした事もあった。
あいつには頭と人間性がそこそこできた弟がいるみたいだからな。
しかし時期が悪くて、海外留学の真っ最中。
なぜって、頭と人間性ができていたせいだよ。くそ!
誰かアタシの味方になってくれるやつ、いねーのかよ。
なんて、考えていたら、天の女神が哀れに思ったのか、シェフィという天使をよこしてくれた。
あ、シェフィってのは、クランが家庭教師して勉強を教えている、年下の女の子だ。
人見知りする子供だけど、良い子なんだよな。
クランはこのシェフィにはあまり逆らえない?みたいで、シェフィが何かお願いするたびに、よく困った顔をしている。
ちょっと世間知らずな所があるから、アタシも困る、というか心配するけど。
たぶんクランにとっては妹みたいな存在なんじゃねーかな。
あたしもシェフィみたいな良い子が家族だったら、嬉しいなって思うし。
だから、最近はクランがしつこくしてきたら、シェフィに注意してもらっている。
これであたしの平穏はある程度守られるようになったので、まじホッとする。
でも、今度クリスマスイベントで学校でペアを作ってダンスパーティーに参加することになったんだけど、嫌な予感がするんだよな。
うちの学校、ちょっと奇抜なイベントたまにあるんだよ。
そのイベントじゃあ、プリンスとプリンセスっていう主役がみんなの前で踊らなくちゃいけない。
女子クラスメイト達は「ロマンチックよねー」とか言ってるけど、そうかあ?
名誉ある大役とか言うけど、アタシには罰ゲームにしか見えない。
クランはもうプリンスに決まってるんだ。
なら、お相手は?
いやいや、考えすぎだ。
そんなパターンがあるない。
自意識過剰かもとは思うけど一応注意しておこうと思う。
うんうん。
あん?
なんだよクラン。
話があるって。
おい待て。その手に持っているドレスはなんだ?
「君に似合うと思って、作っておいたよ」
ホラーかよ。
未来きまってます、見たいに行動すんじゃねー。
あとサイズどうやって知った!
変態やろーかよ!
おいやめろ! あたしを変なことに巻き込むな!
こっちに来んなあああ!




