13 洞窟の中
エルエリーデ達を追いかけて走ったアタシは、使われていない洞窟に向かった。
こんなところに、何で洞窟が?
人が作ったもので、人間が出入りした形跡はないが、獣はいるようだ。
足跡が入口にいくつもついていた。
あたしは、かなり躊躇ったけれど、ここで帰って余計にこじれてもこまる。
意を決して、中に踏み込んだ。
「食らい、もっと灯りになるもの持って来ればよかった」
幸いにも内部には光る石がところどころ落ちていたため、歩くのに不便はない。
だが、洞窟内にある大きな岩の影なんかは見えないし、分岐も多いから死角から襲われる可能性がある。
長居しない方が良いだろう。
「ったく、どこまでいったんだよ」
勝手な行動をしたエルエリーデに文句を言いながら進むあたしは、人の話し声を聞く。
どうやら、エルエリーデ達と合流できそうだ。
ご令嬢に事の成り行きでも話しているんだろう。
言葉が途切れた後に、平手打ちをかまされたような音がした。
「おい、お坊ちゃま。勝手な行動すんなって言っただろ」
あたしが声を掛けると、顔に手のひらの後をつけたエルエリーデが振り返った。
どうやら予想通りの事が起きたようだ。
まあ、当然だろうな。
ご令嬢はエルエリーデを睨みつけ、ついでに今やってきたあたしにも同じ視線を向ける。
「アメリアさん、すいません」
「ったく、見られてたらどうすんだよ。話がややこしくなるだろ」
「でも、どうしてもあの人達のようにはできなくて……」
あたしはこれからどうするべきか考える。
何食わぬ顔で連中と合流して、令嬢を引き渡すか?
それとも、別の町の騎士団に詰所にこいつらを放り込むか。
危険性を考えたら、前者を選択した方が良い。
しかしそれはエルエリーデの行動を見られていない事が鍵になる。
へたれ貴族の裏切りが発覚していた場合だと、面倒な事になるだろう。
それに一度助けちまった奴を、あのゲス野郎どもに差し出すのってのもな。
「はぁ。合流はしない方がいいだろうな。他の町に行って、信用できそうな騎士団に頼るしかねぇか」
あたしがそう言うとエルエリーデはあからさまにほっとした顔になる。
ったく、守られるだけのお坊ちゃまは、この状況が本当に分かってんのか?
苛立つ感情のままに頭をガシガシかいていると、重い足音が響いてくる。
そういえば、入り口にあった足跡の事、忘れていた。
「あ、やば」
あたしは、どうくつのおくから歩いてきたドラゴンを見つめる。
これはやばい。
どうみてもやばい。
涎をたらし、視線の合わないその闇色の肌の竜は、正気ではない様子だ。
先ほどみたものよりも一回り小さいが、人間にとっては十分に脅威だ。
「に、逃げろ!」
あたし達は、けつまくって逃げ回るしかない。




