10 狩り当日
3日後。
シェザード達と合流するために、あたし達はとある店へ向かっていた。
裏路地に入ると、怪しげな調合屋の小屋がある。
そこの裏口から入れだとよ。
眠気の残る頭を抱えながら通りを歩いていると、空気がざわめいた。
「騎士団だ」
「なんで、こんな所に?」
一般人たちが言った通り、そうそうお目にかかれない連中が道を歩いている。
幻獣騎士団。
白いトラの紋章をつけた鎧を着こんだ連中は、国の中でもかなり力のある奴らだ。
重罪人の捕縛とかやばい生き物の盗伐を任されるだけに、こんな普通の町にやってくる理由が分からない。
目立たないようにしていると、連中の会話が聞こえてきた。
「王子が調査してほしいとのことなので」
「承知した。しかし、お主の力、遊ばせておくにはもったいない」
「私はそれほど大した人間ではありませんよ」
鎧を着ていない若い男と、鎧をきたじーさんが話をしている。
王子なんて言葉が聞こえてきたが、ひょっとして何かでかいトラブルでも起きているんだろうか。
首を傾げながら記憶を引っ張りだそうとしたが、なかなかうまくいかない。
今巻き込まれてるバッククロウドの件と関係あるんじゃないだろうな。
ひょっとして、あたし等が関わっちまったのは、想像以上にやべー連中なんじゃ。
もっと盗み聞きしていたかったが、幻獣騎士団はさっさと遠ざかってしまった。
これ以上ないくらい不穏な空気しか感じられないのだが、追いかけるわけにもいかない。
これからあたし等にはいかなけりゃならないところがあるのだから。
怪しげな調合屋に入った後は、先に来ていた貴族たちとともに、最後の確認。
目的地の地図をもらってから、再び別れた。
まとまって動くと目立つから、再び現地集合だってよ。
あたし達はあたし達で2人乗りの小さな馬車を借り、目的地の山へと向かう。
そこそこランクのいい馬車を借りたつもりだったが、あたしの目が節穴だったようだ。
ゆれるしかたいし。
けつが痛い。
騙されたな。
馬車の中でイライラしていると、エルエリーデに話しかけられた。
「あ、あのー。これ、食べます?」
差し出されたのはサンドイッチだ。
「良いのか。さんきゅー」
遠慮するような間柄なんかじゃないから、遠慮なくもらっておく。
口の中に入れると、塩気が強くてけっこううまかった。
挟んであるハムも肉厚だし、レタスはシャキシャキしていた。
「へぇ、うまいじゃん。お前んとこのシュフなかなかやるな」
「ぼ、僕が作ったんです」
「はぁ?」
エリエリーデは「数少ない僕の取り柄なんですよ」と言いながら、自分でもサンドイッチをつまむ。
「乾燥しないように布でつつんだり、具材の水分がパンにしみこまないようにバターをぬったり、ただのサンドイッチでも、色々と工夫をするとこんなに美味しくなるんです」
こいつ生まれてくる家間違えたな。
普通の家か料理人の家に生まれてくりゃ、そこそこ良い人生歩めただろうに。




