05 バッククロウドの情報
次にやるべき事は、バッククロウドの情報収集だな。
あたしは、信頼できる情報屋に依頼をよこした。
裏路地の住人で、めったに会えない奴だけど、今日は顔が見れた。
「また面倒なことにクビつっこんでんなあ。まぁ、あんた職業と言動によらずお人好しだからなあ」
特徴的な喋り方をするその人物は、全身をすっぽりとボロ布で覆っているため、外見が分からない。
声も中性的だから、性別が分からないし、喋り方もかすれ声で歳が分からない。
老婆や幼児ではないことは確実だけど、正体不明の情報屋だ。
「まあ、いいさ。バッククロウドっていう連中は、そこそこ危険な連中だ。そんな事はまあ分かってんだろうなあ」
あたしは、情報屋が差し出したボロ布ごしの手のひらに、金を置く。
頷いた情報屋は、金を懐にしないまながら話を続けた。
「いくつかの町に拠点を設けていて、中心になって運営しているのは裏社会の人間なんだが、貴族連中が資金提供してる。まあ、あれだわなあ。何かあった時に、融通そろってことだろお? 危ないお薬を。自分で使うぶんか、人に使うぶんか知らねーけどなあ」
嘲笑混じりのその言葉には、富める者に対する憎しみや嫌悪感を感じる。
昔、何があったのか知らないが、あたしには関係ないことだ。
ボロ布越しにつきささるような視線を感じながら、言葉が続く。
「あんたが、そのバッククロウドを潰してくれるっていうんなら、金まけといてやってもいいけどなあ」
「遠慮する。つーか、無理にきまってんだろ。あたしを誰だと思ってんだ。ただの盗賊だぞ」
「はっ、言ってみただけだよ。そうかっかすんなって、おい」
さっさと続きを話せと促すと、ボロ布の情報屋は顎をさするような仕草をした。
「んー。これはここ最近入ってきた情報だけど、腕の酔い用心棒を雇ったって話だな。なんかどっかの栽培所をでかくしたらしいから、そこを守る人間が必要なんだとさ」
「その用心棒の情報は分かるか」
動かねーやつなら、それほど警戒する必要はないのかもしれないが。この業界は何があってもおかしくはない。
念のために、知っておくべきだろう。
あたしは追加のお金を渡した。
「体格が大きくて、腕力が強い。パワータイプだ。獲物は知らない。遠い地方からこっちにきたらしくて、情報は全然ないな。つーわけで、ちょっとおまけだ。半分金返す。情報屋としてこういうところはきっちりしとかないとなあ」
意外と律儀なところもあるんだよな、と思いながら返された金を財布にもどす。
「そうかよ、礼は言わないぜ」
あまり情報は得られなかったが、ないよりはましだ。
危ない橋を渡る時は、情報は命綱。
自分の身を守るために、できるだけあった方が良いに決まってる。
「世話になったら、じゃあまた今度なにかあったらそんときゃ頼む」
「おうよ。達者でなあ」
あたしは、ボロ布の腕をひらひらと振った情報屋に背中を向けて歩き出す。




