04 回収完了
一時間後。
あたし達は、ドラゴンからおりて、辺りをみまわしていた。
紅蓮の荒野は、赤い葉っぱがたくさん生えてた。
雑草は赤、
木の葉も赤だ。
景色が赤一色なので、目がちかちかしてきそう。
だから、紅蓮の荒野って名付けられたのか。
暑いとかの理由じゃなくてよかったけど、長いしたい場所じゃねーな。
「ぜんぶ真っ赤だね! すごーい」
あたしと違って、単純に感動できるタバサがちょっとうらやましい。
さて、火の石を見つけなくちゃならないみたいだけど、一体どこにあるんだ?
タバサがクランからもらった地図をひろげて、ふむふむとか言ってる。
「目印になる岩の下に隠されたって書いてあるよ」
「どんな岩だよ」
「美味しそうな匂いのする岩だって」
サラっとでてきた言葉を聞き返しそうになる。
(はぁ? 岩って食べ物じゃないだろ)
とりあえずぼうっとしてても見つからないので、適当にそれっぽい石を探してみるが。
石なんてどこにでもあるから、困る。
もっと具体的なヒントないのか!
「ブヒ!」
頭を掻きむしっていたら、近くで豚の鳴き声がした。
はっきりと聞こえたので、聞き間違えではなさそうだ。
視線をあちこち向けてみると、岩陰に隠れるようにして、それがいた。
豚!?
確かに豚だった。
豚に似た何かでも、豚のような体格の人でもなく。
正真正銘の豚である。
なんでこんなところにいるんだ?
ぶひぶひ生物を眺めていたら、タバサもそれに気が付いた。
豚ちゃんだー、といいながら追いかけっこを開始。
以外に素早い足並みであっという間に捕獲してしまった。
「つーかまえたっ!」
「ぶひぶひっ」
暴れる豚を羽交い締めにしているタバサは、首元を見て気づく。
「あれ? この子、首輪してるよ? 誰かのペットなのかな?」
見ると、首にある装飾品には三日月の模様がしてあった。
トワイライト村のことが頭に浮かぶ。
やがて逃げられないと悟ったのか豚は、おとなしくなる。
かなり痩せていたので餌をやってみたら、すぐになついてきた。
今ではタバサの足にまとわりついて嬉しそうにぶひぶひ言ってる。
あたしもタバサも二人で餌をやったのに、なんでかタバサにだけだ。
別に好かれたいなんて思っちゃいねーけど、なんでだよ。
憮然とした気持ちで見つめていたら。
豚野郎が「ぶひっ」と言いながら、タバサの影に隠れてしまった。
ちょっとイラっとして少しばかり豚と追いかけっこするはめになったけど、それは横に置いといて。
観察してみると人慣れしてるようにみえた。
人と触れ合うことに躊躇がないようだ。
見た目からしてちょっと汚れてるけど、それほどまででもないし、野生って感じはしない。
そこそもここに本来は豚なんていないと聞いてる。
なら、ペットなのだろう。
家畜だったら、首輪なんてしていないしな。
タバサが豚をなでながら首をかしげる。
「もしかしたら、トワイライト村から逃げた人のペットかもね?」
「そういう事ってあるか?」
豚の汚れ具合は壮絶ってわけでもないけど、それなりの日数はたってるようにみえる。
家畜が生き残れたりするもんだろうか。
「んー。動物って結構たくましいよ。ペットになってるのでも、人の手から離れた後に、野生化して生き残る事あるらしいし。この子はまだ野生化するか分かんないけど」
「そういうもんなのか」
タバサが説明すると、豚が得意げにぶひっと鳴いた。
トワイライト村が占拠されてから結構時間が経ってると思うけど、持ち前の生存本能とやらで生き残って来たんだろうか。
(しかし、何やってんだこいつ?)
豚はタバサの服のすそをくわえて、どこかへひっぱっていこうとしている。
「どこかに案内しようとしてるのか?」
「ぶひ」
すると、豚はやる気を出したようだ。
何のかは分からんけど。
「ぶひーっ!」
気合の雄たけびをあげて、どこかへと走っていってしまう。
「おいかけてみよ!」
「お、おう」
タバサの言っていた事は、割とあっているような気がした。
ペットになってても動物は動物。
本気の走りで遠のいていく豚を追いかけるのは、結構骨が折れた。
ペットだとしても、こりゃ生き残るわけだな。
「ぶひぶひっ」
やっとの思いでおいつくと。豚が、岩の下を彫っていた。
(ひょっとして、まさかのまさかなのか?)
しばらくすると、その土の下から大きな赤い石が出てくる。
火の石と伝えられていた特徴にそっくりだった。
「よっし、ゲットだね!」
「はえーな」
いや、すんなりいってほしいとは思ったけど、
豚に教えられてゲットするとは思わなかった。
「じゃ、さくっと変えろっか。豚ちゃんもおいでー」
「ぶひ!」
早く終わるに越したことはないが。
あたし達は、来た道を戻っていく。
「ヒューズ君、このあいだアメリアちゃんの事気にしてたよ」
「えっ、なんでだよ」
「クラン君の様子どうだったかなって」
「あたしを間接的にして、兄貴の心配の方してるじゃねーか」
それはあたしに興味があるとは言わない。
「ヒューズ君、クラン王子と似てて一人で思いつめるところがあるから心配だよー。なんかね、ずっとクラン王子と喧嘩してるんだって」
「ああ、それはちょっと聞いた」
お見舞いの時に、あいつがぽろっともらしていた過去の話だ。
もうちょっとあいつは本音を言ってもいいと思う。
(普段がふざけてるから、誤解されるんだよ)
事情を知ってればあたしだって、少しくらいは……。
まあ機嫌が良い時なら、協力してやってもいいくらいには思うんだけどな。




