表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トワイライト・ドラゴン 頭のおかしい王子様に心臓を人質にとられながら働かされてます  作者: リィズ・ブランディシュカ
第1章 女盗賊の出会い
3/73

03 一週間前





 時間は一週間前にさかのぼる。





 孤児院 『アメリア』


 朝日が昇る前に、あたしは起きる。

 手早く身支度を整えて向かうのは、多くのチビたちが寝ている大部屋だ。


 孤児院の仕事は朝から忙しい。


 チビたちを起こして、飯を作って、食器を洗って掃除をして、着替えさせて、掃除をして、洗濯をして。


 やる事はたくさんだ。


 半日もする頃にはくたくたになってしまう。


 けれど、だからといって休んではいられない。


 夕方に帰ってきた女性、孤児院の経営者に引き継いでのお仕事の時間だ。


 最近、孤児院の経営は、うまくいっていない。


 孤児達をお世話するのには当然金が要る。


 けれど、お金を出してくれる人が少なくなってきているので、別口から調達しなければならないのだ。






「さてと、今日はどんな依頼人がくるんだか」


 あたしは動きやすい服装に着替えて、ローブをかぶる。


 周りを警戒しながら、裏路地で栄えている酒場に顔を出した。


 あらかじめ決めていた席に着くと、依頼人がやってきた。

 その依頼人は、黒い角の意匠を胸元につけた人間だった。

 名前はカルムと名乗った。

 おそらく偽名だろう。

 顔は、フードで隠してあるので見えない。


「単刀直入に言う。国の宝物庫から盗み出してほしいものがある」

「へぇ」


 依頼はだいたい盗みの仕事。

 あたしの夜の顔は盗賊だ。


 最初の頃はあたしも真面目に、色々な仕事をしていた。だけど、孤児院出身という身分が仕事を遠ざけてしまっていた。

 運よく職にありつけても、少ないお給金しか入らないものだから、こんな場所に流れついちまったというわけだ。


(そりゃ、ちょっとは思うところはあるけど、孤児院がつぶれちまわないためだ)

 

 これからも、チビたちを育てていくために、身のこなしをいかして、盗みの仕事に手をださないとやっていけない。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ