04 何のための
クランは使えない人間は育てるより、切って捨てるタイプらしい。
じゃあ、あたし達も使えなくなったら、捨てられるんだろうか。
(心臓、ある日いきなり潰されたりしねーよな?)
未来予想図に再びぞっとしてしまう。
「で、どうすんだ。黒幕探し」
「おおよそ検討はついてるよ。これまでにも交流はあった、無駄に話をしていたわけじゃないからね」
「さいですか」
とにかく、色々準備は整っているらしかった。
あたしの出る幕あんまねーな。
これ、ついてきた意味あるんだろうか。
あたしがいなくても、クランは何でもそつなくこなしてしまいそうな気がした。
視線の先のクランは、拠点の様々な天幕に視線を向けていく。
「通りを歩いている人間は一通りみた。彼等は違うな。となると、中にこもっている者達か」
「見ただけで分かる事でもあんのかよ」
あたしみたいな裏稼業の人間なら、ある程度同類を見極める事ができる。
一般人にまぎれていても、どうしても癖とか仕草に違いが出てきくるからな。
けどクランは王子だ。
普通に考えたら、そんなの分かるはずないと思うのだが……。
「目を見れば、大体分かるよ。その人が何を考えているのかね」
「まじかよ」
「嘘はつかない。本当の事だ」
肩をすくめるクラン。
(それってかなりのやべー特技だな。でも、王子には必要なスキル?
か……?)
腹黒い連中を相手にする時には重宝するのかもしれない。
金持ち連中とか権力持ってる連中は何考えてんだか分からない時があるし。
クランは第一王子だからいずれは王になるんだからそういう力があってもおかしくはない気がした。
「じゃあ、めぼしいやつにカマかけていく感じになるのか。で、あたしはお前の傍で、守ってればいいってわけだな」
だからあたしはそう言うのだが、クランはかぶりを振った。
「君はここで待っていてほしい」
「はぁ!?」
この王子はいきなり仰天発言をする。
驚いた声が思った以上に響いて、近くにいた流浪の民がちょっとびっくりしていた。
無用な注目を浴びないために、あたしは声を潜めて抗議。
いきなり何を言い出すんだ、この野郎。
自分の身分を分かっていないんじゃなかろうか。
「お前、何考えてんだよ」
「ここにきて分かった、彼等は予想より強い。もし相手が、複数だった場合、君では力不足だと思ってね」
その言葉にかっと頭に血が上る。
「ふざっけんな! 何のためにくそ暑い思いしてここにつれてこられたんだよ。ここで仕事するためだろーが」
あたしはクランの腕をつかんで、断固拒否の視線を貫く。
「仕事せずに金もらうのは、主義に反するんだよ。いやだっていってもついてくからな」
その姿をみて、クランは困った顔で苦笑した。
「君は、変な所で真面目だね。それじゃ、色々やりにくいだろう?」
「うるせー、ほっとけ!」
至近距離であいつのすかした顔を睨みつけていると、アタシがつかんでいる腕とは違う腕で、クランに肩を叩かれた。
「話は変わるけど、男性にこの距離は少し無防備すぎやしないかい?」
「んなっ」
反射的に腕を離しそうになった。
いや、それはまずいと思って、掴みなおしたけれど。
ニヤニヤ笑いのクランを至近距離から眺める事になってひどくイラつく事になった。




