異文書 其之五 種族について
『種族に関しては特に言うこともないんだが、
まあそれは俺がここで長く過ごしたからだと思うので、書く。
まずはヒト。
君たちとほぼ変わらん。
ちょっと頑丈か?ってくらい。
寿命は印の取得状況で変わるようだ。
……四つ目の印を持ってると、200を超えるのもいるらしい。
アルヴ
訳するならば耳長ってところか。
……どうも俺や君たち同様に向こう出身者が名付けたらしいことだけは分かる。
アールヴ、つまりエルフだ。
見た目は。
寿命は最大でも250年ほどか。
一つ目、二つ目の印を必要としないし、得られない、
……何故かは知らないが、生まれてきた時から魔力が扱える。
三つ目以降の印の取得は可能。
名前通りに耳が少し長く、顏が美形に見える。
背がヒトより低め。美形。
成人以降は見た目上は老いない。美形
美形。
くどいか。
だが、既にほぼ絶滅している。
一応ある地域にはそれなりの数住んでるが、
まあ君が危ない道に進むならば探してみると良いかもしれないな。
彼女ら、彼らが君を受け入れるかどうかは知らないが。
マァレウ
こっちの言語ではちょっと発音しにくい。
訳するならば「童身族」って感じ。
彼女ら、彼らは、名の通り成人?しても小さい。
子供か! でもアルヴっぽい顔! 可愛い!
このロリコンめ!!
……冗談は置いておこう。
彼女ら、彼らは、印の取得が出来ない。
代わりに生まれた時から魔力が扱える。
そして、少なくとも四つ目の印を持ったヒトと同じまで鍛えることが出来る。
ただし、そんな凄まじい個体はほぼいない。
そして彼女ら、彼らも老いない。
あくまでも見た目上は。
寿命は最大で350年ほど。
耳長よりも長い。
ルド
ルを小さく発音するように、ドをオに近く発音するように。
言いにくい。
意訳すると「剛体族」。
彼女ら、彼らも名の通りデカい!ガチムチ!強そう!そして割と美形!
印・魔力については童身族同様で、生まれた時から使える。
ただし、興味深い事にその魔力は殆どを肉体的な強化に使う以外は得意でない。
いや、才能が欠如している程ではないのだけど。
あ、そういえば逆に童身族は「魔法」として使うことが得意で、身体強化は得意でない。
耳長は両方バランスがいい。
ヒトは個々人による。
終わり!
じゃなくて、寿命は大体最大で300歳くらい。
見た目は老いないけど、割と老けて見える。
耳長はヒトから分化した種族…らしい。
童身族と剛体族は……耳長から分化した種族で、
その耳長の傾向をどちらか一方に過大に強化された種族らしい。
何で剛体族の背が高くなったのかは知らんが。
魔力の取得に関しても同様で、生まれた時から素質を完全に得ている。
とは言え寧ろ鍛える機会が強制的であるヒトの方が若干「強力な」個体が多いか。
彼らが人種と呼ばれる枠にある。
それ以外に「亜人種」と呼ばれる者たちがいる。
彼らは瘴気の影響を受けたヒトの末裔か、人型の魔物の末裔がどこかでヒトと交配したのか、
はたまた、魔物そのものなのか。
それは俺にも分からんが、まあ色んな奴がいる。
人種側が敵対的に接しているもんだから、概ね敵対的。
……まあ歴史的経緯もあるんで仕方がないんだがな。
その中でも特徴的なのは、
多毛族 所謂獣人 何故か知らんが俺や君たちが元いた世界の獣っぽいんだよなあ…?
鬼人族 背が低いけどガチムチ 肌の色が白くも黒くも黄色でもない 非人間的色。
擬態花 植物! 何それ!? ドリアード!? 分からん! エロい! 怖い!!
の三種が群を抜いて多い。
擬態花は殆ど人前に出てこないが。
人種に敵対的、と言うか家畜化されたもの以外は概ね危険なのが「獣」
こいつらは基本的に一つも印を持っていない場合殺せないと思った方が良い。
それほどに危険だ。
元の世界の獣の形を思い浮かべるのは止めた方が良いぞ、「犬」と訳出来る「獣」でさえ、
目がない
鼻もない
耳もない
口の中に何重もの口
脚が八本
と訳の分からん形だからな。
人種どころか世界の敵、とも言われるのが「魔物」
魔窟・魔宮が放置されると這い出てくるようになる。
瘴気の中で強化される特質がある。
とてつもなく危険で、二つ目の印を持ってる奴が複数人で、
一匹、一体、一頭、を狩るのがセオリーだな。
形も明らかに不自然な奴らが多い。
人間の心臓に人間の口を付けてひっくり返したような魔物とかな。
グロい? うん。俺もそう思う。』