第7話
「それで、麗。高木さんに乗り換えたのか?」
昼休みが始まってから大分時間が過ぎ、学食に行ったやつらのおかげで人がまばらになった教室でランチタイム。
お楽しみにとっておいた卵焼きを味わう瞬間に、、取りこぼす。おのれ。
「智也、おれが卵焼きを下に落とさなくてよかったな。一つ間違えたら明日のお前の席に花が添えられることになっていたよ。」
「ふふ、それは危なかったね、智也くん。」
「いやなんか、さっき仲良さそうに話してたじゃん?愛徳さんは諦めて身近な人にしたのかと。」
「まぁ高城くんあんまり女子と話さないもんね。そう思う気持ちもわかるけど。」
「ただテストの答え合わせから少し話しただけだって。」
おれが女子と話すことは二人にとってはよほどめずらしいらしい。
おれだってわりと女子と話すことだって、、、、
・・・・うん。ないかも。一人話すやつはいるが、学校ではそんなに絡んでこないしな。
「でも高木さんもいい人そうだよね。性格は顔にでるって言うから、きっと穏やかで優しい人なんだろうね。」
「顔も普通にかわいいしなー。やはり麗にはもったいないか?愛徳さんよりは会話できる分、可能性ありそうだけどな。」
勝手なことを言ってる二人を無視して、箸を動かす。
高木さんがあーだこーだ。愛徳さんがあーだこーだ。
女子の制服は冬服か夏服か論争に突入している。
しまいには麗はフツメン。フツメンでも目立つ方のフツメンだから主人公になれないフツメン。
など盛り上げっている。
どうせおれはフツメンですよ。
悔しくない。悔しくない。現代的なビジュアル基準でとても容姿が優れているこの二人のことがおれはまったくうらやましくも悔しくもない。
あ、高木さんがこっちを気にしてソワソワしてる。
聞こえたかな。アウト?アウトかな。
「武、智也、さっさと食っちゃえよ。昼休み終わるぞ。」
「ん、ああそうだね。」
「あ、てめ、麗。なに一人だけ食べ終わってんだよ。」
「お前たちが女子の唇について熱く語っている時にな。」
ブーブー言ってる智也をよそになんとか話題を変えられたことに安堵する。
「にしても智也はいつもコンビニだな。不健康になるぞ。」
「いつもじゃねぇって。たまにお袋が弁当作ってくれてるぞ。朝起きれたときだけ。」
「高城くんみたいに自分で作るって選択肢は?」
「ねぇよ。夢の中でだったら作ってやる。」
「夢の中で火事起こさないようにな。」
「ばか、おまえ。チャーハンくらいなら作れるはず。」
「それは作ったことない人の言い分だね。」
「チャーハンってあれだろ?玉ねぎ刻んで、米入れて卵入れて炒めるだけだろ?」
「いいレシピだな。きっと縄文時代にフライパンが存在したら、智也のチャーハンが主流になってたんだろう」
「いまの工程だと素材の味しかしないね。」
「いや、それはいいタイミングで色々いれるに決まってんだろー!」
「智也の手料理は食べたくないな。」
「あはは、当分は遠慮したいかな。」
「なにをー!!」
結局ぜんぜん食事がすすんでない智也。
ちょこちょこ食べてもうあと少しで食べ終わる武。
このままだと智也食べ終わらないのでは?と、時計を確認する。
長針は10を過ぎるところだった。
更新不定期ですがほそぼそとやっていきます!