第1話
「麗はいいよなー。おまえ勉強しなくてもたいていの教科はいけるじゃん?」
そんな不躾なことを言ってくる金髪ピアスの見た目不良にしか見えない友人、
成原智也は屋上のフェンスに寄りかかりながら愚痴をはくように言った。
「なんだってうちの学校は入学してすぐに中間テストがあるんかねー。5月に中間テストって!!
この間まで受験勉強やってたおれらに拷問すぎね!?」
「仕方ないだろ。というかテストの時期って教育委員会で決められてるだろーから、どこの学校も大差ないって。」
「かー。麗はそういう現実主義っつーの?やめた方がいいぜ?ここは共感して二人で愚痴言いあうとこじゃん?」
「愚痴もなにもおれは嫌だと思ってないからな。智也と違って勉強も嫌いじゃない。」
「バッカ、こちとら非凡な男子高校生なんですー。おまえと違って選ばれた存在じゃないんですー。」
これ以上反論しても智也がうるさくなるだけだと思い、そこで会話を終わらす。
「ハー、ったるいなぁ」そう智也がこぼす。
時計を見ると13時30分。もうすぐ昼休みがおわる。
おれこと高城麗は生まれた時からの意識がある。
正確には人格というものは備わっていないので記憶があると言った方が正しいかもしれない。
絶対記憶能力だとか完全記憶能力だとか色々呼び方はあるが、まぁそういうたぐいの変わった人だと思ってくれればいい。
文字だけでみると羨ましがられるかもしれないが、これが良いことばかりではない。
確かに一度認識した誕生日は忘れることはないから、誕生日おめでとうという言葉は欠かしたことがない。心の中か言葉に出すかは置いておいて。。。
また想像の通り暗記科目に関しては一度認識すれば記憶できるので、勉強いらずだ。
小学校の時の漢字のテストや社会のテストは困ったことがないし、それで先生に褒められもした。
だが出る杭は打たれるというかそんなおれに嫉妬して男子達には「がり勉」などと言われ、
軽いいじめのようなことが起きたり。
認識したものは問答無用で記憶してしまうので、基本的にあまり周りに意識を向けないよう生活しなければならない。これに慣れるまでが大変だった。なにせ駅の広告や家の表札等から全て記憶してしまうのだ。
そのおかげで幼少の頃記憶したどうでもいい情報が多々あるが、中学入学前にはぼーっとしながら行動する技術を身に着けたのでなるべく記憶する情報量は少なくできている。
そのかわり中学時代の思い出と呼べる物も少ないが・・・
キーンコーンカーンコーン
「麗ー、武ー(たけ)、部活いこーぜー!」
「はいはい。」「うん。」
「元気ねぇぞ武ー。」そんなこと言いながら智也が相良武の肩に手をまわす。
「成原くんはいつも元気だよね。」
「気持ちが沈んだら動きも悪くなるからな。だからいつも明るくいるよーにしてんだ!」
「智也から元気をとったらピアスしか残らんからな。」
「なんだと麗こら!」
「あはは。高城くんのツッコミもいつもおもしろいよねー。」
談笑しながら部活に行く為、体育館へ向かう。
おれたちはバスケ部に所属している。武は中肉中背の髪は目に届かないくらいで中性的な顔立ちをしているが、実は中学ではバスケで名門のポイントガードをしていた実力者。この学校にはスポーツ推薦で入ったアシストの天才。
智也もまた金髪ピアスは減点だが、186cmの高身長をいかしたフォワードでガンガン点をとりにいく勝ち気なスタイルからまだ入学して1か月足らずだが1年生の中でも頭角を現してきている。
おれの中学の頃の唯一楽しかった記憶がバスケだ。
体を動かすことは好きだし、小さい頃アニメで「ダンクスラム」を見てからバスケの虜になった。
中学では弱小だったがおれなりに精一杯練習し、3年間を過ごせたので良い思い出になっている。
余談だが「ダンクスラム」で一番好きなキャラは「サッチー」というスリーポイントシューターだ。
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