運命の出会い（戦慄)
えー皆様おはようございます。
巣の中でグダっていたら朝が来たようです。
いや、正確に言うと寝落ちですね。はい。
そういえば、この世界の太陽見たことが無かったわ。
時間も分からんがな。
ま、どうでも良いか。
因みに今、『奴』から全力逃走しております。
ちょっと待てって。
何故こうなった。おかしい。
スキル検証していただけなんだ。
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今朝の回想───
よし、今日はスキル検証しよう。
まずスキルの強化検証。
スキル使用でスキルパワーアップでござる！
ああ、別に使用でLv上がるか分からないけど。その検証も兼ねてやるよー。
まず視力強化ね。
スキルの使用、つまり何かしらを見続けるっていう事。
Lvってどの程度で上がるか分からないし、眼疲労、いや眼精疲労まっしぐらになるかもしれん。
何で転生してまで眼球を酷使しないといけないんだろ。
チッ。これも検証の為。仕方無し。
では検証タイムスタート！
適当にこの洞窟の通路を眺めよう。
この状態は瞑想に近い気がする。開眼モードだけど。
人間だった頃に瞑想、いや迷走をしていた時期があった。
希にふと生きる事に疑問を覚える事があってその度に迷走もとい瞑想してた。
頑張って勉強しても金稼いでも結局死ぬし意味無いのでは？
そう思って瞑想。これを繰り返していたのだよ。
もう瞑想馴れしてるので！
この作業、瞑想と同じ要領で出来るのだよ。
頭を空にして心を無に。これぞ瞑想。
何分でもいけるヨ！
──約5分後
そろそろ五分ぐらい経ったかな？
Lvアップの予兆一切無し。そもそも予兆なんて無いよね。多分。
まだ五分だしそんな簡単にLv上がる訳無いよね。
そんな強化フィーバーとかチートっすか？
異世界転生だからチートとかあっても良い気がするけど。
ウェルカムチート！
ん？そういえばこのスキル獲得した直後から使用始まってるからもう結構時間経ってるのでは？
睡眠時間引いても結構経ってる事になるよね。
『修練度が一定に達しました。スキル〔視力強化Lv1〕が〔視力強化Lv2〕に進歩しました』
『修練度が一定に達しました。スキル〔暗視Lv1〕が〔暗視Lv2〕に進歩しました』
ジャスト！！
良いね。これって主人公補正かな？
いや、主人公って柄でも無いからモブ補正？
モブ補正最高！
というか暗視もLv上がっとるわ。
常に使ってるからそりゃそうか。
そして新しい世界がそこに！
ほぇー！良く見える！
前世は視力悪いっていう訳でも無かったけどこれはレベルが違う！
クッキリ見える。クッキリ！
これはテンションうなぎ登り！
いやー、こんなにテンション上がったのは久しぶりだね。
異世界最高！あえて言うけど人間だったらパーフェクト！
お。早速通路の奥に謎の生命体を発見。
こちらに向かって来てる様子。
結構遠いけど見える。スキルって偉大だね。
で、何あれ？
玉。白い玉がコロコロ転がって来てる。
ナ、ナンダアレー！？
え？あれ生物なの？
口とか目とか一切無いんですけど。
コロコロコロコロ
え………
どうしよっか。このまま殺っちゃおうかな。
あ、でもちょっと可愛いかも。
触ったらモフモフしてそう。
キュートなモフモフを殺すのはちょっと……
ジャキンッ！
前言撤回。可愛くねぇ！！
モフモフから無数の棘が！
うに！白いウニ！
モフモフがウニなったんですけど！？
ジャキキキキキキキン！
速い！
逃げないと！
追い付かれたら死ぬ！
気分的にはイ◯ディー・ジョー◯ズの大玉のヤツかな。
全くシャレになんねーわ。
〔視力強化〕と〔暗視〕Lv2に上げておいたのは正解だった。
いち早く察知できて良かったわ。
あのー、どんどん近づいて来ません？
あ、この速度じゃいつか追い付かれるね。
詰んだ。
困った時の神頼み。
神なんて一切信じた事無いけど。
ヘルプミー！
グシャッ！
え？何？
ワオ。蛇さんだ！
選ばれたのは神でもなく大蛇でした。
棘ボール食われとるやん！
デカっ！通路完全に塞がっちゃった。
うぇぇ……棘ボールの咀嚼音が……
いや、奴は時間を稼いでくれているんだ！
今のうちににげろー！
え、もう大蛇来てる！
早っ！？
もう食ったん？
おお、完全に俺をロックオンしてる。
今度こそ終わったな。
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で、今に至ると。
ヤバいなーどうしようかなー。
見たところアイツも俺より速そうだし、逃げ切れる可能性はかなり低い。
それよりも体力がもう限界。
この体の燃費クソだな。前世だったらもっと走れた（と思いたい）。
我儘言ったって何も解決しない。ちくしょう。
『修練度が一定に達しました。スキル〔駿足Lv1〕を獲得しました』
わあ、すごーい。
え？この土壇場でスキル獲得？
へえー駿足か。だいたい名前でスキルの内容は予想つくけど。
駿足って名前だけで効果は全く別物だったり。普通にあり得るね。
スキルの詳細とか欲しい。内容を詳しく知りたいんじゃー。
『要望を受理しました』
またお主か。
『所持ポイントを消費し、スキル〔鑑定〕を取得します……』
これ前のやり取りとほぼ同じなのでは？
『要望の実行は不可能です』
出来ないんかい！！
出来る雰囲気出してただろ！！期待を返せ！
はぁ。スキルポイント足りないのかな？
それにしても鑑定か。
スキルの内容知りたいし、ポイントが増える事を願いたい。
マジで。
おっと。後ろの大蛇忘れてた。
ズルズルって音が結構近くで聞こえるよ。
本格的にマズイ。
痛ッ！？
ちょっ、噛み付かれた！？
マズイマズイマズイマズイ！
ああ！痛ッ！
そんなに激しく床に叩き付けないで！
天井もヤメロ！バカ！
ぐえっ
やっべ意識が薄れてきた。
せっかく二度目の人生、いやムカデ生も棒に振る事になるとはね。
異世界転生の機会も無駄にした。
どちらかと言えばこっちの方が重要だったわ。
案外生きる事自体どうでも良かったのかな。そう思うと悲しい。
ああ、もう意識が飛ぶ。
俺もあの大蛇の胃に収まるのか。
いいや、そんなことは許さん！
こんな転生の機会二度と無い！
そんな奇跡をみすみすドブに捨てろと！？
ないね！例えムカデだとしても！ムカデだとしても！！
ちくしょう！
虫魂舐めんなよ！
まず叩き付けるのを止めろ！
根性で振り返りつつ目潰し唾液ボンバー！
手が無いから取る事も出来ないだろ！
うっわ！体が千切れた！
しかし今は虫。それぐらいで死なねーよ！
はい、逃走！
戦うなんて選択肢から除外済みよ！
こんな無理ゲー逃げるに尽きる！
エスケープ！
まだ追って来るか！
あーもう無理無理無理！
盲目状態で追って来るとか執念深すぎ！
っておわわわわ！？
前からも何か来てる！？
うそん。
熊。洞窟内の熊ね。そして大蛇。大ムカデ。
ここのモンスターのバリエーション豊富ね！！
熊と大蛇に挟まれる自分の圧倒的場違い感が否めない。
幸いにも両者とも立ち止まってくれている模様。
前門の熊に後門の大蛇。はい、逃げ切れる気がしません。
特に熊！動物が出してはいけない威圧感が漏れていますよ！
少しは自重なさいな！
待て待てもしかしたら温厚な動物かもしれんぞ？威圧感が尋常じゃないけど。
熊って基本的にノータッチなら温厚な動物だからね？
ヒュッ！
ぐあああああ！！！
触覚切られた！
何処が温厚だボケェ！滅茶苦茶狂暴じゃねーか！
というか切られた瞬間見えなかったんですけど？速くね？
今のが顔に当たってたら即旅立ってた☆
冗談じゃない！設定がおかし過ぎるんだよ！
あのね、最初はスライムみたいな雑魚系モンスターを倒してコツコツ強くなっていくものでね？
いきなりボス級モンスターに退路潰されながら死闘するものではなくてね？
俺の場合死闘というか一方的な被補食だけど。
総合的に言うと難易度設定がヘルモード！
誰がこの地獄に転生させやがった！
イージーモードを所望する！
熊が突貫してきた。
どうやら願いは届かなかった模様。
ぐへっ
あ～すごい。熊にタックルされたー。
そして錐揉み回転しながら壁に突っ込む。
ゲブゥッ！？
もう体ぐちゃぐちゃになってんじゃないの？
しかしよく耐えたマイボディ。
うっわ。熊と大蛇がバトってる。
あ、元々熊の目的大蛇だったのね。
タックルの巻き添えになった自分は一体何だったの。
何で触覚切り飛ばしたの。
へー。大蛇より小さいのに善戦してやがる。
大蛇が盲目状態ってのも原因の一つだろうけど。
このままだと熊が勝ちそう。
では問題。熊が勝ったら次に狙われるのは？
A：俺でーす！
まあ、そうなるよね。
食わない理由なんて無いもの。
と、いうことで
ニゲロー！
逃げ際に熊が俺を恨めしそうにチラ見。
やめろ、その眼差し！俺は餌じゃねー！
視力強化……欲しい。
