トラウマの襲来
ZZZZ……
ん・・・
あー、良く寝た。
アラームに叩き起こされる事も無く、自然に起きる。
まず、周りを良く見る。
今までの事は全て夢オチだったり・・・
目の前にあるのは土の壁。
まあ、分かってた。
でもちょっと期待してた。残念。
軽く体を伸ばす。
体がワサワサ動く。
うー、我ながらキモい。
うん、怠けたくなる気持ち良さだ。
だが、今は怠けている暇は無い!
よし、今日もいっちょやりますか!
巣の外へレッツゴー!
やっぱり無理だ!レッツ退散!
サッと頭を引っ込める。
巣の前では、何かがもぞもぞ蠢いていた。
直感した!アイツはヤバい!
強そうとかそういう類いの“ヤバい”では無い!
“ヤバい”のベクトルが違う。
そっと頭を出す。
ゴキブリだ!コイツもデカイ!
うっ、憎きゴキブリのトラウマが……
あれはお盆に実家に帰った時の事……
俺の実家は日本家屋だった。
ある日曜日の朝……
俺はいつも通り普通に起きた。
そして手の甲の違和感に気付いた。
右手の甲に目線を移すと、そこには・・・
謎の物体があった。
早朝でぼやけた目を凝らして見ると・・・
そう……ゴキブリだった。その存在を認識すると、俺の右手の甲は、壁に無意識に吸い寄せられていた・・・
グシャッ!
ゴキブリは俺の手の甲から腕にスルスル移動して裏拳を躱す。
何ィ!?あの裏拳を避けただと!?
「……!」
俺の後ろにあった柱に後頭部をぶつけた。
無茶苦茶痛い。
あ、タンコブ出来てる。
俺の本気の裏拳で壁に穴が出来ている。
やっちまった……絶対怒られる
ゴキブリは何処かに消えていた。
被害残しておいて消えるとか悪質!
どうやって隠蔽するかで頭をフル回転させる俺も大概だけど。
頭を冷してから戻ると、見事に穴が出来てる壁が見える。
これ、どうしようかな・・・
サッ
へ? 何かが動いたような・・・
次の瞬間、壁の穴から黒い物体が溢れ出てきた!
アイツもコイツもゴキブリ!!
次から次へとゴキブリが出てくる!!
「 」
声にもならない叫びが出た。
・・・あれ以来、ゴキブリはトラウマになってしまった。
そしてそのトラウマが今ここに居る・・・
外に出たくねー!!
嗚呼、何故アイツがあそこに居るんだ!
どこかに行ってくれる事を願い、天を仰ぐ。
ムカデが天を仰ぐ姿。シュール。
ズボッ
巣の外側からゴキブリの顔が出てきた。
☆思考停止☆
さあ、ゴキブリとムカデの大怪獣、いや大害虫バトルだーっ!
ムカデとゴキブリが見つめ合う!
沈黙。両者、動かない!
キシャーッ!!!
沈黙を破るのはゴキブリだった!体当たりを繰り出す!
ムカデが身を捩らせて避ける!紙一重だ!
上手い、上手すぎる!最早美しい!(害虫である事を除けば)
隙を突いてムカデが体を巻き付ける!
ここで隙を作るなど言語道断!
これはゴキブリ不味いぞ!
ギー!!ギシャー!!!
ゴキブリが身悶える!
ムカデが更に強く巻き付く!
容赦の欠片も無い!
情が無いのか!?
ベキッ!ミシミシッ!パキパキッ!
ゴキブリの体から何かが折れ、軋む様な音が出てるぞ!
死ぬぞこれ!
ギュイ…!ギュガッ………
死んだァァァアアアア!!!
大害虫バトルを制したのはムカデだった!
ゴキブリ撃沈!
・・・ハッ!
本能的にゴキを殺ってしまった!
恐るべし俺の本能!
ふう、取り敢えず一匹駆除完了。
しかしなぁ・・・
未だに巣の前ではゴキがウジャウジャ居る。
放っておくとまた巣に入りかねん。
どうしたものか。
トラウマと真正面から闘うのは嫌だし。
見るのも嫌だし。
というか、正攻法じゃ負けるかも。
じゃあ、姑息に行ってみる?
ゴキブリがワラワラしている。マジでキモい。
そんな所に謎の液体が飛んでくる。
ベシャッ
謎の液体が掛かる。
喰らえ必殺!唾液マシンガン!!
この唾液の事を昨日、色々調べた!
その結果、俺の唾液は超強力な瞬間接着剤だった!!!
一度付いた時には時既に遅し。ガッチガチよ!!
ただし一つ難点がある。この技は汚い!!自分の物だけど。
そしてその唾液が今ゴキブリに襲い掛かる!!!
ビシャシャシャシャ!!!
全弾命中!
床と体が唾でくっつく。
これでお前らは動けない!
ゴキブリが必死にもがく。
無駄ァアア!!!
もがいても動けまい!!!
これを破ったら、やる気無くすよ!?
しかし、ゴキブリが破って来る気配は無い。
ふう、ひとまず安心。
さて、コイツらをどうやって処理しようか。
俺がどこかに行けば良い話だ。しかしここはお粗末だが、初のマイホーム。思い入れがある。だからここはなるべく離れたく無い。
コイツらは合計で五匹。ゴキブリは集団行動するって本当だったんだ。
放置したらいずれ死ぬだろうけど、匂いで他の化物が来てしまうかも知れない。
それだけは避けたい。
何故かって?じゃあ貴方に質問です。
好き好んであんな奴らを見たい?そして戦いたい?
だいたいの人はノーと答えるだろう。
イエスと答えた人は・・・うん。無視しよう。
巣の中に入れて置く。
これは俺の邪魔にもなるし、匂いも出る。かも。
これは無し。
遠くに捨ててくる。
これは多分無理。コイツら明らかに重そうだし、五匹も居る。それ以前に、この体で運べるだろうか?
だとすると・・・
簡単に出来て、俺の邪魔にもならず、匂いも残らないような処理の仕方・・・
あー。これだけは止めたいが、これしか無い。
もう俺が食うしか無いっしょ。
俺が考えた中で一番理に適っている。と思う。
ゴキブリを食う・・・
今まででダントツで無理難題だ。
しかし生きる為だ。仕方無い、仕方無い。
改めてゴキブリに対面する。
うぅ・・・
気持ち悪い。まだちょっと動いている。
正直、もうトラウマとかどうでも良くなってきた。
ただキモい。それだけ。
暴れだす可能性が無いとも言えないから止めは刺しておく。
見ない様に、見ない様に・・・首をガブッとな。
・・・首無いよね。多分。
ガブッ!
んなっ!?
硬ッ!!
何この硬さ!?
ああ、これアレだ!あ◯きバーの絶対防御壁だ!
しまったこれは絶対破れない!
昔試した事あるし。
冷凍庫に入れてカチコチにしたあ◯きバーを思い切り噛み砕こうとして負けた体験あるんだよ俺。
あの時はプライドで滲む涙を堪えてたけどこれも一種のトラウマと化した。
コイツ、俺の嫌な要素を二つも持って来やがった!
正に俺の天敵。何でここまで来た?
しかし嫌な要素を二つ持っていようとも俺は食わなければいけない。
ああもうヤケクソだ!!
意地でも食ってやる!
自主規制ワールド発動!
ここからはバイオレンスに移行!
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ハーッ!ハーッ!
討伐完了!
ヤバい。もう小一時間ぐらい格闘したよ?
ゴキブリの鋼の装甲を破るのは苦労した・・・
いやもう滅多打ち・・・?
良く分からない。
兎も角ゴキブリをボコボコにしました。
エグいね絵面が。
原型を留めて無いね。
これがゴキとは誰も分からないでしょうね。
もう挽肉だよ。これこそザ・挽肉状態。
モザイク必要だよこれは。皆、見てはいけない。いけないよー。
そして実食!
最大の苦難!
さあ、どんな不味さかね?君は。
それとも期待を裏切るか?
そうである事を願って・・・
イタダキマスッ
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そう思っていた時期が自分にもありました。
うぐっ。すまない。もう持たない。
俺が消えた後は酷い事になるだろうな。
だが俺は行く。別れだ。
さあ、お前は行け!限界の向こう側へ!
去らば!
あ゛あ゛あ゛ああぁぁ!!
クソォォォオオオオオ!!!!
マッッズゥゥウウウ!!!!
何この不味さ!!
この世の物じゃない!!
口の中で混沌が渦巻いてやがる!!!
痛い!!!口が痛い!!!苦しぃぃぃい!!!!
しかも不味さが遅れて爆発するタイプ!!!
五匹も食っちまったじゃねえか!!
俺の努力の返還を要求する!
昨日の蚯蚓を軽々と超えてきやがる!!
あああぁぁぁぁぁ!!!!
はい!!!俺のブラリスに追加!!
もう絶対食わないね!絶対に!
『修練度が一定まで達しました。スキル〔毒耐性Lv1〕を獲得しました。』
そして不意打ちの導師ィ!!!
急に出てくんな!!!
読み返してたらゲシュタルト崩壊した。