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前世社畜な辺境伯は物語から退場したい(過労のため)  作者: もちだもちこ


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24/31

24、あれから時が経ち……

お読みいただき、ありがとうございます。


 それから一年、カイトたちはダンジョンの探索に勤しみまくっていた。

 さながらブラック企業ばりのスケジュールで、アタックしている。

 どうやらカイトとユウコは、早く元の世界に帰って大学に進学したいらしい。カオリは元の世界での「俺」がどうなったのかを確認したいようだ。


 もちろん、俺は全力で彼らをバックアップしていたし、国王夫妻や両親からの「結婚しないのか」圧力も全力で振り払っている。

 俺の回避能力の高さを思い知れ!


「世間からの目は誤魔化せていても、ご家族は分かってらっしゃるようですね。デューク様がただ面倒だから結婚したくないという、どうしようもない理由を」


「お前が先に逝くまでは、俺は独り身でいるぞ」


「発音が縁起が悪いです。あと、普通は逆ですよ。年齢的にも」


「バスチアンは、いつまでたっても失礼だなぁ」


「らいふわーく、ですので」


「そんなもんライフワークにするな」


 時折、カイトたちが遊びにきた時に、バスチアンはカオリの魔術指導をする傍ら、異世界の格言や言葉を教えてもらっている。

 それを奴はドヤ顔で俺に使ってくるのを、心の底から鬱陶しく感じる今日この頃だ。


「お父様ー、大変だヨー」


「なんだ息子よ。またカオリが頭を撫でてくれたのか?」


 カオリは意外と子育てに関してはスパルタで、結構な働きをしている蛇苺を滅多にほめない。代わりに俺がほめているのだが、それでいいのかと思うくらい喜ぶ。謎だ。


「違うヨ! お母様たちが『界を越える』魔道具を発見したんだヨ!」


「なんですって!?」


「え? もう見つけたの?」


 思わず本音を漏らした俺を、バスチアンは見逃さなかった。


「デューク様? 今のお言葉は一体どのような意味です?」


「ははは……」


 いやいや、バスチアンには話していたよね? 俺の前世とか、前世とか。

 え? そこまで詳しく聞いていない?


 ……マジかー。







 原作の小説では、隣国のゲススギール帝国が侵略してくるが、主人公の活躍?で和平交渉に持ち込まれる。その後に『界を越える』魔道具が見つかるという流れだった。


「まぁ、その流れはなくなっただろうけどな」


「なくなったといいますか、デューク様がなくしたというのが正しいかと」


「お父様は、本当にお母様が大好きなんだネ」


「こんな大きい息子さんがいらっしゃるんですから、さっさと本当の夫婦になってしまえばいいんですよ」


 呆れ顔のバスチアンと蛇苺に、俺はそっぽを向く。


 だって、俺とカオリがくっついてハッピーエンドとか、そんなんありえないだろう?

 カオリは元の世界に戻って、それから、きっと、誰かと幸せになるのだから。


「その誰かさんが、ロクでもない男だったらどうするのです?」


「そりゃもちろん、俺がギッタンギッタンに……」


 そう言ったところで、呆れた状態から、さらに残念な子を見るような目で見る二人。

 うん、ちょっと落ち着いてみよう。


「その魔道具は?」


「こちらで解析班にかけています。何回使えるのか、界を超えた場所の特定はできるのか、時間軸のズレはないのか……など、使用前に判明させようかと」


「さすが、バスチアンだな」


 時間のズレまでが分かるなら、それに越したことはない。

 年単位で大学受験ができないとか、カイトたちには辛いことだろう。

 魔道具を解析し、うまくいけば『転移した日時』に戻ることができるのなら、それに越したことはない。


「解析すれば、同じ魔道具が作れるとは思いますが……」


「そんな危険なものを量産するとか、あり得ないだろう。秘匿できないなら滅却だな」


「ですよね。そうなりますよね。はぁ……」


 がっくりとうな垂れるバスチアンを、珍しく蛇苺がよしよしと頭を撫でている。

 おお、甘えるばかりの息子も成長したものだなぁ。


 さてと。

 カイトたちは竜の谷に隣接するダンジョンに、昨日からもぐり始めているところだろう。隣国からの先行隊は、明日あたりに国境を越えてくる予定だと、精霊たちから報告をもらっている。


「このまま泳がせて、本隊をおびき寄せてから一気に叩くぞ」


「王都からの増援を待たないのですか?」


「間に合えば加えるぞ」


「……ですよね」


 ゲススギール帝国が他国に侵略の手を伸ばそうとしていることは、王都でもわりと知られていることだった。

 そして以前にも国境を侵し、当時の辺境伯からコテンパンにやられたことを、今代の皇帝はすっかり忘れているように思える。


「親父殿に地の利を生かす戦法を教え込まれ、さらに精霊たちの助力を得られる俺に、負ける要素はないのだよ」


「うわぁ……これで負けたら、めちゃくちゃ恥ずかしいですね」


「そういうこと言うの、やめて」


 そんな会話をしている最中でも、ひっきりなしに精霊たちから情報をもらえる。

 どうやら、ちょっとした戦争になりそうだ。


「魔獣退治だったら、ここまで嫌な気持ちにならないのになぁ」


 異世界ではあるが、今、俺が生きている世界はここにある。

 戦争、魔獣、剣と魔法、そして神と精霊。


「最後まで、お伴しますよ。デューク様」


「ありがとう。じゃあ、美味い茶をいれてもらおうか」


「お菓子もたくさん用意しテ!」


「かしこまりました。デューク様、お坊っちゃま」




 今、俺が生きている世界は、彼女の生きている世界でもあるんだ。




これからも頑張ります。

よろしくお願いいたします。

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