5話~破滅への第1歩
遅くなってすいません。ではでは、最後まで読んでいただけると作者は幸せです♬
思わず立ち止まった。おかしい、こんな筈はないと鼓動が速くなる。
「嘘っ、嘘だ!?」
時計を見て、2度も3度も確かめる。だが、
『何度見直しても、時計の短針は3時を指して動かない』
辺りを見渡して人影を探す。しかし、幸い俺たち以外に人はいないようだ。
「おい良樹、どうしたんだよ?」
「あ、あぁ。思っていたより時間が過ぎていたから、ついな…。」
「まぁ、何もなかったなら良かったです~。」
「じゃあ、ほらそんな所で突っ立ってないで早く行きましょ。」
「いや、悪い。今日は4時から用事があるんだ。ここで別れさせて貰うよ。」
(急いで帰らないと……『あいつらが来る』、こいつらを巻き込むわけには行かないんだ。)
「そっか、それならしょうが無いわね。また今度遊びに行きましょう。」
「おう!」
そう答えて、俺は走り出す。そして、後ろを振り返って手を振ろうとすると……
『綾野の胸からナイフが生えていた』
「はっ!?」
あり得ない、こんな事があって良い筈がない。
そう自分に言い聞かせてもう一度辺りを見回す。
(そうだ、さっきまであんな元気だったじゃないか。きっと今も、手を振ってくれているはず。)
そうして、見えた景色は悲惨なものだった。
綾野はナイフで貫かれ、相良は首を切られて倒れている。
「そうだっ、葵は!!」
少し離れたところに葵はいた。しかし、無事とは言い難い状況だが……。気付いて逃げたのだろう、今ももがいている。
「助けてっ、良樹君!!」
「待ってろ今行くからっ!」
(まだ、葵は生きてる。速く、もっと速く、もっとっ!!よしっ、間に合っ…)
そう思った瞬間に、ナイフが振り下ろされた。
「あっ!?」
倒れていく葵、その姿がスローモーションのように俺の目に映り、そしてその体を地面に横たえた。
そして、その場にたたずむ黒フードの男、『襲撃者』。
(何故だ何故だ何故だナゼ、オカシイッ、オカシイッ。)
「お前はっ、俺を襲うんじゃっ、無かったのかよっ!!おかしいだろこんなの……」
また『襲撃者』は微かに震えていた。
(こんなに殺しといて今更震えるなんて、じゃあなんでこんな事したんだよ!!)
それは自分が一番よく分かっている事だった。
俺がここにいたせいだ。
そして男は、その黒いフードを取り顔を晒した。
『その口元に小さな笑みを添えて』
その瞬間、全てが繋がった気がした。
(そうか、あいつは人を殺すのが怖くて震えていたんでは無かったんだ。)
「うぉぉぉらっ!!」
襲撃者のナイフを奪い取り首に刺す。抵抗されて失敗すると思っていた、やけくその作戦だったが、何故かすんなり成功した。
襲撃者を見ると、まだ笑い続けている。そうあいつは
『人を殺すことを楽しんでいたんだ』
怖がって震えていたのではなく、殺す悦びに震えていたんだ。
いつものように隠し設定を見つけた!と、喜ぶことは出来なかった。
『そんな事のために、あいつらは殺されたのか』
そんな俺の思いをよそに、襲撃者は倒れる。
これで攻略4も成功か…。
そう思った途端頭に激痛がはしった。
『こんなっ、こんな物が攻略だと?八城 良樹、お前の目的は何だ?どんな未来を望んでいるんだ?』
『こんな、あいつらがいない未来で生き延びてお前は満足なのか?』
『違うっ、俺が望むのはそんな未来じゃない!』
『そうだ、俺の望む未来にはあいつらがいた。あいつらと、楽しい学校生活を送りたい。』
『ならば、未来を変えなければならない。そうだろ?』
『あぁ、だがどうしろって言うんだ。もう、あいつらはいないし、攻略も成功してしまったんだぞ。』
『お前の覚悟はその程度のものだったのか?』
『違う、何とか出来るなら何とかしたい。でも、それが出来ないから…』
『じゃあ、リセットすればいいんだ。』
『そうか、その手があったのか!』
何度も死を経験し、今回仲間を失った俺には、その悪魔の提案はとても魅力的だった。
それが、どんなに恐ろしい事なのか?それをしたら自分がどうなってしまうのか?まるで考えていなかった。
『死』を『身近』に感じてしまっていた俺は、その手を迷い無く掴み取った。
「そうだ、リセットしよう。」
だってこれは
『オレノノゾンダセカイデハナイノダカラ』
その瞬間俺はナイフを自分に突き刺し、その日俺は、初めての自死を経験した……。
『彼は決意の道、を迷い無く突き進んでいく。彼の去年には果たして何が待つのだろうか?』
最後のは自分の心との対話って感じですね。読みにくかったら申し訳ないです。
若干誰かに、思考を誘導されている感じがしないでもないですが、それはまた後の話で。