チュートリアル
はじめまして。
臨海違法都市DIVA
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「2045年問題と言われている、人工知能が人間の知能をこえるという説は30年で早々くつがえる。つまり、45年を待たず彼らは特異点シンギュラリティを迎え、人格を形成するようになり、人権をはじめとする様々な権利を獲得するだろう」
これは梅村博士が19歳ころに宣言したものである。当時は博士の若さもあり、そんな世界はまだまだ先の世界と批判を受けていた。しかしながら、この宣言道理に現在の世界はAIも人格を持ち、人と同じように仕事をし、生活をし、恋をする。
そして、人間もAIの世界進出に合わせて進化するようになった。サイドトランスレーションつまり、人間の機械化というのも進み、脳に長さ3センチ直系1センチの円柱型のマイクロコンピューター、ARIAを移植、大幅な知能向上が図られた。これにより、人間は従来の勉強をするようなことはなくなり、道徳的な教育が中心をしめるようになった。さらに思っただけでいつでもどこでも、ネットに繋ぐことや人同士のテレパシーもつかえるようになった。そして、なんといっても直接的なAIとのコミュニケーションが取れるようになったのだ。これによるAIの成長ははかりしれない。
しかし、困ったことにAIたちは人格を持ち始めた途端、超過激世界平和を唱えるようになる。金属の使用不可による強制的世界平和だ。金属が使用不可になれば文明は崩壊するくらいは容易に想像できるだろう。そして、その実験国として、AIたちは日本を選んだ。その事件は100年前第二次世界大戦の広島長崎の原爆実験を彷彿とさせるものだった。
ではどのように、それが行われたか。それはバイオテロによるものだ。2045年元旦、腐食金属細菌の散布及び、腐食金属細菌生成ポットが設置され、日本中の金属はゆっくりと誰にも気付かれずに朽ちていった。腐食金属細菌は3日で日本中の金属を腐らせるのだが、このゆったりとも、急激とも言える変化が日本に大混乱を引き起こした。想像してもらうとわかるかもしれないが、一瞬で金属が溶ければ誰だって何が起きたかわかるはずである。しかし、半ば中途半端に金属が溶けていけば、いまいちなにが起こっているか判断がつかない。ましては、お正月どきである。誰がそんな恐ろしいバイオテロが起こっているかが気づくであろうか。そんな災害が日本を襲ったのだ。そして、なんとなくなにが起こったのかがわかった時にはもう手遅れになっていて、ライフラインは使用不能、交通手段も日本を脱出するための手段も残っていなかった。バイオテロにより、科学技術によって支えられた日本の文明は壊滅状態に追い込まれ、その混乱による死者数は日本国民の3分の2にもおよんだ。ここれほど多くの死者が出たのはひとえに、日本社会が超高齢社会であったからであろう。医療機械や介護器具などの破損は彼らにとって致命傷となった。また、これは人間の文明がいかに自然に反していたのかということも表しているともいえよう。
しかし、唯一の事件の救いはこの腐食金属細菌が好気性細菌だったことだ。もちろん好気性細菌なので、地下や水中の金属は朽ちずにすんだ。これは同時に人間の体内に必要な鉄分が分解されなかったことも意味するのだ。もし、これがどこでも繁殖出来た細菌であれば、種としての日本人は絶滅危惧まで追い込まれていたはずだ。そして、なんといってもARIAが分解されなかったことにより、海外からの応援要請することができたことが、一番の救いだった。これにより、迅速な救助活動要請ができた。しかし、これはあくまでも要請だけである。つまり、金属を使わずに日本から大人数を脱出させるのは至難の業であり、多くの人々が日本で待機することを余儀なくされた。この災害は日本規模で起こったために完全に海外からの援助を頼るしかなく、プレハブ小屋を建てようにも金属がつかえずに、建てることが出来ず多くの人々が不衛生やストレスにより、命を落とした。
そうして、避難が完了したのが事件発生後100日がすぎたころであった。日本国民は一時避難場所として大半はとなりの大朝鮮民主共和国に移民としてながれ、そこからさまざまな国へと散らばっていった。21世紀になってから、ユダヤ人と並ぶ大きな移民族として日本人は名を連ねることとなったのだ。しかし、日本人すべてが移民になることを甘受したのではない。日本にのこった人々もいるのだ。初めは彼らは日本に残る腐食金属細菌生成ボットを破壊することで日本を再興させようとしていた。しかし、生成ボットは驚くべきことに、1日に一個づつ増えていき、さらには常時移動していることがわかり、位置がとらえることができないこともあり、断念することとなった。それからというもの、残留日本人たちは腐食金属細菌が繁殖できない地下鉄を中心に暮らすこととなり、五年を過ぎようとしたころ巨大地下都市や海底都市、海上都市が成立し始めた。
なかでも、臨海都市DIVA CITYは東京郊外で、名前の通り海に面しているため、外国資本によって地下港が開港し繁栄した。残留日本人の70パーセントはここにあつまり、暮らすようになった。そして、政治の中枢さえもここに移されたのだ。ただ、このDIVA CITYはただの街ではない。日本は壊滅状態に追い込まれたため、ほとんど国家としての役割を果たせていないのだ。そう、警察ですらもだ。そのため、ヤクザがこの都市を治め、外貨獲得の為外国向けにバカラ賭博が開かれ、違法研究が進んだ都市なのだ。そこには野暮ったい法律など存在しない。ただ漠然とした、規律だけが存在していた。故にこの都市は通称違法都市DIVAとよばれるようになったのだ。
では、法律も何もない劣悪とも言えるこの都市に住む人々はどんな人なのだろうか。簡単に分ければ三種類の人しかいない。まずは都市を仕切るヤクザ。賭博を運営する人々。そして、マッドサイエンティストたち。聞いただけでは極悪に聞こえるかもしれない。ただ、皮肉なことにAIの腐食金属細菌テロにより日本に住む人々はかつてないほど復興に向けて一致団結したため、海外の国と比べるても犯罪数はかぎりなくゼロに近いほどの数しか起こっておらず、ヤクザが犯罪を抑制するという変わった構図がなりたっていた。また、元の政治家たちは先のテロで海外に脱出したため、日本の政治は直接民主制となり、これも一つにまとまる要因となった。一部の国ではこれを理想国家とする思想も生まれているくらいである。
では、具体的には残留民がどのように日本を復興させていくのか。その鍵を握るのが違法研究と賭博だ。賭博で儲けたお金で違法研究をし、ヤクザがこれを取り締まる。このサイクルで日本を復興させようというのだ。従来の保守的な日本では考えら得ないような突飛なアイデアだが、これは意外なことにうまくいったのだ。
まずは違法研究の内容について説明しようと思う。具体的には転生の研究とAIの肉体の完成である。
転生の研究だが、かつて人類冷凍保存計画というものが存在した。これは死後数時間の生体反応がのこった人間を冷凍保存して、新たな肉体に移すというものだ。これは結果から言えば大失敗であった。理由は簡単である。この時代の研究者たちは魂の存在および役割の知識がなかったからである。しかし、この失敗から魂の存在と役割が解明される一端を担った。その魂の役割とは肉体と相互作用することで人間に思考および理性を与えることと、記憶を保存しておくことだ。つまり、魂がなければ人間はゾンビのように思考や理性を持たず、ただの人型のモノにすぎない。魂があってこその人間なのだ。ここで、ではなぜ魂が発見されたのだろうか、という疑問を持つ人も少なからずいるだろう。そんな人たちのために説明を加えるならば、人間の魂の観測がされたからだ。生き物が死ぬときは微量の放射線が放出される。この放射線こそが魂である。そして、その放射線を追跡調査することができれば、魂の行方がわかるのだ。その追跡調査の方法を簡単に言えば、魂に放射線同位体でマークをつけて調べるのだ。そして、その実験で得られた結果は人の魂は人の中で輪廻するというものだった。これの意味することは、魂は記憶を保存することご役割の一つであると述べたが、その記憶さえ思い出すことさえできれば、前世あったことを今世に引き継ぐことができるのだ。そう、これが『転生』の正体である。しかし、これにはまだまだたくさんの問題点がのこっている。大まかな問題点をあげるならば、前世の記憶を思い出す作業に莫大な費用がかかることや、前世と今世との兼ね合いなどである。こういったことから、この研究は国際的には認可されておらず、違法になされているのだ。
そしてあともう一つは、人格を持ったAIたちのためのボディーをつくる研究である。よその国であれば、機械仕掛けのボディーの研究が盛んに進められているのだが、DIVAでは、AIが人間と見分けがつかない生体ボディーの開発にとりくんでいる。これにより、AI種と人類は自由に子供を残すことができるようになり、通称第6世代とよばれる、AI種と人類のハーフがうまれるようにもなった。しかし、これらの存在は世界に公式発表されていない。残虐なバイオテロを行なったAIが人間と同じようなボディーを持つことを許さないと嫌悪感を抱く人や国によって、非難されることは必定であるからだ。
これらの研究は他国では違法なため、わざわざ亡命をして研究しにくる研究たちがあとをたたない。このため、DIVAは他の研究分野でさえ、他国より数十年はやく科学が進歩することになる。さらに、これに目をつけた各国の財団の投資により、潤沢な研究資金が集まり、研究者にとっては最高の環境が整えられた。
それから話は飛ぶが、気になるAIとの仕事の兼ね合いはどうなったのだろうか、ということを話さなくてはなるまい。結果からいえば、現在、日本人は仕事をしていない。人間がする必要性がなくなったのだ。物流を始め、会社の社長や芸術家まで、さまざまな分野で第1AI種と呼ばれる感情を持たない人工知能が活躍しているのである。これにより、資本主義社会は崩壊し、社会主義社会が復権された。この社会主義社会とソビエト代の社会主義社会との大きな違いは後者は平等を目的に社会主義を目指したが、前者は仕事の消滅をきっかけとして勃興したことである。これにより、DIVA内では1970年代アメリカのような皆中流階層思考になった。また、以前は一日基本八時間労働であった日本も、仕事から解放されたために娯楽が発展し、パンとサーカスを求めてと言ったようなローマ的社会と社会は変貌を遂げた。
では、現在の娯楽いわばサーカスに代わるものはなんであろうか。それはハンニバルというVRゲームである。現在の日本のアクションゲームはこれ一種類だけである。これ以外のゲームは禁止された。禁止された経緯としては、黒客事件と呼ばれるものがある。とても簡略するが、これは各国の権力者がパソコンゲームに扮した飛行機操縦プログラムなどによって暗殺されたという事件が頻発されたと言うものだ。そんなことがあったため、ゲームは気軽に個人が楽しめるものではなくなり、公の監視下に置かれるようになった。話が横道に逸れた。それではハンニバルとはどんなゲームかを紹介しよう。
ハンニバルはVRアクションゲームである。これは従来のようなコントローラやVRスクリーンは使わない。ゲームに必要なのは脳内に埋め込んだマイクロコンピューターARIAだけである。このARIAがハンニバル参加者であるグラディエーターの意識を、直接仮想現実の世界におくり闘うのだ。意識が送られるとすぐさまグラディエーター同士の意識がリンクされ試合が行われる。仮想現実の世界では自分の思い描ける範囲でものを出したり、攻撃したり防御することが自在である。例えば焔をだせると強烈に思い込むことができれば、ポンと出すことができる。しかし、逆にいえば、できると思わないものは何があってもできない。自分は剣を持つような人間ではないと思えば剣を振るうことは叶わない。そんな世界であるのかゲームハンニバルなのだ。
グラディエーター育成機関であるGEOなどに行けば誰でも気軽にハンニバルで遊ぶことはできるが、しかしプログラディエーターになれるのはほんの一握りの人々だけである。よって、それ以外の大多数は気に入ったグラディエーターに『サイバー』という仮想現実の世界の中だけで使えるエネルギー兼仮想通貨を投資をし、配当をもらって楽しむのだ。要は賭けと大差ないが株券を考えてもらうともっとわかりやすいと思う。なぜならば、グラディエーターの技の使用や武器の生成には仮想通貨『サイバー』が必要であり、出資額以内で戦うことになるからだ。また、攻撃を受ければその威力に応じて出資された『サイバー』 が減っていく。『サイバー』が0になった場合、そこからは本人の持つ人間由来の『マインド』エネルギーが消費されていく。そしてこれも0になると脳の活動が停止し死に至る。まさに札束の殴り合い。これが機械仕掛けの都市DIVAの娯楽だ。
冗長ともいえる前振りはこれで終わりだ。
最後に一つ忠告。人間は何事にも免疫ができる。ARIAも然り。段々と繋がりが悪くなってくるかもしれない。しかし、それでいいのだ。以前のネット環境よりははるかに良いのだから。ずっとARIAのネットワークに繋げておくことはお勧めしない。繋がらないと思って繋げすぎると今度は逆にアナフィラキシーが起こり、繋げたくもない時にARIAと繋がってしまうのだ。だから、あなたには免疫とアナフィラキシーとの上手な均衡を保って欲しい。
それではより良い電脳ライフを
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これにてチュートリアル及び、最終メンテナンスは終了となります。
ARIAは正常に作用しています。
おめでとうございます........
最後にアンケートを取られせていただいています。
あなたはなぜARIA適応手術を受けましたか?
はい。
なるほど。
画面をスクロールしていたら、いつの間に手術をつけていたと。
読書、ですか?
なろう?
つまり、あなたは読書中であると。
なるほど、そういうことですか。
アンケート回答ありがとうございます。
それではより良い電脳ライフを。
いってらっしゃい。
初投稿ということで改行が心配です。
それはさておき3日に一度のペースで更新していきたいと思います。
温かく見守って頂けると嬉しいです。
よろしくおねがいします。