プロローグ
誰かに向けて残します。週4くらいのペースで更新するので時間に余裕があればご覧ください。。
【ついにここまで来たか、人の王の回し者よ】
俺は今しがた俺の前に現れた、所謂《勇者》とやらに問いかける。返事はない、こちらを警戒しているようだ。
【貴様は俺を倒すために来たのか?】
これにも応答しない。が、その様子というと、剣を構え、俺を攻撃しようとしているのは伺えるが、その実、足が震えている。
…こいつ、本当に勇者か?勇者は初めて見るが、勇者というのはもっとこう、屈強で、俺みたいな魔王にも臆さず立ち向かうイメージがあったのだが。
如何せん足が震えてる時点でイメージと違う。こいつ、よくここまで来れたな…。
【人の王も哀れなものよ、こんな貧弱な者しか俺の元に送れないなんて。】
未だ、勇者らしきやつの足は震えている。応答しないのは、警戒しているからではなく、ビビってるからだったようだ。
【ここまで来たならそれ相応の対応をせねばなるまい。本気で行くぞ。かかってこい、《勇者》────】
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俺は現世を生きる、ごく普通の学生だ。父親は普通のサラリーマン、母親は普通の専業主婦である。普通の家庭に何の不満はない。
しかしそんな《普通》に終止符を打たれるのがこんなに早いとは、その時まで全く思わなかった。
それはある日の下校中の事だった。午後4時、いつもなら友達と他愛ない会話をしながら下校するのだが、その日は珍しく、終礼が終わるやいなやカバンを持ち、そそくさと教室をあとにした。
特に用事もなかったが、何故かこの日は1人で帰りたい気分だった。
帰路について数分、商店街を歩いていると、後ろから女性の悲鳴が聞こえた。どうしたんだろうと思い、振り向いた次の瞬間、
脇腹をナイフで刺された。
通り魔だった。俺はどうすることも出来ず、ただ痛みに苦しみ、その場に倒れ込んだ。
あ、これ死ぬわ。血、止まらないし、指先からだんだん冷えてきやがる。死ぬのって怖ぇ、死にたくねぇ。
すると、どこからともなく声がした。知らない声だった。
『あなたの短い生涯はここで終えます。こちらにお越しになられた際、今後の話を致しましょう。』
誰、だ。。もう、意識が。。
To be continued…
こんな感じで話が進んでいきます。よろしお願いします。。