化け物
「はぁ、ヒーローごっこすんなら外でしてろよ。」神柄は心底呆れた声を出し、原子の酸素を音速で少年のもとへ飛ばした。
『腕の関節を外せば現実を見て恐怖が顔を染めるだろう。』
少年は男のもとへ歩みを止めない。
「馬鹿かお前!俺の能力が手でとめられる訳がないだろう!」
神柄は自分の能力を腕で止めようとする愚かな少年に忠告をした。
だが、少年が左手を振った。その時、神柄からの操作から離れた様に酸素が通常の状態になった。
「はぁ?」神柄は目の前で起こった事が理解できなかった。
「お前が何をしたいのかなんて分からない!でもお前が病院の人達にした事を俺は許さない!!」少年は右手で神柄を殴り飛ばした。
「ぐふぅ!この野朗ーーー!」神柄は空気を全て飛ばしたが少年の体に当たった途端に消える。
「これで終わりだああああああ!」少年の拳が神柄の意識を奪った。
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「おい!大丈夫か!?おーい」誰かの声がする。
「貴方は?」俺は痛みが走る体を起こして少年に尋ねた。
「俺は藤屋裕太だ。一体あいつは何だ?」藤屋と言う少年は俺に神柄のことを尋ねてくる。
「正直なことを言うと俺もよく分からない。」俺は素直に病室での事を話した。
「お前!絶対に殺す!」怒りに顔が染まった神柄が何かボタンを押した。
「お前!何をした!」俺は叫んだ。
「お前はもうお終いだ!ヒーロー!」どうやら神柄の興味は藤屋に向いている。
「お前!後ろ!」藤屋が神柄に言った。
「なんで!俺の方に攻撃しようとしてるんだよーー!」そこには、頭に穴が開いたままの智代の姿があった。
「バイバイ!」智代は電気で作った槍で神柄の胴体を切断した。
「智代!お前生きてたのか!」俺は嬉しさのあまりに涙を流した。
「うん。お兄ちゃん。私ねお願いがあるの。」智代は電気の槍をふり上げた。
「あぁ!お願いって何だお兄ちゃんになんでも言っていいよ。」智代の広角が吊り上がる。
「じゃあお兄ちゃん。死んで」智代は俺に槍を投げた。
「馬鹿か!お前!あんなのがお前の妹な訳がないだろ…」藤屋は俺を突き飛ばし代わりに貫かれた。血飛沫が俺の体に飛び散る。
「あぁ…そうだったな!智代はもういないんだよな!」俺は怒りが込み上げた。
死んだ妹の体を利用するこの街に!
偽物に騙され、命の恩人にケガをさせた己に!
「俺の妹に何をしたぁぁぁぁぁ!」俺の体から再び黒い手が生えた。
「お兄ちゃん?早く死んでよ!」智代の形をした化け物からは翼が生えた。
二つの化け物がぶつかる!