序章1
「お兄ちゃん逃げて、すぐ追いかけるから」妹の智代が笑い、親を殺した殺人鬼と対峙した。そして智代の身体に穴があき、僕の肩から黒い腕が生えた、、、、、
ここは、少子高齢化が進んだ日本でも、人口の9割が学生のまちであり、親と生活している人は6000人に1人いるかいないかである。そしてこの街の住民の殆どが異能の力を持っている。
僕はこの街の住民であり、母と妹との三人暮らしである。もちろん、僕も能力者である。その能力はあらゆるものの存在を拒否することができるというものだ。例えば、空気の振動を拒否すれば音を聞こえないようにする事ができる。現に今も空気の振動を拒否している。
「ねぇお兄ちゃん、話し聞いてよ。」妹が叫んでいるが、もちろん、僕には聞こえないし、口パクをしているヤバイやつにすら見えてくる。だが、『こんな日常も悪くない』と思っていた。
そして、僕は家に帰ったが、いつもの母の声が聞こえない。『能力を切り忘れていたからか』僕はこう思い、能力を切った。
一番最初に感じたのは血の臭いだった。「智代!」僕は叫んだが、返事がなかった。そして、その代わりと言わんばかりに台所から悲鳴が聞こえた。
僕は恐らくこの時に現実を認め智代と一緒ににげるべきだった。
そう、智代は僕が殺したとも言える。