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第四十一話 新生活は慣れるまでが大変。

投稿が遅れてしまい申し訳ございません。

誤字脱字があり、いつもより読みにくい部分も多々あると思います。

これからもよろしくお願いいたします。




ようやく引っ越し作業が全て完了した。

部屋の荷物は全てトラックの荷台に積み込まれ、住んでいた部屋はすっかりと綺麗さっぱりと入居したての頃のように…は行かないんだよな。

床は多少傷だらけになっているが…これはベッドが壊れた時に出来た傷だ。

あの後…下の階に謝罪しに言ったんだよな…凄い怒られたっけ。

最初の頃は一人暮らしって言うのもかなり不安に思えていたが、人ってのは本当に慣れるようになってくるんだな。

まだ…隣に夏美が住んでいたっていうことがあったから、多少は安心感があったとも言える。

毎日のように人の部屋に上がり込んで、朝昼晩を食べてからの食後の珈琲を要求された。

俺はキリマンジャロ派なんだが、夏美はブルーマウンテン以外は認めないって高い豆を頻繁に用意させられた。

おかげで多少珈琲の入れ方に興味が出て、サイフォン式を買っちまったけど。


「最初の一年は一人で怖かったけど、なんやかんやでタクが隣に住んでたんだもんね。いつでもご飯とか作ってくれるし、珈琲も淹れてくれるから実家に居るより快適だったなぁ」

「毎回押しかけられてたんだけどな。初日に怖いからって人の部屋に来たと思えば、数日間は俺のベッドを占拠したりしてたもんな」


顔を赤くしながら殴る蹴るをしてくる夏美…これが少し前までの普通のやりとりだった。

ここに浩寺の奴が加わって、笑ったりもしていた。

だが今は大分変わった…メンバーが何処かに消えたとかではなく、笑ったりふざけたりする仲間が増えたって意味だ。


「この部屋を出るのも寂しくなってしまうな。初めて柘魔にあってから、よく遊びに来たものだ」

「色々やってくれたけどな…GPSから始まって、フックショットで壁を上って窓をこじ開けたりと、かなり無茶な事をしてくれたよ」

「まるで映画みたいで楽しかったぞ?柘魔もやってみないか?フックショットで簡単に移動出来るぞ?」


確かに映画の様に移動が出来るだろうが、俺はそこまでやりたいと思えない。

てかフックショットで遊んでいたりしたら警察とかに怒られるだろ。


「フックショットはやめておく。それ以上に狂子もフックショットは危険だから使用禁止だ」

「なんだと?フックショットは禁止か…柘魔が言うのなら仕方がない。じゃあ今度はゲームをしよう!この間、一緒に遊んでいたゲームを皆でしようじゃないか!」


この間やっていたゲームか…あれやると狂子が少しおかしくなるから止めた方が良いか?

だが協力プレイということを狂子に教える事が出来れば、少しはマシになるんじゃないだろうか。

いや待てよ…どっちにしろ狂子に協力プレイをさせたとしても、トリガーハッピーを発動されたら手が着けられなくなるんじゃないのか?


「そこの三人、そろそろ行くわよ。部屋との別れが辛いのは分るけど、早くしないと後の予定が沢山あるのよ?部屋に運んだ家具も設置しないと」


姉貴に急がされてながらも、俺達は無意識に部屋へ敬礼をしていた。

狂子に関してはやりそうだとは思っていたものの、まさか夏美までも一緒になってするとは思わなかった。

いつもなら馬鹿にしたりする発言をしてきてもおかしくはないのに、珍しくこちらに合わせてきたのだろうか?

まぁ夏美は我が儘で結構気まぐれな所があるからな、たまには合わせてあげる的な気持ちだろ。


「んじゃ行くとしようか。姉貴も早く来いって行ってたからな」


こうして、俺達の新たな新居生活の幕が開ける事となった。

しばらくは家に帰る時も道を間違えそうな気がするが、何度も帰る間に体が覚えるだろう。

学校も今まで以上に近くなる上に、蘭華達も大分近くなるから前よりも行き来がしやすくなった。

毎朝朝食を食べる為にかなりの距離を歩かせていたから、本当は作りに行ってやれたらよかったんだが、そうしていたら学校に間に合わなくなる。

だから俺と姉貴が沢山の朝食を作っている間に、蘭華と姫華の二人が歩いて来るという形にしている。


「今日は何か食べたいものでもある?引っ越し祝いに何か沢山作ろうと思っているんだけど?」

「私は豚汁という物を食べてみたいぞ!最後に食べたのは小さい頃だったが…あの味をもう一度味わいたい」

「確かに豚汁は良いわねぇ。大勢で食べるなら鍋系の方が沢山作る事も出来るから、今日は豚汁にしましょう」

「じゃあ私は肉じゃがが良い!あとお寿司も食べたい!」


豚汁と肉じゃがはこっちで作るとして、寿司は別で注文する必要があるな。

新しいキッチンの方はかなり広いから前よりは自由に動けるはずだから、以前のキッチンで起った事故は多発しないはずだ。

狭い台所を誰かが使っている時に誰かが通ろうとする事が何度もああり、結果的に悲惨な事態が起っていた。


「豚汁なら材料を買いに行かないとないわね。タッちゃんは一緒に買い出しに行くとして、誰か付いてくる人はいる?」

「私は部屋の荷物開けたいからパスで。だったらあのギャル連れてけばよくない?だって料理得意なんでしょ?」


夏美の言うとおり、小百合が一緒に買い物に行けば品数が増える。

となれば連絡をしてみるか…新しい部屋で蘭華達が荷物開けをしてくれているが、少しだけ心配だ。

特に蘭華と由実のコンビが一番心配だ…監視役に小百合に頼んだが、一人で対処出来ているだろうか。


「ああ、小百合か?こっちの方は終わったんだが、そっちの方は問題ないか?」

「問題ないって言うか?愛神と大島がアンタの持ってたゲームを勝手に始めて、それ以降作業が全然進んでない。で?わざわざそれを確認する為に連絡でもしてきたわけ?」

「いや、これから夕飯の買い出しに行くんだが、姉貴が呼べって言い始めてな。狂子から豚汁のリクエストと、夏美からは肉じゃがと寿司を要求されているんだが…買い出し手伝って貰えないか?」


電話の向こうからはため息が聞こえつつも、部屋に残っている三人に聞いているようだった。

こっちまで聞こえてくる声で由実から拒否の返事が飛んで来る。

その代わりに姫華が買い物に行きたいとはしゃいでいる声が聞こえてくるから、一緒に付いて来る気だろうな。


「買い物って誰と誰いんの?」

「こっちは俺と姉貴と狂子の三人だが、そっちは姫華も一緒で良いのか?」

「もう玄関で待機してる。とりあえず、場所を教えてくれたらそっちに向かうから」


小百合に買い物場所を教えている間に夏美は新居に向かっていった。


「姫華も一緒に来るってさ」

「あらそうなの?なら今日も一緒に料理を手伝ってもらったらいいかもしれないわね。出来ると出来ないだと、かなり違ってくるから」

「なら今日は私も一緒に料理をしてみるぞ。いつも柘魔に作ってもらってばかりだと悪いと思っていたのだ」


ほほう、狂子がついに料理に挑戦をする気でいるのか。

あの夏美ですらやりたがらない料理を、自分から進んでやりに行くというなら、否定することは出来ない。

むしろ料理を作るということへの楽しさを学んでもらうチャンスでもある。


「狂子ちゃんは料理事態はしたことなかったわよね?今日は包丁の扱い方と一緒に、材料の切り方も勉強しましょうか」

「材料を切るのは何を使えば良いのだ?私はマチェットが一番効率的だと思うのだが」


料理の話から突然マチェットというワードが飛び出したせいで、姉貴が返答に困っている。

俺も料理の話題からいきなりマチェットなんて言われたらびっくりする。

確かにあれだけ刃が大きければ切りやすいと思えるだろうが、効率はかなり悪い。

デカい分威力はあるだろうが、それだけ力もいる上で体力の消耗も激しい。

対して包丁は小さい分、細かい作業がしやすい。

その違いを狂子に教えるべきだろう…ただ、サバイバルナイフとか言い出さなければいいが。



五人で買い物を終えて部屋に戻ってきたわけだが、蘭華と由実が乱闘騒ぎを起こしていた。

テレビに映し出されているのは若い世代からも大人気の格闘ゲーム。

どうやら対戦をしていて、熱くなりすぎたせいでリアルファイトにまで発展したようだ。

この二人が喧嘩をしているのも珍しいが、蘭華と由実に頼んでいた箱がほとんど空いていない。

つまり…こいつ等はずっとゲームばかりしていたって事か。


「ハメ技禁止って言ったのに!蘭華は直ぐそうやって変態技に持ち込む!」

「そっちだってダメージ受ける度に攻撃力上がるキャラばっかりつかってるでしょ!」


お互いを叩き合う二人を狙って、一匹の悪魔が二人の頭を見事に鷲掴みにした。

元々は蘭華と由実が段ボールの開封を手伝うと言い始め、しなくて言いといったのに、自分達に任せろと言われて頼んだんだが遊んでいたらキレられるのは当たり前だ。

あと最近姉貴が二人を仕留めるスピードが上がってきた気がするが、何度もしていれば当然か。


「あなた達は何度、私を怒らせれば気が済むのかしら?罰としては、そうねぇ…野菜を洗ってからの皮むきに、タマネギを切ってもらいましょうか」


睨み合う二人をキッチンへと引っ張って行く姉貴。

その間に蘭華達が放置した箱を開けてるはめになってしまった。

予定がどんどん狂っていく…とりあえず布団だけでも確保しておくか。

夕飯を作る時に料理の仕方を教えると狂子と約束もしているから、早い段階で片付け等は追わせておきたいのが現状だ。

姫華は蘭華達の遊んで放置されているゲームを勝手に始めているが、買い物袋をここまで運ぶのを手伝ってくれたから休憩の意味をこめてそっとしておこう。


「この箱に入ってる玩具って出して良いやつ?」

「それはリサイクルショップに持って行くやつだな。だから箱から出さなくて大丈夫だ」

「待て柘魔。その箱に入っているのはもしかして銃か?だとしたら私に見せほしい」


目を輝かせながら顔をギリギリまで近づけられて頼まれたので、離れて貰う為に小百合に頼んで箱から銃を取り出してもらった。

狂子が興味を持った銃は、シングルアクションアーミーよりも古いニューモデルアーミー。

弾倉に一つずつ火薬を詰め込んでから、鉄の玉を詰め込むという現代では決して扱われない代物のモデルガン。

以前、間違えて二丁注文してしまったことで未開封の状態で保管してあった。


「これはもしかして新品なのか?それにニューモデルアーミーとは、始めて聞く名前だが一体なんだ?」

「結構古い銃だよ。一応未開封だから開けないで…あけちゃったのか」


まだ未開封品だったのだが、説明をしている間に狂子が開封をしてしまった。

本人の顔からは特に悪いとも思っていないどころか、始めて見る銃に対してかなり魅入られているのが分る。

改めて狂子は本当に銃が好きなんだと認識させられる。

それも念入りに構造の確認から、自分の想像で実戦モーションまでも確認をしている。


「この棒はなんだ?曲げるとシリンダーの中に棒が入っていくぞ?」

「それで火薬と弾丸を詰めるんだ。先に火薬をその棒で詰めてから、パチンコ玉みたいな弾丸を同じ要領で詰めて装填する、フリントロックピストルと同じだ」


首をかしげている様子からして、もしかしてフリントロックピストルを知らないのか?


「ほら、あれだよ。海賊が持ってる銃」

「あーなるほどね!私は分った。確かに映画とかで見たりするけど、こうして見ると銃って結構奥深いんだ」

「なんだと?小百合まで理解したというのか?海賊が持っている銃か…どうしても頭の中に出てこないぞ!パイレーツと言えば大砲と剣しか出てこないのはなぜだ!?」


大砲と剣だけって、かなり偏ったイメージだな。

俺の中での海賊と言えば海賊船に乗って大砲を撃つのは同じだが、相手の船に乗り込んで片手にピストルで、もう片方の手にはカトラスソードを持ってるイメージなんだけど。

もしかすると狂子自身はあまり海賊系の映画を見たりしていないのかもしれないな。

だとしても銃は持っているような感じがするんだが。


「私が知らない銃がまだあったのか…まだまだだ。これでは柘魔と銃を語り合うことなんでまともに出来ない」

「逆に良かったじゃん。知らない銃があるなら、教えてもらったら勉強にならない?私も前にDVDを一緒に見に行った時に、私以上に映画に詳しくてびっくりしたけど、むしろ新しい映画とかしれて良いと思うんだけど」

「そう…なのか?柘魔は私が海賊の銃を知らなくても、馬鹿にしたりしないのか?」


涙目になりながらこちらを見つめてくる狂子に、少しドキッとしながらも馬鹿にしないことを理解してもらった。

俯きながらも頷く狂子をみて、無意識にそっと頭を撫でていたが、俺がこうして頭を撫でるのは始めてだ。

蘭華や夏美の頭を撫でたりする事はあったが、歳上相手に頭を撫でるというのは本当に始めての経験だ。

これで終れば綺麗に収まったのに、背後から突然頭を叩かれたおかげで、一瞬何が起ったのか分らなかった。

最初は夏美がやったのかと思い振り返ると、不機嫌そうな顔をした小百合がこちらを睨み付けて来てる。

見る限りではかなりお怒りのご様子なんですが。


「遊んでないで早く開ける!これが終ったら夕飯を作るんでしょ!?だったらサボっていないでちゃっちゃっとやる!」


唐突にテキパキと無言で作業を進めていく小百合。

もう完全に怒らせてしまったが、狂子の頭を撫でたのが気に入ったようだ。

今の俺に歯祖霊がいに予想が出来ない。

あと狂子が涙を流しながらも笑顔を作っているのを見ると、また可愛いと思えてしまう。

そんな事を考えながら荷物の開封をしている間に時間が過ぎて行き、気がつくと姉貴達が既に夕飯を作り終えていた。

今日は蘭華と由実が一緒に本格的な料理をしたらしく、かなり疲れ切った顔をしているから、相当こき使われたんだろう。

姉貴は姉貴で少し疲れたような顔をしてる…台所で一体何があったというんだ?


「部屋の片付けが終らないから、後でタクもこっちの部屋手伝ってよ。女の子一人に重たい作業させるとか最低なんだからね!」

「はいはい、そう言い出すんじゃないかと思ってた。こっちはあらかた片付いたから、俺がそっちの手伝いに行けばいいんだな?あとどれくらい残ってる?」


急に黙り込む夏美を見た瞬間に、蘭華達同様に荷物の開封が全然進んでいないことを察した。

もう理由を聞き出す事すらも面倒臭くなってきた。

手伝わなかったらそれでグチグチねちねち言われるのであれば、素直に手伝いをした方が断然楽だ。

結局は手伝わされることに間違いはないんだからな。


「先輩…私達、先輩とお姉さんに感謝が足りなかったッス。まさか全員分の料理を作る為の下準備の時点であそこまで大変だったなんて」

「私はもう食べる事を専門にしていたいです。タマネギを切るのは拷問と一緒です」

「正直言うと、私もかなり疲れたわ。料理を教えるだけでここまで苦戦を強いられた相手は始めてよ…狂子ちゃんも今日はごめんね?お料理を教えるって約束をしていたのに」


申し訳なさそうにする姉貴に対して、狂子は平然とした顔をしたまま料理を頬張っていた。

つまり姉貴の謝罪事態を全然聞いていない上で、料理に夢中になっているということだ。

狂子にとってはよく見る光景で、好物だった場合には周りが見えなくなってしまう。

代わり、大人しくなるから良いんだけどな。

その後も無事に食事が終った後に、風呂が沸くまで俺が姫華のゲーム相手をする事になった。

理由は知らないがいきなりホラゲーがやりたいと言い始めたので、適当にゾンビを相手にするFPSをやらせて見たが、結構飲み込みが早い。

一応は年齢的に17歳推奨のゲームにしているが、このゲームは演出がなかなかに怖い。

その名もデビル・ハザードと呼ばれる作品。

悪魔が人間をゾンビに変えた事で始まるサバイバルアクションホラーだ。


「これって結構簡単だと思うんだけど?てかそこまで怖いと思わない。本当に怖いゲームなの?」

「お前が泣くと思って少し難易度を下げて見たんだが、別のゲームの方がよかったか?例えば、フロッグタワーとか」

「だからそれはやめてって言ってるでしょ!?あといつ部屋の手伝いに来てくれんのよ!?」

「もう面倒だから、こっちの部屋に泊まってけ。もう遅くなってから手伝うのが怠くなってきた」


本当のところは、もう少しゲームがしたいってのが目的だ。

最近分ってきたことだが、姫華は結構ゲームが上手い。

操作等を直ぐに覚えた上で、難しいコンボ技からの高評価獲得などを簡単にクリアしていく。

もしかすると姫華は、ゲームに関しての天才なのかもしれない。

特に対戦をしている時に見たことのないめちゃくちゃなコンボを繰り出して来た時には、悔しさよりも爆笑をさせられた。

だから姫華には何か才能があるのかもしれないと思って居る。


「お風呂湧いたから入る人は先に入って来て。私はまだパソコンを設置したりしないといけないから」

「では私が先に入らせてもらうとしよう。柘魔と小百合も約束した通りに一緒に入るぞ!」

「だから入らないって言ってるだろ。それに約束事態もしてないし、強制はするなって言ったはずだぞ?」


いまだに同じ風呂に入ろうと考えていたとは…姉貴から絞られるぞ。

小百合の方は想像して卒倒しそうになっているしで、話を聞いた蘭華は二人を凄い目で睨み付けてる。


「そうね…強制することは良くないわね。入るならタッちゃん以外とにしなさい」

「…では…姫華を連れて三人で入ろう」


結局は一人で風呂に入る気は無いんだな。

sろえも仏頂面になりならがらも、しっかりと小百合の腕と姫華の襟首を掴んで浴室に走って行ってしまった。

部屋が広くなったおかげで入るスペースがあるのは分るんだが、借家なんだから少し落ち着いてくれよ。


「本当に真手場先輩は元気ッス。それに比べて私達は…ん?先輩、スマホがマナーモードで鳴ってるッスよ?」

「おお、ありがとな。なんだよ、ただの浩寺からの電話か」


鳴り続ける電話に出てみると、鼻声に鳴りながらの浩寺の声が向こう側から聞こえて来た。

喋る感じでは上手く要領を得ていない様子で、周りの音から察して外にいるのだろう。

何があったのかと思い用件を聞こうとしてみるも、明らかにテンパっているので、現在の場所を聞いてその場に蘭華と夏美と由実を連れて向かってみる事にした。

場所は前のマンションの近くにあったコンビニの駐車場にいるらしいが、あの浩寺が鼻声に鳴りながら電話をしてくるってのは、ただ事じゃないのは確かだった。


「もしかして、部屋が分らなくて迷子になったから泣いてたりして。浩寺って昔っから方向音痴な所があるから、私がついていて上げないとだめなんだから」


小学生の頃に同じデパートでトイレを見つけられなくて、俺に何度も泣きついてきたお前がそれを言うな。


「到着した訳だが…由実と蘭華はコンビニで少し時間を潰してきてくれるか?錯乱してるみたいだから、俺と夏美で様子を確認してくる」

「嫌です!コンビニに入るなら先輩と一緒に恋人みたいにイチャイチャしながら見たいんです!」

「了解ッス。蘭華は私と一緒にコンビニに入る」


状況を察してくれたのか、聞き分けの良い由実。

二人がコンビニに入っていくのを確認してから、夏美とお互いに深呼吸をしてから、浩寺に電話を掛けた。

言われたコンビニに到着した事を伝えると、どうもコンビニの裏に居るらしく、そこまで来て欲しいと言われたので行ってみる。


「浩寺、言われた通りに来てやったぞ?カツアゲでもされたのか?」

「大丈夫だから、出てきてよ浩寺。今は私達しか居ないから」


俺達の呼びかけに対して暗闇からの返事はなかった。

ただ数秒してから、真っ黒い狭い通路からゆっくりと何かがこちらに近づいてきているのは分った。

背が大きく、こちらに静かに迫ってくる事で大きさは更に増していく。

そして光が差し込む場所まで来た時に、俺と夏美はようやくその正体を認識する事が出来た。

いつも以上に高い身長に、フリフリのドレスを身に纏いながらも、ウェーブの掛った腰まである白いツインテールの浩寺だった。

新居に引っ越した柘魔の元へ掛って来た浩寺からの電話。

電話で呼ばれた場所に向かっていくと、コスプレ衣装に身を包んだ浩寺の姿が底にあった。

次回、浩寺に一体何があったのか!?

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