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第二十話 学園祭が来るけども、準備期間ってわくわくする。

学園祭が近くなり、柘魔達の教室で、早くもお祭り騒ぎになっていた。

そんな中、クラスの出しもので話し合いが、小さな争いに発展していく。


注意、前回の後書きに学園祭が始まると書きましたが、予定を変更させていただきます。

こちらの都合上、読者様に混乱が生じてしまいましたら、申し訳ございません。

 今日は少し憂鬱だ。

 狂子との約束で、俺は自分の過去の事を話さないと行けなくなったからだ。

 その次に、学園祭が近いと言う事で、クラスでの出し物を決めないといけない。

 正直、学園祭とか別にどうでもいい。

 去年行ったのわ、お好み焼きやだった。

 俺はその時調理担当で、お好み焼きをずっと焼いていた。

 ただただ、面倒なのが…夏美がわざわざ遊びに来ることだ。

 浩寺の所に行ってくれればいいんだが、こっちに来てバカにしてくるんだよな。


「じゃあ出し物を決めますが、何か案があったら言ってください!」

「はい!メイド喫茶がやりたいです!」


 誰だよ、メイド喫茶なんて言い出したバカは?


「ちょっと、それって私達が負担かかるじゃん、男子は何すんのよ?」

「呼び込みすれば良いだろ、なぁ徳江?」

「え?なんで俺に振るわけ?俺メイド喫茶とか詳しくないから、春魔とかに聞けよ」


 俺も大して詳しくねぇよ…昨日行って来たけどよ。

 こっち見るな!俺に助けを求めてどうするんだよ!?


「春咲君?アナタは何か意見はありますか?」


 どうするんだよ、俺に視線集中してるじゃねぇか。

 ただでさえ俺は悩んでるのによ、追い打ちを掛けるような事をするな。

 もうなんで俺に振るんだよ、後で蹴り入れてやるからな。

 しかも相当強力なヤツだ、骨を折る勢いで蹴り飛ばしてやる。


「何か意見はありませんか?ないのであれば、これで決まりますが」

「はい!なんだったら、男子が女装すれば面白いと思いまーす!きっと春咲君もそう思ってまーす!」


 はぁ!?だからなんでいちいち俺を巻き込んでくるんだよ!?

 てかあの眼鏡!こないだ俺に突っかかってきたヤツじゃねぇか!

 逆恨みか!?逆恨みですか!?逆恨みなんですね!?

 あと浩寺!お前一瞬目が光ったな!もうその趣味認定するけどいんだな!?


「他に意見がある人は居ますか?」

「なんで男子がメイド喫茶するんだよ!?気持ち悪いだけだろ!」

「それが面白いんじゃん!大丈夫!私達がちゃんとおめかししてあげるから!」


 教室の空気が最悪になってきた。

 男子と女子の間に溝が出来てるのが分るが、俺を中間地点に置くのは違うだろう。

 元々はメイド喫茶やりたいとか言い出したヤツが原因だろ!

 なんか俺が悪いみたいな雰囲気になってるけどよ!違うからな!

 まずどうしてメイド喫茶がやりたいとか言い出すんだ。

 女子が言うなら、まだ落ち着いたやりとりが出来たのかもしれない。

 つか男子に女装しろと言う面倒な事も言い出すな、余計ややこしくなっただろ。

 とここで俺は、浩寺に対して少し仕返しをしてやることにした。


「女装させるなら、浩寺だけにしたらどうだ?アイツ女子に人気な上に、前に女装してる姿見たことあるが、結構似合ってたぞ」


 俺はあの時の事を思い出しながら、言っていた。

 かつて狂子達がコスプレをした時に、浩寺が自分の女装姿に見とれていたのを。

 実のところ、夏美から写真が数枚送られてきてる。

 結構アイツ自身もノリノリだったらしいからな。


「は、はは、春魔だって!女装したら、アイツの姉ちゃんと瓜二つになるんだ!証拠の写真だってあるんだ!秋恵さんと二人のツーショットだ!」


 そう叫ぶと同時に、携帯から俺と姉貴の写真を見せびらかしはじめた。


「すげぇ!なんだこの美女二人!?」

「これって双子じゃねぇの?あの春咲がこんな美女に変るなんてありえねぇだろ」

「でも凄いモデルみたい、絶対これモデルやってるって」


 皆して浩寺の携帯を回し見してるよ。

 あと男子の間で、なんか学祭以上の祭りになってんだけど。

 女子に関してはもう既に、俺の姉貴じゃなくて、浩寺の姉疑惑が出てる。

 確かに俺より、浩寺の姉と言った方が通用するかもしれないな。

 二人共、美男美女だから。


「徳江、頼む!この人紹介してくれ!どっちでも良いから!」

「いやだから、この右側で恥ずかしがってるのが春魔なんだよ」

「俺は信じないぞ!こんな美女が!あんな最低浮気オタクだなんて!」


 テメェ等、一発蹴り入れてやろうか。

 だが蹴りなんていれたら、絶対に問題にされる事は確定だ。

 とりあえず、仕返しは済んだ事だし、大人しくしておくか。

 下手にここで言い出せば、また厄介な事に巻き込まれちまうからな。

 あのまま携帯落とされて、踏みつぶされたら面白いのに。

 しかし、やっぱり俺と姉貴は見た目が似てないってのが証明されたな。

 多分小百合のメイク技術が高くて、錯覚したに違いない。


「あの…春咲君にお化粧してみたら、分るんじゃないかな?」


 なんだと…化粧をするだと?

 いやいや、よく考えてみろ。

 今この学校にメイク道具があるとしても、殆どそこまで本格的な物がないと思う。

 あの時は最初から、生徒会が用意してきていたに決まってる。

 そうだ、そうそう、きっとそうだろう。


「じゃあさ、確認するために、休み時間に演劇部から道具借りて来て、化粧しようぜ!」

「たぶんカツラとかも置いてあるだろ、よし決定!」


 何がよし決定だよ!?

 学園祭の出し物を決めるのが目的だろ!?

 何俺に女装させるかどうかを決めてんだよ!?ふざけんなよ!

 てか委員長!?何さらっと黒板にこのこと書いてるんだよ!?浩寺にも女装させるとか書いてあるし!

 先生も先生で止めろよ!アンタ一応教師だろ!?

 これ殆ど学級崩壊レベルのだぞ!?


「よし、じゃあチャイムが鳴ったら、急いで取ってくるから、皆で二人を抑えておいてくれ」

「おう!」


 おう!じゃねぇんだよ!

 何がおう!だよ!?

 もう疲れてきた、これ完全に逃げられないぞ。

 覚悟を決めるしかないのか…ならばせめて。


「なぁ…メイクをするなら、頼みたいヤツがいるんだが…呼んでも良いか?」


 チャイムが鳴ると同時に、俺は携帯を取り出し、ある人物を教室内に呼び出した。

 その人物が教室にくると、直ぐにざわつき始める。

 俺が呼び出したのは小百合だ。

 電話掛けた瞬間に出たのには驚いたが、どうして蘭華と由実まで付いてきたんだ。

 蘭華まではまだ分るが、由実に関しては…多分勘でも働いたのだろう。


「いきなり呼び出すとか何?学園祭の準備とか、生徒会の準備とかあるんだけど」

「悪いな、急に呼び出して、実は前に俺を姉貴そっくりにしただろ?あれをやって欲しいんだよ」


 驚く小百合、まぁそうだろうな。

 いきなり女装させろと言われれば、びっくりする。

 てか若干引いてる、そこまで露骨に引かなくてもいいだろ。


「一応化粧道具は持ってきてるけど、こないだやったときレベルだと…演劇部の道具かりたから」

「みんな!道具持ってきたぜ!あとカツラをあえて金髪ツインテールにしてきたぞ!」


 どうして金髪ツインテを選択するんだ、普通に茶色のロングでいいだろ。

 バカなのか?バカで良いんだな、バカ認定決定だこの野郎。



「金髪のツインテール…了解、大体のメイクイメージが整ったから、ぱっぱと始めよ、私も忙しいんだから」

「先輩のツインテール!可愛いです!私先輩のツインテール凄く見たいです!」


 蘭華のスイッチ入っちまったよ。

 クラス全員どん引きだよ、どうするんだよこれ。

 どちらにしろ、メイド喫茶をやりたいとか言い出したヤツ。

 一生恨んでやるからな、覚えて置け。



 小百合達が教室に戻った後、俺と浩寺は女装するために、メイド服を斬る事になった。

 胸には仕方なく、ボールを詰めさせられたが。


「なぁ春魔…俺、おかしくねぇよな?似合ってるよな?ちゃんと俺じゃないように見えるよな?」

「…宝塚に居そうだな、実際どう見ても前の時より断然女っぽいぞ」


 俺に関しては…再びこの恰好をする事になるなんてな。

 案外ツインテ似合ってるし…流石姉貴と言ったところか。

 あの人、何でも大体似合うからな…姉弟感からじゃなくてだ。

 実際にこうして見てるが、結構悪くないんだよな…腹立つが。


「記念に一枚撮っておこうぜ、こんな事なんて滅多にないんだからな、チーズ!」


 仕方がない…ここまで来たんだから、乗ってやるか。

 俺は全力で笑顔を作った。

 結果、ただ姉貴が笑顔で写真に写っているのと変らない物が撮れた。

 これだったら、姉貴とっても同じだ。

 あと浩寺…羨ましそうに俺を見るな、こっちはこっちで落ち込んでるんだからよ。


「お前はいいよな…秋恵さんみたいな美人になれて、俺なんて宝塚程度か…」

「宝塚の人達に謝れ、このバカチン…まだ男らしさが残ってるだけマシだろ…とっとと教室に戻るぞ、アイツ等が迎えに来る前に」


 俺達二人が教室の前に立つと、既にざわついてる声が聞こえてくる。

 もしかして、誰か覗きに来たのか?

 あるいは、俺達の事を待って居るのか。

 とにかくだ、驚かせてやるとするか。


「お、帰ってき!?だ、誰だ!?」

「うそぉ!?本当に徳江くんなの!?」


 いや、浩寺は隣。

 現実を受け入れられないからって、俺の方に来るな。


「は…春咲、宝塚みたいになって…お前もすげぇな」

「春魔は隣だ、明かに伸長で分るだろ」

「え?お前徳江?じゃあこの美女が本当に…春咲なのか?」


 やめろぉ!そんな絶望と欲望が入り交じった目で、俺を見るな!

 完全に変な事を考えながら、俺の事を見てるだろ。

 分るんだよ、秋恵形態舐めんな。

 あと女子数名、写真を撮るのをやめてくれ、恥ずかしい。

 それからあの女、俺の美貌に見とれ…すっごい敵視してきてる。

 敵意むき出しかよ、戦闘準備万端ですか?


「た、たかが姉弟似てるだけでしょ!それくらいで興奮するなんて、バカじゃない」

「でも綺麗だよ、あの二人ならきっとメイド喫茶の看板になれるかもしれないし、ね?」


 俺達を看板娘にするつもりか、というか、浩寺は相変わらずモテてるな。

 アイツのは女装というより、宝塚だからあまり違和感がないというか。

 あれ?もしこれがこのまま進んだら、完全に女装喫茶確定じゃね?

 でもあの女、色々と難癖着けて来そうで嫌だな。


「ねぇちょっと、女装するなら、やっぱり女の子みたいな声で喋らないとダメだと思うんだけど」


 ほらやっぱり、難癖つけてき…なにぃ!?

 女の声で喋れだと?流石にキツすぎるぞ。

 ふざけてるとしか言いようがないだろ、あとその心底馬鹿にした顔やめろ。

 これは俺に対しての挑戦か?あるいは俺達への挑戦なのか?


「ああ、徳江君はやらなくて良いから、むしろ宝塚風でむしろグッジョブ!」

「そ…そうか…分った」


 しょんぼりしてるんじゃねぇ!やりたかったのか!?

 仕方ねぇだろ!こいつ等が持ってきたウィッグがショートだったんだから!

 小百合も悩んだ結果、宝塚になったんだろ!

 しっかし、酷い事してきやがるな。

 俺…女の声なんて出した事ねぇぞ。

 参ったぞ…一体どうすれば良いんだ…つかやる必要すらないよな?

 でもよぉ…周りがヤレヤレコールしてんだよな。

 ここでやらないと、空気が悪くなるだろうし。


「じゃあ特別に、お姉さんのモノマネでやってみたら?出来たらの話だけど」


 やってやろうじゃねぇかよ…もうどうなっても構わねぇ!

 姉貴の口調と声質を思い出せ、ガキの頃から一緒だから覚えてるはずだ。

 深呼吸をして、あの雰囲気を出せ。


「どうしたの?やってみてよ」

「そう…ならこれで良いのかしら?」


 案外やってみるものだな…正直、俺自身も驚きだ。

 姉貴の姿になると、色々と不可能が可能になる気がする。

 前にもそうだったな、鉄板に穴開けられる自信に満ちていたから。

 相手の方もこれには驚愕してる…というより、クラス騒然だ。

 浩寺に関しては、ビビって青ざめてるよ。

 だがこれで、完全に真似できてる事が分った。

 アイツは完全に、秋恵探知機と化した。


「こうして真似をしているわけだけど、何か問題でもあるのかしら?お望み通りにしてあげてるのだけれど」


 全員がビビってやがる、面白くなってきたな。


「どうしたの?これでいいんじゃないの?他に何かする事でもあるの?」

「ご…ごめんなさい…お願いしますから、その怖い顔を近づけないでください」

「やりすぎだ春魔…正直似すぎてて、俺も怖い」


 ふぅ…スッキリした。

 さっきから無理難題を言われてたが、見事に論破?的な事をしてやったり。

 さてと、クラスの空気をどうするかだな。

 まさかあそこまで上手く行くと思ってなかったし、これはこれで困りものだ。

 浩寺に引きはがされるのも驚きだが、一瞬自我を失っていた気もする。

 姉貴、恐ろしい子!


「ごめんね春咲君。嫌々女装してもらったわけだし…メイド喫茶は、私達でなんとかするから…大丈夫、きっと上手くやるから」


 やめろよ…そういうのやめろよ。

 まるでこっちが悪者みたいじゃねぇか。


「徳江君も、無理はしないでね…徳江君は、チラシを配ってくれたら…きっとお客さんも来てくれるから…春咲君も、調理して貰えれば」


 重いよぉ、空気重いよぉ。

 なんだよこの子、超天才じゃね?

 周りの人達から批判の声が殺到しそうなんだけど、特に俺に対して。

 いつもながら、イケメンは許される風習はやめて頂きたい。

 と思っていたが、不思議な事態が起った。

 俺に対しての批判の声が、飛んでこない。

 むしろ…いつもとは違う視線すら感じる。


「どういう事態だ浩寺?この状況なら、批判を受けてもいいと思うんだが?」

「これはだな…男子はお前に見とれてるんだよ…女子はいつも通りだけどな」


 嬉しくねぇ…マジで嬉しくねぇ。


「それでは、喫茶店で決まりですね…看板娘は、春咲君のメイドと、徳江君の男装執事と言う事で」


 委員長!?何勝手に決めてんの!?

 俺はメイド確定で、浩寺に関しては男装違うだろ。

 ただただ執事のコスプレをしてるだけだよな!?

 もういい、俺が女装すれば満足なのか。

 他の奴等も同様、賛成か。

 どっちにしろ…なんだか悪い気がして仕方がないのが不思議だが。

 失敗したな…俺が真似できたら、謝罪する約束をするべきだった。


「春咲君、うちらもサポートするからさ、客の相手頼むよ!てかさ、いっその事学祭にお姉さん呼んでよ!絶対に盛り上がるから!」

「いや…多分来ると思う…姉貴、一応はここの卒業生だから」


 姉貴が来ると言う言葉に反応して、クラス中の男子全員の心が1つになるのを見た。

 大人気だな、姉貴。

 もし学園祭に来たとしたら、1つのお祭り騒ぎが起るかもな。

 下手をすれば暴動が起る可能性だってある、サングラスでも掛けさせるか。

 てか考えたら、お客を基本的に、俺と浩寺がさばいていくことになるのか?

 サポートしてくれるって言っていたけどよ、他の女子も手伝うって事でいいんだよな?


「可愛いのを用意しないとね、徳江君と一緒にお仕事が出来るなんて、夢みたい」

「だけど驚きだよね、人は化粧次第で変るって、春咲君って女の子として生まれれば良かったのに」


 女の子に生まれてくれば良かった…か。

 そんな事、言われたくねぇよ。


「どこか調子悪いのか?」

「別に…つかどうするよ?学園祭当日は多分、小百合の方は生徒会で忙しいだろうし」


 場合によっては、自分達でメイクをする事も考えないといけない。

 まだ学園祭まで時間もあるから、その間に覚えるとするか。

 姉貴か、それとも小百合に教わるか、そこが問題だ。

 小百合は夕飯を奢ると言えば、家に来てくれるだろうがなぁ。

 姉貴に教わるとなると…色々と覚悟を決めないといけなくなる。

 家の中で、一ヶ月間女装しろと言い出すのもありえる。


「お化粧ならうちらがしてあげるよ、結構得意なんだよね…まぁ家の犬とかにやってるだけだけど」


 犬になんて無慈悲な事を。


「それで親から毎回怒られるんだけど、私は諦めない!だって夢はメイクアップアーティストだから!」

「メイクアップアーティストを目指すのは良いが、犬にするのは辞めてやれ、人形で我慢しとけ」


 そういや俺、コイツとまともに話した事がなかったな。

 名前…なんて言うんだ?

 基本的に話さないから、全然覚えて無いぞ。

 もしここで名前を覚えて居ないと知られたら、大変な事になっちまう。

 ヤバいヤバい、思い出せ俺。


「えっと春咲君。少し良いかな?実は大切な話があるんだけど」


 大切な話ねぇ…てか今日は妙にコイツとも話すな。

 あれ?よくよく見たら、どっかで見たような気がする。

 どこだったか…つか、あっちの名前も思い出さないと。


「クラスの子達の名前、あまり知らないんでしょ?あの子は遠藤真紀(えんどうまき)、それから、私は三門雫(みかどしずく)


 遠藤真紀に、三門雫か。

 多分覚えてたと思う、ダメだったら、メモにでも書いておくか。

 それにしても、よく俺が名前を覚えて居ない事に気づいたな。

 とにかく、これで会話をまともに出来る。


「助かったよ…えっと、三門さん?でいいんだよな?」

「そうそう、三門でもいいけど、クラスメイトだから雫でもいいから…それより、昨日真手場先輩と…えっと、メイドカフェに来てたよね?」


 また見られてたのかよ、どんだけ出くわ…もしかして。

 俺の脳裏を横切った光景、昨日のオムッ!?事件。

 三門雫、あのドジっ娘メイドに似ている気がするが、気のせいだろうか?

 昨日のメイドは眼鏡を掛けていたが、こっちは掛けてない。

 人違いか?にしては似てる気もする。

 他人のそら似って言葉もあるが…いや、待てよ。

 普通言葉的に、行っている光景を見かけた場合、行っていたよね?とかになる。

 なのに何故、今彼女は…来てたよね?と聞いたんだ?

 やっぱりあのメイドなのか?


「あまり大声では言えないけど…昨日はごめんなさい…まさかバイト先に二人が来るなんて思わなくて…私、動転して」

「あれなら別に気にしてないから、狂子も気にしなくて良いって…それより、狂子が昨日、失礼な事言って悪かった…一生懸命働いてたのに」


 気がつけば、お互いに何故か謝り合っている状況に発展していた。

 周りからみれば、女学生とメイドの謝罪大会以外の何でもない。


「もうこれじゃあキリがないよ…元々は私が悪いのに…」


 確かに、これじゃあいつまでも終わらない。

 そうなってくると、1つしかないな。

 あまり言いたくはないが、相手は一応はバイトでやってるんだ。

 俺と浩寺だけでも教えてもらえれば、後は他のヤツに教えたりするのにも、いくらでも言い訳が出来る。


「じゃあこうするのはどうだ?俺と浩寺に、学園祭の為に接客業を教える」


 不思議そうな顔を向けてくる三門に対して、内容を説明した。

 俺と浩寺に対しての接客の仕方。

 必要な仕草、気を付ける事等。

 だが彼女も何故かテンパっているのか、困った顔をしている。

 俺、そんなにも難しい事を頼んだのか?

 だが店に勤めてるなら、是非とも経験を聞いてみたい物である。


「接客業を教えると言っても…私、自信ないけど…いいの?」

「経験を持ってる人から教わる方が、断然に良いと俺は思う、特に俺と浩寺は素人だからさ」


 そう言いながら、俺は浩寺をこちらへと引っ張ってきた。

 一応コイツも教わるんだ、頭を下げさえるのは当たり前だろう。


「なんだよ春魔、いきなりどうしたんだ?」

「お前も頭下げるんだよ。これから、接客についての事を教えてもらうんだよ…理解できたかしら?浩寺君」


 浩寺の顔が再び青ざめると言う事は、相当姉貴の真似が美味いんだな。

 よし、これから毎日姉貴の練習をしよう。

 学園祭、絶対にうちのクラスを、儲けさせてみせる。

 目的とか変ってきてるが、どうでも良い、やけくそってヤツだ。

 ここまで来たんだから、行ってやるよ。


「大丈夫?春咲、雫に何か酷い事をしたら許さないから!」


 俺は別に何もしてねぇけどな。


「平気だよ、少し大切なお話をしてただけだから。それに春咲君、思ってたより、悪い人じゃなさそう」


 昔はやんちゃしてましたけど、確かに今は丸くなりました。

 とか考えつつも、俺はさりげなく後ろに裏拳を入れた。

 例え胸に詰めている物が偽物でも、セクハラをされるのは気分が悪い。

 鼻息が荒いんだよ、気色悪いな。

 あと俺は謝らないからな、セクハラをしようとしたヤツが悪い。

 そう、これはまさしく、正当防衛だ。


「何しやがる!?ただ胸を触ろうとしただけだろ!偽物なんだからいいじゃねぇか!?」

「寄るな、キモい、死ね」


 この言葉で、女子から突如喝采が上がる。

 思わず暴言吐いちまったけど、声も姉貴と同じにしちまった。

 あと完全にトラウマを植え付けたかもしれない、だが謝らないぞ!


「女子を後ろから襲うなんてサイテー!」

「信じられない、女の敵!」


 おいおいおい、俺男子なんですが。

 いつから女子扱いになってるんだよ、今女装してるけど。

 その後も、批判や謎の議論が始まり、その日の学校が終わっていた。

 それでもなお、放課後の教室で、学園祭の準備が続く。

 看板作りから始まり、衣装はどういったデザインにするかまで。

 あと俺と浩寺がメイクを落とそうとすると、そのままで居るようにと言われてしまった。

 理由は、この環境に慣れる為らしいが、面白がってる気もする。


「スカートはミニスカにする?それもピンクのフリフリ」

「でもそれって派手すぎない?ミニスカはありだけど、ピンクはちょっと違う気がする」

「ねぇ!メニューにパフェ出したいんだけど、作れる人って居る?」


 皆が皆張り切っているわけだが…ミニスカは勘弁してくれ。


「悪い、ミニスカはやめてもらえないか?」

「大丈夫大丈夫、下着とかならお姉さんから借りなよ、あと男の人はガムテがあればなんとかなるって、漫画で読んだよ」


 ガムテがあればって、どんな漫画読んでんだよ。

 あと普通にそんな事を言うな、もう少し恥じらいを持てって話だ。


「うぉぉ!本当だ!隣のクラスに美少女メイドがいるぞ!皆!早く来い!」


 隣のクラスの男子が集まり始めた…ややこしくなってきたな。

 つか準備しろよ!こっちに来なくて良いんだよ!

 と思って居ると、クラスの女子達が追い払い始める。

 なんか…いつもと違うから、違和感が拭い切れない。

 だが他のクラスの男子も負けじと、色々な手段を取ってくる。

 携帯だけを教室に入れてきたり、隙を突いて、突入してくる。

 あとどこからか、ラジコンまで持ってくるヤツまで現れた。


「そっちだけ独占するなんてズルいぞ!俺達にも美女二人を見せろ!」

「ダメ!これは学祭までの秘密なんだから!馬鹿な事してないで、クラスに戻って作業しなさいよ!」

「これは一体なんの騒ぎだ?まさか学園祭の前にも祭りが開かれるのか!?」


 この声は狂子か…どうかややこしくなりませんように。


「居ました!先輩可愛すぎです!お持ち帰りして良いですか!?お持ち帰りします!私は誰にも止められません!」

「良いッスよ蘭華!そのままホールド!これは売れる!売れるッス!超絶美女メイドの写真!」


 やっぱり、余計な事態にまで発展するんだよな。

 狂子も狂子でなんか楽しそうにしてるし。

 クラスの男共、写真を撮るのを辞めろ。

 状況を楽しんでるんじゃねぇよ、女子も女子で何面白がってんだ!?

 いつも批判してくるだろうが!この姿の時は無しかよ!?


「はいはい!二年生の先輩方!今なら、この美女の写真が一枚!八百円で販売ッス!更に更に!写真を五枚購入ししてくれた方には、握手する権利が貰えるッス!今日の販売枚数は、限定ッスよ!」


 由実テメェ!何勝手に販売してんだよ!?

 つかいつそんなに写真製造してやがった!?

 八割がコラじゃねぇか!?

 どれもこれも、俺が生徒会に女装させられた時の顔なのが救いか。

 もしこれが姉貴だったら、殺されても仕方ながねぇぞ。

 あ…もう俺が姉貴そっくりだから、殺されるのは確定か。


「…行ける…今年の学祭!うちらのクラスが優勝だぁ!春咲君!明日、写真撮影するからヨロシク!衣装はこっちで片っ端から用意するから!もちろん徳江君もね!」


 写真撮影だと…この遠藤って女、かなりのやり手か。

 現状、由実が販売した写真はかなり売れている。

 利用すれば実質、かなりの売り上げをたたき出す事も可能だろう。

 浩寺の写真は、他のクラスの女子へ売る物だろうな。


「分った…やってやるよ…その代り、俺と浩寺には」

「はいはいはい、学祭でしっかりと売り上げを出してくれたら、皆で食べに行く焼き肉店で、サービスするよ特別VIP待遇!」


 こうして学園祭への準備が始まった。


クラスの出し物で、メイド喫茶をやることになった。

そのメインで選ばれた柘魔と浩寺。

次回、二人の写真撮影でとまらないトラブル!?

柘魔と浩寺は、問題なく写真撮影を行えるのか。

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