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プロローグ

何処にでもいる普通の高校生、春咲柘魔はある女子生徒に呼び出されていた。


「ごめんね春咲(はるさき)君、急に呼び出したりして」


 俺は知っている…このパターンを。


「実は…その、お願いがあって、呼び出したの」


 普通、一般男子なら喜ぶシチュエーションだろう。

 放課後の屋上に、女子から呼び出される夢のような光景。

 だがな、人生ってのはアニメや漫画の様には出来ていないことくらい知ってる。


「これ!春咲君と同じクラスの徳江(とくえ)君に渡して!」

「……ああ、任せて置いて」


 そうだ…いつもこのパターン。

 俺はいつだって女子からパシリや配達役にされる。

 相手は気づいていないが、こっちはかなり傷つくんだぞ。

 ただ断れば、後が怖いんだよな…。


「それじゃあね!しっかりと渡しておいてよ春咲さくま君!」


 俺の名前はさくまじゃなくて、柘魔(たくま)だ!春咲柘魔!

 手紙を託す相手の名前くらい覚えとけよ。

 といっても…俺はどうせ覚えられても意味なんてないんだろうな。

 この高校に入学して一年、ただただ静かに過ごしたいだけなのに。

 いつからだろう…俺がこうしてラブレターの配達を頼まれるようになったのは。


「よぉ春魔(はるま)!何?また俺へのラブレター?」


 今俺の名前を呼んだ男、こいつの名は徳江浩寺(とくえこうじ)

 小学校からこの高校まで同じ、ある意味悪友とでも言うべき友人の一人だ。

 俺のことを春魔と呼ぶのは、コイツが俺に着けたあだ名。

 さっきの女はコイツへのラブレターを、俺に託してきた。


「ほらよリア充、そのまま手紙開いて爆発しとけ」

「おいおい、なんだよその映画みたいな展開?…げっ、この手紙の主って髪が癖毛の奴だろ?アイツ苦手なんだよな~」


 何が苦手だよ、毎度毎度手紙を渡す様に言われる身にもなってみろ。

 こっちはある意味期待をさせられるんだぞ。


「ん~、やっぱしパス、俺別にこの女好みじゃねぇし…正直ロリッ子以外興味ねぇからな、特にイカ腹とかたまらねぇよ」


 コイツはかなり残念なイケメンだ。

 高身長に顔も整ってる、それでいてクラスでも人気があり、サッカー部にも所属しているのだが。

 ロリコンという弱点がある。

 本人も自覚はしているらしいが、いつか幼女に手を出さないか心配になる。


「やっべ、俺部活戻るからよ!明日ジュース奢るからタイキックは勘弁してくれよ!お前のマジで痛いから!」


 浩寺はそう言うと廊下を走って行った。

 さてと、面倒事も終わった事だし帰るとするか。

 と言いたいところなのだが、今日はアキバに寄らなければいけない。

 なんたって今日は、「魔銃淑女・魔射子(まいこ)」の限定フィギュア発売日だからな。

 事前に調べてお一人様一点限り、しっかりと3カ所で予約は済ませてある。

 考えただけでテンションが上がってきた。


「よし!今日あった嫌な事は忘れて、魔射子を愛でてアニメ鑑賞するぞ!」

「すまない、そこの君」


 意気込む俺の方に、誰かが声を掛けてきた。

 後ろを振り返るとそこには、見慣れない美女が立っていた。

 この女がまさか、俺の静かな高校生活を脅かすとは、この時思いもしなかった。


彼の前に現れた女性。

一体何者なのか。

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