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曖昧トライアングル  作者: 相田博葵(アイダハクイ)
5/5

曖昧トライアングル 番外編 土曜日のお出かけ

皆さんこんにちは!

お久しぶりの相田です!

前回投稿から随分と間が空いてしまいましたが、なんとか今回投稿することができました!

鬼編集さん、本当にありがとうございます(笑)

さてそんな今回。

蛍乃実と蛍乃佳メインの話です。

皆さん楽しんでいただけたら幸いです。

蛍乃実のツンデレ感を満喫してくださいね!

では前書きもこの辺にして

曖昧トライアングル 番外編 休日のお出かけ

どうぞご覧ください!

私、羽月蛍乃佳は今日、妹の蛍乃実と一緒に近くの大型ショッピングモールに来ている。

目的は蛍乃実の新しい服を買うということだ。

「本当、蛍乃実はなに着せても似合うし可愛いからお姉ちゃん格好考えるの楽しいんだ~」

…………………。

???

「べ、別に!お姉ちゃんに褒められたからって浮かれているわけじゃないからね!」

顔を真っ赤にして蛍乃実はそう言い放った。可愛いな~。

それに…浮かれてもいいのにな~。だって蛍乃実はそれくらい可愛いし!

「そうだ!蛍乃実、今日はどんな洋服を探しに来たの?」

ここを聞いたときにすらすらと話してくれるから蛍乃実のコーディネートのイメージはつかみやすくていい格好が思いつきやすい。

「そ…それなんだけど…。きょ、今日は特に決めてないの!い、いやお姉ちゃんに一から選んでほしいとかじゃなくて……えーっと……ただ忙しくて考える時間なかったの!だから今日はお姉ちゃんが一から決めて!」

いきなり大きな壁にぶつかった気分…。そりゃまあ蛍乃実はどんな服も似合うけど、私が最初から選んだら変にならないかな?

うーん…。

「お、お姉ちゃん…?」

すごく心配そうな顔をしてる。無茶言い過ぎたかな?っていう感じの。

私ったら、せっかくの買い物なのに蛍乃実にこんな顔させちゃって…。ダメなお姉ちゃんだな…。

よし!

「大丈夫よ蛍乃実!お姉ちゃんが蛍乃実にぴったりの格好を考えるから!なんてったって、蛍乃実のお姉ちゃんだもん、お姉ちゃんは」

そういうと蛍乃実はぱあっと笑顔を見せて、

「ありがとうっ…」

そう言った後に、

「なんて思ってないからね!」

とちょっと恥ずかしそうに付け足した。

さて、蛍乃実に一からコーディネートを考えるとは言ったけど、正直なにか特別イメージがパッと思いついたわけでもない。うーん…。

「蛍乃実~。ちょっと聞いてもいい?」

一つ、ヒントを得るために蛍乃実に聞いてみようと思う。

「な、なにっ。お姉ちゃん。ま…まさか蛍乃実の好きな色を忘れたから教えてほしいとかじゃないよね!?」

「そんなわけないよ、蛍乃実。お姉ちゃん蛍乃実のことはちゃんと知ってる。好きな色は薄紫!これくらい当然だよ、なんてったって蛍乃実のお姉ちゃんだから!それで聞きたいことっていうのはね、いつも蛍乃実はコーディネートのイメージとかをすらすら話してくれるじゃない?そういうのってどうやって考えているのかなって思って。やっぱり雑誌とかなの?」

少し考えた後、蛍乃実は

「雑誌でこれ可愛いなーっていうのもたまにあるけど、基本的には蛍乃実の好きな人に一番可愛い自分を見てもらいたくて、そのためにはどんな格好、雰囲気がいいかなって…。そうやっていつもイメージを決めてる…かな?」

ちょっと恥ずかしそうに、俯いてっそう言った。

好きな人…か…。私にはまるで無縁な世界だな~。

(…蛍乃佳さん…)

一瞬、本当にコンマ一秒、兎樹くんの姿が私の脳内をよぎった。

いつものように、優しい笑顔で。優しい声で。

なんでだろう…。基本的に学校では兎樹くんとしかいないからなのかな…?

でもそんな理由だけで出てくるのかな?まあ友達ってそんなものか…。

いや…うーん…。

「お、お姉ちゃん?急にどうしたの?」

ああ、そうだ。急に黙り込んだから蛍乃実をほったらかしてしまっていた。

「あ、いや、蛍乃実に好きな人いるのがちょっと意外でびっくりしちゃって…」

「い、いやっ。あのっ。か、勘違いしないでよねっ。好きな人ってと…友達だからねっ。その…決して昔の思い出の人とかでもないからっ。本当に本当に違うから!」

大きな早とちりをしていたみたい。まあ好きな人、というだけで異性だと決めつけるのも不思議な話…だったのかな?

「そ、そういうお姉ちゃんはいるの?好きな人。あ、えーっと、異性の方ね!」

突然聞かれたのでちょっとびっくりした。しかし、冷静に考えてみて、私に兎樹くん以外の友達はいない。

「好きではない…けどね、大事な友達ならいるよ。兎樹くんって言うんだけどね…すごくいい人なの。謙虚で、優しくて、人のことを良く見ていて、でもたまに可愛くて、そんな人」

本人の前では絶対に口にはできない、でもいつも私が思う兎樹くんの姿。

「お姉ちゃん…気付いてないの?」

気付いていない…?何にだろう…。あまり思い当たる節はないな…。うーん…。あ!

「ありがとう蛍乃実。おかげでお姉ちゃんは気付けた!兎樹くんのありがたみに!」

「あ…あぁ…」

なんでだろう…。かなり自信のある答えだったのだが、蛍乃実の顔は何とも言えないような感じになっている。

違ったのかな?私の答え。

「あ、蛍乃実、違うなら言ってね。お姉ちゃんどんな答えでも受け取めるから!」

(うーん…。これは言ったほうがいいのか…?いやでもこういう感情は人に言われるものではないだろうし…。でも言わないとお姉ちゃん一生気付かなそうだからな…。ただ…やっぱり…。

「な…何でもないわよっ。友達のありがたみに気付くの遅すぎって思っただけ!」

なるほど…。今更過ぎてちょっと怒っていた?というわけなのか。

「ははは…そうだね…。兎樹くんがいるのが当たり前すぎて気付かなかったよ」

「お姉ちゃん、本当にその人の事大事なんだね」

「もちろん!あ、でも恥ずかしいから、他の人には内緒だよ?お姉ちゃんと蛍乃実、二人の秘密…ね?」

そういうと蛍乃実は少し顔を赤くして黙り込んだ後、

「そんなことわかってるわよっ」

と言ってなぜかちょっとふてくされた。

「それで、お姉ちゃん。だいぶ話がそれたけど、とにかく服は自分にとっての大事な人にどう見てもらいたいか、どう思ってほしいか、そういうことを考えるのっ!それで…頼める?」

蛍乃実はずるいなあ。そんな目で見られて断れるお姉ちゃんなんていないんじゃないかな…。

「うん、わかった。何とかしてみせるよ!なんてったって蛍乃実のお姉ちゃんだもん、お姉ちゃんは」

と、自信はないまま啖呵だけ立派に切って見せた蛍乃佳でした。

しかし…実際問題どうしよう…。こういう場面でネットに頼るのは人としてどうかと思うし…。かと言って代替案もイメージも浮かばないし…。友達にどう思われたいか、って言ってたよね…。兎樹くんにどう思ってもらいたいか。

それはまあ、可愛くない自分よりは、可愛い自分の方がいいよね。でもこれ当然のことか。

そうだな…。兎樹くん清楚系好きそう…でも、それだけじゃ何かが足りない…。あ!ワンポイントで可愛らしさを入れる…とか?しかも結構さりげなく。




トップスは肩出しのトレーナー風?インナーにはリボン付きタンクトップ?みたいなの…かな…?

下は膝丈くらいのスカート?でもさすがに寒いかな?となると…ロング?蛍乃実スカート丈はどれも似合うんだよね…。そこは服屋さんを見て要検討…と。あ、コートというか上着…も…要検討…?

色は…どうしよう…。今は十二月。さすがに蛍乃実の好きな薄紫を使うのにはちょっとな…。かといって春仕様の服にするのは多分蛍乃実が今日服を買いに来た意味がなくなっちゃうし…難しい。

いや…でも…薄紫は寒色系。うまく混ぜることくらい可能かな…?いや、そんなことを考えるんじゃない。

可能かな?なんて曖昧で、何かあった時の言い訳にしかならないようなそんなことを、蛍乃実絡みのことで言っていいはずがない。というか、言いたくない。なんてったって蛍乃実のお姉ちゃんだもん、お姉ちゃんは。普段頼りにならないから、こういう時くらい、お姉ちゃんしたって罰は当たらない…よね?

色には薄紫を取り入れる!なにがなんでも!



「蛍乃実、お姉ちゃん大方服装決まったよ!今から服屋さんに行って探してくるから、ちょっと…いや、だいぶ時間がかかっちゃうかもだけど、どこかで時間つぶしておいてくれるかな?」

そういうと満面の笑みで

「わかった!楽しみにしてるねっ!」

と言った後

「い、今のは建前だから…その…なんというか…ちょっと本音と建前が逆になっちゃったというか、とにかくそんな感じだから!」

と少し叫ぶというか、慌てるように訂正して、スタスタとどこかへ歩いて行った。

やっぱり可愛いな~。さすが自慢の妹!

さて…服屋さん巡りでも始めましょうか!蛍乃実の服に一切妥協はしたくないし、お店というお店を全部回って、隈なく探そう!





それからしばらく。





私、羽月蛍乃佳は、ショッピングモールの吹き抜けになっているところのベンチで、マップと格闘していた。

なぜか?リボンが肩のところについたタンクトップ風なインナーが見つからないから。

いやまあ季節は冬。何軒かめぐることは分かっていたけど、ここまで見つからないとは。

ということで、行ってないお店を探している…というわけだ。

妥協策もほんの少し考えたが、すぐ撤廃した。当たり前。さっきも言ったかもしれないけれど、私は蛍乃実のことに関して一切の妥協をしたくない。仮にそんなことを少しでもしたら多分、そんな自分を許せない…と思う。

さて、そんなことを考えるくらいならマップを見よう…あった!

まだ訪れていないお店!

しかもまだ5軒くらいある!

よし、行こう!!!

のども乾いていたので、ジュースでも買おうとしていたのだが、お店を見つけてしまった以上、そんなことする時間はない。

一軒目

一瞬、私の探すそれにかなり似たものがあったかと思われたが、よくよく見ると全然違うものだった。

それ以外の服も探していたが、残念ながら目当ての服は見つからずじまいだった。

二軒目・三軒目・四軒目

それっぽい服すら見つからず…。うう…。


もう最後の一軒にかけようと思った最後の一軒。

お店の外観を見ただけで正直肝を抜かれた。

なんというか…古風というか…年季が入っているというか…そんな感じのお店だった。

まあ、こういうお店にこそあるかもしれない!うん…?

「いらっしゃいませー」

いかにも駄菓子屋にいそうなおばあさんが登場した。

すごいな…この割と都心部にあるショッピングモールに、おばあちゃんが経営するお店があるなんて。

というか服!探さないと。

うーん…どこかにないかな~。

「お嬢ちゃんお嬢ちゃん」

「私のことですか?」

「そうそう、何か探し物があるのかな?」

このおばあちゃん…服の事…わかるのだろうか…いや、そんなこと言ったら失礼か!

「えーっと…肩のところがリボンっぽくなった…タンクトップ…とまでは言わないんですけど…インナーを探していて…。でも…冬にも使える感じのがよくて…注文が多くてすいません…」

「なるほどねえ…時季が時季だからなかなか見つからなそうだねえ…。うちにもあったかなあそんな服…」

ちょっと探してくるねえ…といってお店の裏へと消えてしまった。

それからしばらく。

「お嬢ちゃ~ん、ちょっとこっち来てくれないかね~」

「は、は~い」

そこに行くと、大量の夏向けの服があった。

「ここはねえ~オールシーズンすべての服を常に揃えているんだよ~。冬だからお店に出しているのは冬服だけだけど、裏には夏服があったりしてねえ~ははは~。でも、この辺なら、冬でも使えないかね?」

「な…なるほど…」

一番古風なお店が一番取り揃えがよかった。

こういうことも…あるんだな…世の中…。

そしてその中から探していると、

「あ、ありました!これにします!」

「そうかいそうかい。それだけでいいかな?」

「あ、せっかくですし…他にもちょっと見てみます」

「じゃあ、決まったらレジのところ持ってきてねえ」

そして、蛍乃実用のタンクトップ、その他数点を買ってお会計へと向かった。

「ありがとうねえ」

「いえ、こちらこそありがとうございます!」

とりあえず、服を買えてよかった~。

蛍乃実に連絡しないと。

件名 服揃いました!

本文 三階の試着コーナーに来てねー!

送信っと…。

よし、私も向かうか。



「お姉ちゃん、遅い」

あれ…おかしいな、メール送ってからまだ一分経ってないんだけど…。

そこには蛍乃実が、仁王立ちで構えていた。

「あ、服決めるの?遅くてごめんね、お姉ちゃん蛍乃実と違って効率悪いから…」

「違うわよっ!メール送ってからここに来るまでよ!こ、これじゃあまるで私がお姉ちゃんの選んだ服を着るのを…楽しみにしていたみたいだけどね…全然そんなことないんだからっ!勘違いしないでよね!」

やっぱり可愛いな~蛍乃実は。

「そ、それで?ふ…服を早く見せてよっ。気…気になるじゃない!」

楽しみにしてくれてたんだ~うれしいな~。

「これだよ、まあ中身は着てからのお楽しみということで、ほら、試着室行ってらっしゃい!」

「わ…わかったわよ…」

それからしばらく…。

蛍乃実が出てきた。やっぱり似合うな~どんな服着てても。

「どうかな…気に入ってくれた?」

「わ…悪くはないわ」

「蛍乃実は辛口だな~。そういうところもお姉ちゃん好きだけどね…」

ちなみに服装は

リボン付きインナーに肩だしトップス。スカートは斜めにラインが入った膝丈くらいのスカート。コートは薄めのロングコート…まあ、室内だから今は着てないのだけれど…靴はショートブーツ。

「あ、お姉ちゃん…」

「どうした?サイズ違った?」

「い、いや…そうじゃなくて…なんていうか…その…」

どうしたんだろう…?

「こ、これ…」

袋?中身は…

「洋服?」

グレーに白の大柄チェックが入ったワンピースだった。

「ぐ、偶然歩いていて見つけたお店に偶然お姉ちゃんに似合うかなーって服があっただけで!お姉ちゃんに似合う服を必死に探していたとかそんなんじゃないから!全然違うから!勘違いなんて絶対にしないでね!」

「蛍乃実」

「な、何よっ」

「偶然でも、見つけてくれて、ありがとうね」

「ど、どういたしましてっ!」


そうして、私と蛍乃実の、楽しい休日は終わった。

蛍乃実に買ってもらったワンピース…とっても可愛いし、明日…着ていこう…かな。

やっぱり妹というのは、私にとって一番大事な存在なのだな。

翌日、私は朝から大変な思いをすることになるなんて、この時はまだ、知らなかった。

曖昧トライアングル 番外編 休日のお出かけ

ご覧いただきありがとうございました!

相田は正直なところ、服に関するセンスが皆無なので今回のお話は非常に悩みながらの制作でした。

まあ、前から書きたいと言い続けていたので愛のような何かでのりきりました(笑)

蛍乃実のツンデレ具合も悩みどころで、番外編なのに本編よりまじめに考えたかもしれません(笑)

今度からは本編もまじめに取り組みたいと思います!(笑)

そして次はもう少し間を開けないで、次話、新作(止められてはいますが、出したいので!)を投稿したいと思います!

では後書きもこの辺にして

ではまた次回作もしくは次話で!

また会えるのを、楽しみにしております!

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