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曖昧トライアングル  作者: 相田博葵(アイダハクイ)
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第三章 悩みと格闘

皆さんお久しぶりです!相田です。

いや~随分とのんびりした日々を送っておりましたらもう前回から二か月経ってました(笑)

気づけば知り合いに催促されるという珍事まで起こりましたね(笑)

さて、前回の後書きなんて覚えている人はいないでしょうが、確か蛍乃佳と兎樹のキャラクターのイメージを書くみたいなことを言っていたので、書きたいと思います。

蛍乃佳は相田の大好きな黒髪ロングでストレートの美少女さんです。

目も割と黒い感じ。きりっとしたツリ目です。

兎樹は色素薄めの茶髪です。それで結構くせ毛です。

目も髪の色同様ですね…。それで兎樹はたれ目です。

まあそんな感じですかね。他にも何かありましたら足していきたいと思います!

ではでは、曖昧トライアングル 第三章 悩みと格闘 どうぞご覧ください!

ああ、どうすれば…。

私、羽月蛍乃佳は、今ものすごく悩んでいる!

それはなぜか…。そう、友達と初めてのお出かけだからだ!

友達と出かけたことが今までないのでどんな服を着ていけばいいのか、何をどれくらい持っていけばいいのか…。まったくわからないままもうお出かけ前日の土曜の夜10時。

「お姉ちゃん!まさか、まだ服決めてないとかじゃないよねっ?」

そうだ!私にも頼れる人がいた!

「蛍乃実~。お姉ちゃん何をどうすればいいのかさっぱりわからないの!ねえ、まず何をすればいいのかなあ?お願い!蛍乃実こういうの慣れてるでしょ?お姉ちゃんに教えて!」

と私が必死に頼むと、

「じゃ、じゃあ教えてあげないこともないわよっ!じゃあお姉ちゃん、とりあえず持ってる服見せて!」

と言われたのでとりあえず見せると…。

「お姉ちゃんやっぱりあんまり服持ってないね…。い、いや可愛いのにもったいないとかそういうのじゃないからね!まあいっか…。うーん…じゃあ蛍乃実のも混ぜてこの格好!お姉ちゃん一回着てみて!いや、別にお姉ちゃんが可愛い服着てるの見たいとかじゃないから!勘違いしないでよねっ!」

と言って渡してきたのは、グレーに白の大柄チェックが入った腰の部分に細い黒いベルトがついた長袖ワンピース、そして黒タイツ。蛍乃実の説明によると、外では今の格好に長めの紺のコートを着て、室内ではコートを脱ぐだろうけど、そこで寒かったら黒いカーディガンを羽織るから持っていくこと!そして靴は動きやすいこのグレーの折り返しのできるスニーカー!ということらしい。

ちなみに今までに出てきた服のうち、ワンピース以外はすべて蛍乃実のものだ。

着た感じもよかったのでそれでいくことになった。

そして朝…。

待ち合わせ場所に行くと既に兎樹くんは待っていた。

「兎樹くんおはよう。」

と私が声をかけると、

「蛍乃佳さん!おはようございます!」

といつもの調子で挨拶を返してきた。兎樹くんは赤のダッフルコートに黒い長ズボンだった。

「やっぱり普段制服な分、私服は新鮮ですね!」

と彼は休日でもいつも通りののんびりとした彼だった。

「しかし、こんなところに誘っておいて、一体どこへ行くのか?」

言われた時から気になっていたのでそれを単刀直入に尋ねてみる。

「水族館です。蛍乃佳さんが前お好きだと言っていたナポレオンフィッシュ、ナンヨウハギ、あとダイオウグソクムシ、オウムガイなどが展示されているところなんです。僕結構博物館とか、水族館とか展示系のものが好きで、母にそこのペア優待券をもらったんですけど、男女でいかないとだめだったので。それで蛍乃佳さんをお誘いしたんです。これなら蛍乃佳さんにお礼もできますし、僕のお願いにもなるんです。」

確かに私はナポレオンフィッシュもダイオウグソクムシもナンヨウハギもオウムガイも好きなんだが、まさかそんないつ言ったかなんて発言した私ですら覚えていないような些細な会話を覚えていたのか、兎樹くん。

私もそのうち絶対に何かお礼をしよう。

「ありがとう。兎樹くん。とても嬉しい。やはりいつも兎樹くんは予想以上のことをしてくれるな。」

言えた…。本心から思っていることを…全て。なんだろう。80%本心を言えたり、全然言えなかったり、何か基準でもあるのだろうか?素直に本心を言えたのは嬉しいが、その分謎も残るな。

そんなことを考えているとなぜか兎樹くんが涙目になっていた。

「と…兎樹くん!?ど、どうしたのだ!?」

「いえ…蛍乃佳さんが今までで一番の笑顔だったので僕も嬉しくて…つい…。」

ついこの間からとはいえ基本的にずっと話している分笑顔の違いなんかも気づくものなんだな。

しかし私はそんなに幸せそうに笑っていたのか。どんな顔だったのか自分でも気になるな。

ただ…。

「嬉しいのは十分伝わったから、そろそろ行かないか?兎樹くん。」

「あ、ごめんなさい蛍乃佳さん…。はい!行きましょう!」

道中も話していると結構あっという間で、割とすぐ水族館についた。

この水族館、今まで特に友達と出かけたことのない私は知らなかったのだが、都内一の大きさの水族館らしい。大きさは東京ドームとほとんど同じくらい。

そのあまりの広さに、私と兎樹くんは何度かお互いの姿を見失った。

「と、兎樹くん…?どこにいる…?」

「あ、蛍乃佳さん!ここですここです!」

という感じに…だ。

これでは先が思いやられるということだったので、とりあえず手をつなぐことになった。

蛍乃実以外の人と手をつなぐなんて小学校の遠足ぶりだったのだが、意外と自然だった。というかつないでいる間はずっと、華奢に見える兎樹くんの手が意外にも男の子だったのでびっくりしたという気持ちのほうが大きかった。そして気づくとお昼時になっていたので、二人でお昼を食べることになった。

私は自分で払うつもりだったのだが、お礼させてくれると約束しましたよね!?という兎樹くんに完全に押されて、兎樹くんに払ってもらうことになった。

なんというか兎樹くんは、気弱そうに見えて絶対に譲れないときの意志は誰よりも固いんだな。

お昼を食べてから、まだ見ていないところを見に行こうという話になったので私たちはそこを見に行った。

その道中、スニーカーできたはずの私であったが、少々ドジなもので、転びそうになってしまったのだ。

すると兎樹くんが転ばないように私を支えてくれた。まあ人生に一回くらいこういう経験はあるのが普通だと思うんだが、全く持って男の子に免疫のない私にとっては未知の領域の体験であったわけで、

「あの、蛍乃佳さん?怪我はなかったですか?」

と言う兎樹くんに対して完全にてんぱってしまった私は

「すまない。」

とつぶやいてその場から走り去ってしまった。

しばらく走ってから、とりあえず近くにあるベンチに一人座った。

さて、どうすればよいのだろう。せっかく彼のお礼兼彼の希望でここに来たというのに。私のせいでこんなことになってしまって…。

うーん。とりあえずこの携帯で連絡をしよう…いや!無理だ。

私兎樹くんと番号交換していない!

さて…本格的に困ったな。この広い館内でそう簡単に人が見つかるとも思わないし。

さすがにこの年で総合案内のお世話になるのも気が引けるし…。

まあ、ずっと同じところにいても埒が明かなそうだし、少し動くか。

そして私が何気なく来たのは三回にある見通しの良いテラスのようなところだ。

ふう…。手をつなぐのは平気だったのにさすがに体を支えられるというのは免疫が無いと辛いな。

しかし…まだ感触が残っている…。

世の女子高生はこれくらいは慣れているものなのか。うーん…。私も慣れるべきなのか…。いや、難しいな…。

でもとりあえず今は落ち着こう。さて、深呼吸…と…。





蛍乃佳さんを傷つけてしまいました…。

僕はあくまで蛍乃佳さんを支えようとしただけなのですが、支え方が悪かったのですね、蛍乃佳さんに不快な思いをさせてしまいました…。謝るためにも今はやはり蛍乃佳さんに会うべきなのでしょうか…。でもきっと今蛍乃佳さんは僕の顔を見たくないでしょうし…。

ただどこにいるかはおおよそ検討はついていますから…やはりここは僕の意志次第…。

本当に、どうしましょうか…。

いえ、こういう時こそむしろしっかりと話すべきなのかもしれません。友達との付き合いは分からないからこそ、こうして向き合うことがきっと大事なんです。僕としてもまた蛍乃佳さんの笑顔を見たいですからね。





ふう…。だいぶ落ち着いたな。

しかし兎樹くんと離れてからもう一時間近く経っているな…。

兎樹くんは何をしているのだろうか。

しかし今回は完全に私のせいだな。わざわざ誘ってもらって、しかも私の大好きな生物の展示だったし…。

それなのにこんなことをしてしまうなんて…。

正直兎樹くんに合わせる顔なんてないのだが…。逆に、友達だからこそこういう時は向き合うべき…な気がする。兎樹くんがどう思っているかはともかくとして。私は兎樹くんへの謝罪が必要なのも事実だし。

とかれこれ考えていると、

「蛍乃佳さんっ!」

と私の名前を呼びながら、兎樹くんがやってきた。それにしても、なんでここがわかったのだろうか。

「兎樹くん…。どうしてここが?」

「分かりますよ…。蛍乃佳さん前に言ってましたから…。心を落ち着かせたい時は無意識に開けた場所に行くって。それで…やっぱりこういう時こそ向き合うべきだと思ったんですが…。」

一体兎樹くんはどこまで私の話を真面目に聞いているのだか。そして私と同意見だ。

「ああ、私も向き合わないと、と思っていた。しかし…そうか…。今朝の好きな海洋生物といい…兎樹くんは本当に優しくて、真面目で、真摯な人だな…。先ほどはすまない。決して嫌だったとかそういうわけではない。ちょっと免疫がなくて動揺しただけだ。ただ、お礼のためにわざわざ連れてきてくれたというのに本当に申し訳のないことをした。すまない…。そ…それと、支えてくれて、あ…ありがとう…。」

そう誤った私に対して兎樹くんは、

「いえ、蛍乃佳さんは全く悪くないですよ。むしろ悪いのは僕です。あの時は必死で、蛍乃佳さんのことを考えていない行動で…。本当にすいません。あと、お褒めの言葉、ありがとうございます。」

と言って優しく許してくれた。さらに、

「それで蛍乃佳さん。蛍乃佳さんがよろしければなんですけど、この後もう少しだけ一緒に回りませんか?」

と言ってくれた。いったい彼はどこまで優しいのか。今だに限界が見えない…。いや、質問に答えなければ。

「ああ、もちろん。喜んでご一緒させてもらおう。それとさっき、私のことを考えてないと言っていたが、必死に支えようとしてくれたのだから、ちゃんと考えてくれていたのだろう、私のことを。本当に嬉しい。ありがとう、兎樹くん。」

本心がかなり言えている。先ほども少し感じたが、今はもっとだ。やはりなにか条件、のようなものがあるんだな。今度じっくり考えなければ。

「本当は僕が行きたいと言ってきたので僕がお礼を言わないといけないんでしょうけど、今日はお礼を言ってもらってばかりですね。でも蛍乃佳さんの笑顔をまた見ることができて、僕もとっても嬉しいです。」

よかった…兎樹くんも笑ってくれた。あとそうだ!

「あの…兎樹くん。兎樹くんはその…いろいろ私の話を覚えてくれていただろう?それなのに、私はあんまり兎樹くんのことを知らないから、教えてくれないか?もっと、兎樹くんのこと。」

そういうと、

「喜んで!」

と満面の笑みで答えてくれた。

「それでだな…。いきなりなのだが、携帯の番号とメールアドレスを教えてくれないか?今後こういうことはあまりないと思うが、やはり交換するに越したことはないと思ってな。」

これをしていなかったために今回はだいぶ困ったからな。聞けるうちに聞いておこう。

「確かに…。そうですね…。はい!僕でよろしければ是非!」

そして電話番号とメールアドレスを交換した。電話帳には今まで、母と蛍乃実と父のものしか登録されていなかったのですが、新しく、「兎樹くん」と登録された。

家族以外の連絡先が入ったことがなかったので、なんだかくすぐったくて、くすくすと笑ってしまった。

ふと横を見ると同じように兎樹くんも笑っていて、とことん似ているなとあらためて思った。

そして水族館を出る前に、記念にと言っておそろいのストラップを買った。

オウムガイのストラップ。微妙な生物のものを買うところ当たり私らしくてまた笑ってしまった。

そして帰り際、

「こんなに蛍乃佳さんが笑顔を見せてくださって。本当に楽しくて嬉しかったです。よろしければ、またこうやってどこかにご一緒させてくださいね。」

そういわれた。それに対し、

「ああ、私こそ大歓迎だし、今から楽しみだ。」

そうまた素直になったのだ。

そしてなぜだろう。少しだけ、帰りたくないと思った。一時間はぐれたとはいえ、展示は十分見たはずなのだが、なぜだろう?これもまた課題だな。

まあそんなことも、姿が見えなくなるまで手を振ってくれた兎樹くんを見たらそこまで気にはならなかったのだが。

初めてのお出かけ。こんなに楽しいとは。やはり兎樹くんはすごいな。

そう改めて思った一日なのであった。















「着替えとか果物とか、持ってきたぞ。」

「本当にいつもありがとう。そういえば、最近蛍乃佳にも蛍乃実にも会ってないけど、二人とも元気にしているの?」

「蛍乃実はいいんだが。蛍乃佳がな…。」

「あら、蛍乃佳に何かあったの?」

「いや…いいんだ。羊香(ようか)が心配することじゃない。」

「そうやって私がこんな調子だからって、(しょう)さんが全部抱え込んで…。もう少し私にも、あの子たちの親らしいことをさせてくださいよ。」

「いや、本当に大丈夫なんだ。」

「そう?ならいいわ。でも、たまにはあの子たちも連れてきてくださいよ?」

「ああ、分かった。」


やはり蛍乃佳には話をしないといけないな。




曖昧トライアングル 第三章 悩みと格闘 ご覧いただきましてありがとうございます!

まあ今回はデート回でした。最初は何事もなく平和に終わらせようとか思ってましたが、さすがにつまらないのでちょっと二人に苦労してもらいました(笑)

でも結局仲は深まったようなのでよかったな、と勝手に納得しています(笑)

最後の会話はまた追々、ではまた次回作もしくは次話でお会いしましょう!

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