プロローグ~彼女らの出会い~
さてさてお久しぶり?の投稿となりました相田博葵です!
今回は、なんと!初めての恋愛作品を書いてみました!
とは言いつつもこれ、まだ三作目なんですけどね(笑)
強気な女の子が、優しすぎる感じの男の子に若干翻弄される感じが個人的にとても好きなので、そんな二人の作品にしてみました!
実は、思い付きで書き始めた作品なので、続きもまったく何も考えていません!(笑)
だから、作品の流れや構成はもちろん、主人公たちの結末すらも決まっておりません!
ですので、無計画に、かつふんわり書いていけたらな、と思います!
さて前書きはこの辺にして、曖昧スクエア、どうぞご覧ください!
高校の入学式の直前カーブミラーをつけてほしいなと思っていた曲がり角で運悪く車と衝突し足やらあばら骨やら腕やらいろいろ骨折し全治半年を言い渡され何とか治したと思ったらもう十月。
学校へ行ってはいるがみんなが心配してくれたり話しかけてくれたりする時期も過ぎもともとのなんというか話しかけづらい空気というかな、そのせいでクラスで孤立をしている私、羽月 蛍乃佳
今日は席替えらしい。とは言っても、隣の席の人が私に話しかけるはずもないので、隣が誰かというのはあまり私にとっても興味はなかったのだが、一応見てみることにした。
「島本…兎樹?」
当然だが喋ったことはない。ただ、クラスでも目立つほうではないと分かって一安心だな。
とりあえず挨拶くらいしておくのが礼儀だろう。
「島本くん…?かな。まあよろしく頼むよ。」
「………………………。」
私が話しかけたのに気づいていないのだろうか。それとも無視しているのか。よくわからない。
こういう場合はどうすればいいのだろう。なんせ自分の年齢に友達いない歴が比例しているからな私は。
「あ、あの…。もしかして僕に話しかけてました…?」
まさか、聞こえていたのか?そのうえで無視をしたがいたたまれなくなって声をかけたとか?なんなんだ?行動の意図が全く読めん。
「ああ、声ならかけた。しかし君が無視したものでな。まったく、失礼だな君は。」
どうしてかこう強気に出てしまう癖が私にはある。内心とは少しだけ反対方向に言葉が行ってしまうのだ。
「あ、本当にごめんなさい!イヤホンつけててよくわからなくて、名前を呼ばれたような気がしたんですけど、まさか僕なんかに声なんてかけないよな、とか思ったんですけどもし声をかけてたらどうしようって思って、あの、その、本当にごめんなさい!」
な、なんだこの男。とにかく低姿勢だな。別に私はそこまで怒ったつもりはなかったのだが。
「い、いや。そんなことはどうでもいい!それより、その下の名前、なんて読むのか?」
これ以上この話題で謝られてもしゃくなので、この辺で別の話題に切り替えることにするか。
「あ、そうですよね。読みづらいですよね。下の名前は兎樹って言います。あの…。ちなみに、羽月さんは下の名前、なんて読むんですか?」
たしかに兎と書いて「と」とよむしな。でも名前に兎が入っているなんて可愛いな。というか質問に答えないと。彼に申し訳ない。
「私の名前は蛍乃佳だ。」
「なるほど!可愛い名前ですね!せっかくですし、蛍乃佳さんとお呼びしてもいいですか?」
な、何だこの男は。突然話したこともないような女子を名前で呼ぶのか!い、いや、これが常識なのか…。い、いいや流石にそれはないだろう。でも時代は変わるとよく言うしな。私に社会性がないから知らないだけなのかもしれない。ここはどういう対応をするべきか…。
「あ、あの…もしかして、迷惑でしたか?僕なんかに話しかけられて…。」
な、なんだその目は。捨てられそうになっている子犬が「捨てないで…」という心を込めてしてくる上目遣いのような眼は…。きつい言葉をかけづらいだろうが!
「大丈夫だ。決して迷惑ではない。ただ、最近は異性同士でも名前で呼ぶのが流行っているのか?」
そこは最近の若者であろう彼に聞いてみる。
「すいません…。僕何か間違えていましたか?なんせ今まで友達がいなかったので、クラスメイトと喋るのはこれが初めてでして…。そこらへんの事情がよくわからないのです。だから、間違えていたら教えてほしいのです。」
ま、まさか、私と同じような人がいるのか。い、いや、まあいるのか。最近巷では、「ボッチ」とかいう言葉がはやっているらしいしな。私も彼も、その「ボッチ」とやらなんだろう。しかし…。ここで私もクラスメイトとまともに喋るのは初めてだと言ったらおそらく彼を不安にさせるのだろうな。でも、彼に嘘をつくわけにもいかないし。どうすればいいのだろうか。
「す…すまんな。実は私もクラスメイトと喋るのはほとんどは初めてなんだ。だから、異性同士でも名前で呼び合うのかとかそこらへんの事情は下手したら君より知らないのだ。役に立たなくて申し訳ない。」
嘘をつくのはよくないというしな。これが正解なのだろう。多分。
「そうだったのですね。似た境遇の人に出会えてそれだけで僕は幸せです。だから、謝罪などなさらないでください。ところで、名前はどうしましょうか?」
私に出会えて幸せだ…。そう言ってくれる人なんて彼が初めてだろう。
父は割と大きくて有名な会社の社長で、その娘である私は、幼いころからよくわからないパーティーに連れ出され、よくわからない大人たちの中に埋もれていた。もちろん大人たちは優しかった。「蛍乃佳ちゃんに出会えて光栄よ。」と彼らはよく言った。しかし、私にはただの社交辞令にしか、感じることができなかった。だから私には、「幸せ」だとか、「光栄」という言葉は、全て偽善。そういった風に思っていた。そんな私が初めて見た、偽りのない幸せ。それはとても綺麗だった。本心からの幸せとはこんなにも素晴らしいものだろうか。それを知ることができた私もまた、幸せだと思う。そんな彼にお礼がしたいと思った。偽りのない感謝の気持ち、私が初めて感じたこの気持ちを彼に伝えたい。
「ありがとう。いいものを見せてくれて。君は優しいな。それと、名前のことだが、君が不快じゃなければ名前で呼んでもらえないか?もちろん私も名前で呼ぶ。どうだ?」
まだ少し、だが、本心を言えた気がする。本当に少しだけど。
「はい!是非!そうさせてもらいます!ところで、僕たちは、友達?なのですか?」
「友達」か。今まで友達なんて出来たことがないから、どこからが友達なのか、私にはわからない。ただ、本当になんとなくだが、彼とは、友達な気がする。
「私はてっきり、友達だと思っていたのだが、違ったのか?」
これでは違ったらものすごく恥ずかしいのだが。彼はどう思っているのだろう。
「ほ、本当ですか?本当に僕なんかと友達、だと?う、嘘じゃないですよね…。」
め、目に涙を浮かべだしたぞ…。なんなんだ、つくづく行動の意味が分からないやつだな…。
「こ、これ泣くな。というかなぜ泣いているのだ?」
戸惑う私をみて少し笑った彼は言った。
「いえ、先程も話しましたように、僕には今まで友達が一人もいなかったのです。だから、友達ができたという事実があまりにうれしすぎて、つい。まさか僕なんかに友達ができるなんて思ってもみなかったので。」
不思議な人だな。たった私一人と友達になれたくらいで泣いていたのか。ただ、その気持ちは分からなくもない。私にも今まで友達なんていなかったから、正直友達同士で笑いあっているのは羨ましかった。と同時に、私には絶対来ないことだろうとどこか諦めもついていた。その周りにとっては当たり前なことなんだが、私たちにとってはとてつもない幸せ。泣くに至るほどかは分からないが、そのくらい嬉しいというのはやはりわかる。
「嬉しいのは君だけではない。泣いてはいないが、私も君と同じくらい嬉しいと思っている。あと、僕なんかというのはやめたほうがいい。せめて、友達の前くらい、遠慮なしで、自然な君でいてくれないか。それに君は自分を下げるほどの人ではない。むしろもっと自分に自信を持つべきだ。少なくとも、私はそう思う。君は私なんかよりずっと優しくて、偽りのない綺麗な心を持っているからな。」
会ってからそんなに時間がたってない私にずっと昔から友達だったようなことを言われるのはいやだったら申し訳ないが、確かに彼は自分にもっと自信を持つべきだ、そう直感的に思う自分がいた。
「僕にそんなことを言ってくれるなんて。本当に、本当にありがとうございます!あ、蛍乃佳さんこそ、私なんてって言いましたけど、蛍乃佳さんも自分に自信を持ってください!蛍乃佳さんだってとても優しい心を持っていますから!あと、蛍乃佳さんも是非、名前で呼んでください!」
今突っ込まれて初めて気が付いたが、彼は名前で呼ぶと決めて以来、私のことをずっと蛍乃佳さんと呼んでいる。それなのに私はずっと君と呼んでいる。そこは私も誠意を見せないとな。
「すまない。すっかり名前で呼ぶことを忘れていた。兎樹くんでいいかな?あと、一応同級生なんだし、敬語じゃなく出来ればため口?というやつを聞いてくれないか?」
男の人を名前で呼ぶのは初めてだが、自然に行けたと、自分でも思う。そして出会ったときから思ったことも一つ、言ってみる。
「あ、すいません。昔少しいろいろありまして…。敬語は癖なのですが、蛍乃佳さんは僕に、自然な僕でいてほしいと言ってましたもんね。頑張ってため口?とやらで話せるように頑張ります!」
これが私とと兎樹くんの始まりのプロローグ。
そう、これから始まる長い長い恋の物語の。
曖昧スクエア、ご覧いただき、ありがとうございました!
この作品、キャラ数が少ないので、実はあと一人しか出てきません!しかし、そのキャラが出てくるのはまた随分と先かと思われます。
他の作品と並行で、こちらも頑張って連載のほう、進めていくので、どうぞ応援の程よろしくお願いします!それではまた次回!




