縦坂町
僕は急な坂道になっている、縦坂町に住んでいた。別にそういう決まりはないんだけど、ほとんど縦に近い急なの坂なため、縦坂町には階層という考え方があって、下のほうが低所得者が暮していて、そのかわり毎日お祭り騒ぎだった。人も日本人だけでなく外国人も多く見られた。僕は小銭を銀行に預けたいと思っていた。
しかし縦坂町に銀行はATMしかなくて、隣町へ行った方がいい、それより買ってかない?と人に尋ねたら返された。そこへベトナム人のスタイルのいい女の人がここにあるよとメモを渡してくれた。僕はうれしくなってそこへすぐ行った。すると僕が持っていたのは小銭ではなくて大量の出目金だった。銀行のお兄さんはちょっと待って君、と僕を警察へ引き渡した。僕はしまったと少し思ったけど、流れに身を任せることにした。駆けつけた警官は出目金を道端に並べると、なぜ出目金を持ち運んだ、と睨んできた。僕はいつの間にか小銭が出目金になっていたことを説明した。警官は白けた顔で僕の話を聞いていた。
出目金は口をパクパクして苦しそうだった。僕は何だかとてもかわいそうな気持になって、警官に怒りがわいてきた。警官はとにかくこれは没収と言って出目金を近くの池に向かって投げつけた。出目金は半分くらい浮いていて、瀕死に見えた。まだ死んでいないことにイラついた警官は池に入るとそこで遊んでいた部下と一緒に出目金を投げつけあって遊び始めた。そこにはなぜかイノシシやクマもいた。出目金がイノシシに当たった。
イノシシは怒りで体が内部から裏っかえしになった。めったに見られない光景なため僕ははらはらした。次に出目金は10メートルくらいあるクマにぶち当たった。クマも口から裏っかえしになったが、また元に戻って、しゃべり始めた。僕は、僕は、こうやって現前として生きていますが、あなたたちには僕という存在は忙しい日の朝食のようにどうでもいいものなんでしょう。と最後のところで突然野性を思い出したかのように叫び声になって、池から下の階層へジャンプした。何人かは踏みつぶされて死んだらしかった。また食われた人もいたらしかった。クマは再びジャンプして池に戻ってくると、また同じことをしゃべり、下の階層へジャンプして、暴れるのを繰り返した。警官たちはやっべ、と言って逃げようとしたけど、クマに踏みつぶされて粉微塵になった。僕も恐ろしくなって逃げたが、なぜかクマがジャンプしてくるのは僕が逃げる先だった。周りの人もそれに気が付き始めて僕を避けるようになった。僕はドキドキしながら逃げていた。しかし、近くにクマが来ることはあっても、僕に被害が来ることはなかった。