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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

俺はワイバーンで生きていく!!

作者: メタシン

短編です。テンポを意識して書いてみました。


 俺、ワイバーン。

 産まれて一ヶ月のベイビィだ。


 俺には他の奴には無いある秘密がある。

 それは、前世の記憶って奴だ。

 まぁ人外転生って奴だな。前世は日本という国で暮らしていた。

 自分が死んだ時の状況は覚えていないが、確実に死んだというのは理解している。

 誰かに会ったと思うのだが、パッとしない奴だった以外覚えていない。あれが神だったとしたら覚えていない方が幸せかもしれない。

 その後、気づいたら卵からやり直しているって訳だ。

 

 暗い卵の中から飛び出したら目の前に巨大なトカゲの口があった時、人はどう行動するのか。

 それは、ピギャーと泣くのである。


 いや、あの時ホントビビッた。心から泣いてしまった。

 あの牙で貫かれて死ぬんだって悟って漏らしながら泣いたよ。


 そいつが俺の親だって分かったのは、俺をベロで舐めまくった後だな。

 味見しているのかと思ったら、他の卵から孵ったトカゲにも同じ事をしていて、もしかしてと思って自分の体を確認し、状況を理解したんだ。


 俺、竜になってるぅぅぅっと。

 アレ、俺の親なのぉぉぉっと。


 それから二週間、慣れない体にあくせくしながら、ピョンピョンと跳ねて動きまくっていた。

 手は使えない。何てったって手が翼ですから。

 飛べるのかと思って羽ばたいてみたが飛べませんでした。

 まだ、飛ぶには早いみたいだ。岩から羽ばたいて飛んでみたが、顔面から落ちて、若干トラウマになってしまった。

 一緒に孵った周りの子供連中が俺を笑っていやがったのを見て、一番に飛んでやろうと誓った。


 ご飯は親が狩ってくるのだが、その餌の見た目が完全にモンスターだったのを見て、異世界なんだなと改めて実感した。


 大きな角の生えた鳥? を摘みながら、この状況を整理していると、どうも俺はワイバーンという亜竜らしいのだ。

 あ、ちなみに獣の肉と血はおいしいです。味覚が亜竜になっているみたいだ。


 そう、亜竜であって、竜ではない。

 これは親のマミィから教えてもらった。グルルゥと鳴いているだけなのに、それが言葉として理解できるのは不思議だったな。


 ワイバーンは一応、魔獣と呼ばれているらしく、魔獣の中では知性もあるそうだ。

 それでも所詮は亜竜。竜では無い。


 竜は、その存在が頂上であり、最強である。

 一息で山を吹き飛ばし、その顎であらゆる物を喰らい、その脚で大地を裂き、その尻尾は全てを薙ぎ倒す。それが竜だ。


 やだ、ナニソレカッコいい。だが、俺には関係ない事だ。


 ワイバーンはブレスを吐く事もできない。顎を使っても鉱物は食えない。

 脚の力は獲物を掴まえる為にあるが、それでも大地を裂くなんてできない。

 尻尾? バランサーです。毒とかありません。無くなったら立てなくなるな。


 完全に劣化版です、ありがとうございました。


 つまり身の程を知って慎ましく生きていかねばいけないのだ。

 だが、俺には人としての記憶がある。

 劣化版なら劣化版なりに生き抜いていこうと思うのだ。


 そして、俺、ワイバーン。産まれて一ヶ月のベイビィになる。

 身長が2mを越え、翼を広げると4mぐらにまでに成長した。


 ここまで来ると、そろそろ飛べる気がする。

 マミィの飛び立つ姿を何度も目に焼き付けて、練習するが、中々うまくいかない。

 ちなみにダディはいない。仕込むだけ仕込んでポイ捨てするロクデナシのようだ。

 もし会う機会があればボコボコにしてやろうと思う。

 俺の生きる目標の一つだ。


 話が逸れたが、飛べないのは何がいけないのだろうか。

 マミィ、軽く羽ばたくだけでフワッと飛び立つのだが、俺はそれが出来ない。

 バッサバッサと音がなって一向に上昇しないのだ。


 理由をマミィに聞いてみるが、その内分かるとしか言わないのだ。

 なんだそれ、本能に訴えかけろと言いたいのだろうか。

 いや、前世持ちの俺って、野生の本能大分失っていると思うんだよな。

 あぁーフライドポテトを腹いっぱい食べたい。コーラ飲みたい。

 ジャンクフードが恋しい。ラーメン食べたい。チャーハン餃子も食べたい。エビチリ食いたい。


 まて、もっと何かあるだろ。何で食い物ばかりなんだよ。デブいぞ。

 ある意味本能を刺激されているのかコレ。飛べる様になったらグルメに生きてみるかな。目標がまた一つ増えたな。

 ならやはり早く飛び立ちたい。


 更に一ヶ月、飛ぶ練習をするも、まだ飛び立つ事ができないでいる。

 相変わらず顔面着地を成功させて、俺と同じく生まれた奴等に笑われている。

 いつか、あいつ等の頭上から見下して嘲笑ってやる。その時まで笑っているがいいさ。


 見かねたマミィが俺に諭してきた。

 マミィが言うには、飛ぶにはまだ早すぎるそうだ。普通飛び立つのに半年は必要とされるといわれてしまった。そこから更に半年練習をして狩ができるようになるそうだ。

 そして更に一年、狩りがうまく出来るようになってようやく一人前になって巣立つとのこと。


 ぬぅ、我は退かぬぞ。媚びぬぞ。省みぬぞ。

 マミィの飛ぶ姿を観察しながら、検証を進める事にする。


 検証を進めること一ヶ月。なぜ飛べないのかついにその理由が分かった。


 その代償が高くつくことによって。


 巣が突然魔物に襲われたのだ。

 マミィがいない状況を狙って、大きな単眼のヘビが襲ってきたのだ。

 ざっと全長10mオーバー。胴回り3m越え。

 その姿から明らかに今の自分より格上だと判断し全力で巣から逃げた。


 だが、ピョンピョン跳ねて逃げる事しかできないワイバーンなんて、ただの巨大な目立つウサギだ。いや、逃げ足を考えると、ウサギよりも下かもしれない。

 当然、ヘビに捕まってしまう。

 そのヘビはその大きな単眼を開き、視線をぶつけてきた。

 そして、見つめられた体は徐々に石化をしていき次第に動かなくなっていく。

 あぁ、もう・・・・・・。


 石化が終わり丸呑みにされてしまう。どうやらこれがコイツの狩猟方法みたいだ。

 これじゃ助からないだろう。・・・・・・ここまでだ。


 じゃあな。名も知らない俺の兄弟。俺の為に犠牲になってくれ。


 俺は、石化していく兄弟に敬礼をしてやり過ごす事にした。生贄は成功だ。

 オプティクスブラストしたあの巨大なヘビは、食事半ばでマミィが来る前に早々に立ち去っていった。

 俺はマミィが来るまで息を殺して潜む事にする。

 他の兄弟達は、戻っているみたいだが、俺は戻らずにあのヘビの事を考える事にする。あいつ等を人柱として役立てやろう。

 ヘビが再び戻ってきた時、あいつ等を墓地送りにしてマミィを特殊召喚する事にしよう。きっと必死で鳴くはずだからな。召喚は成功すると思う。


 あのヘビ、恐らくバジリスクじゃないだろうか。

 バジリスクは、その目で相手を石化させ、その牙は猛毒を持っていると、俺の前世の知識にはある。

 あの魔法学校の映画で登場するポット君が戦っていたはずだ。


 この世界はどうやら、俺が思っていた以上に厳しい世界のようだ。

 あんなの勝てる気しないんだけど。ポット君よく勝てたな。

 そもそも、どうやってあんな力を使っているんだ?

 視線だけで、相手を射止めるとかどんなプレイボーイだよ。

 相手は文字通り食われたぞ。何人切りでしょうねあのヘビ。

 あやかりたいです。


 そして、未知なる力として考えていると、俺は一つの答えに辿り着く。

 アレ、魔力ジャネ? っと。

 異世界に転生した俺は魔法とか魔力的な何かをコントロールする事は一通りやった。

 しかし、結果は散々。使えないと判断した。竜の様にブレスが出来ないと知ったのも後押ししている。


 だが、今考えてみると、飛ぶ事にも魔力が必要なのではないのだろうかと疑問を抱くようになっている。

 マミィの巨体からして、翼だけで飛ぶのは無理がある気がする。

 それに音がとても静かだった。あれは魔法なのではないか?


 ふむ、可能性が出てきたな。マミィ早く帰ってこないかな。

 着陸する時を観察したい。あいつ等今すぐ生贄召喚できないかな。


 しばらくしてマミィが狩りから帰ってきた。

 獲物を落として、ゆっくり羽ばたきながら着陸してくる。


 やはり、羽ばたきに対して、風が少ない。これは魔法で確定だろう。


 俺はマミィの魔法を意識して視ることにする。

 マミィは子供等の様子がおかしい事から、何かあったと直に警戒を露にする。

 俺は子を守る愛情溢れる親の姿を無視しながらマミィの表面に流れる風の流れを観察する。


 そう、風の流れが視えているのだ。意識して目を凝らすと、体表面に薄っすらと煙の気流を可視化したような物がみえる。

 今までマミィを観察してきたが、こんな事はなかった。

 いや、気づけなかったのか。それとも・・・・・・。


 俺はマミィの子を失った悲しそうな顔を気にせず観察し続け、この日、魔力の存在を確認する事ができた。


 そして更に一ヶ月、ついに俺は魔力を扱うことに成功する。


 どうやって扱えたか。実はあのヘビとの一件で既に俺は魔力を扱っていたのだ。

 目に魔力を集めてマミィを見ていたらしい。

 いつものように、じーっとマミィを観察している時、それに気づいたマミィが驚きながら俺にギュルアァ!っと突然叫び、俺は再びピギャーと泣いてしまった。

 すげぇ怖いんだもんマミィ。


 曰く、飛べる様になった後、獲物を見つける為に覚えさせる予定だったそうだ。

 どうやら俺はいくつかの過程をすっ飛ばし自力で魔力視を覚えた模様。ありえないと言われてしまった。


 そんな事言われたらやる気が上がってしまうじゃないか。

 俺は頭に乗るタイプだ。褒められればどこまでもつけあがって鼻を伸ばしてしまう。

 

 その鼻っ柱を太く立派に伸ばすべく、俺は魔力視を使いマミィを観察する。

 魔力の使い方、流れ、翼のはためき方。今までずっと見てきた事だ。

 マミィはどうやら、日常的に魔力を体表面に張り巡らして動いている。

 それを真似して同じ事をしようとするも、自分の体から魔力が漏れている訳ではないので失敗している。

 魔力を外に出すと言うのは、思った以上に難しいみたいだ。


 仕方が無いので、体内の魔力をいろんな箇所に送り込んで、実験する事にする。

 両足に魔力を集めてジャンプをしてみる。

 ジャンプ力が二倍に跳ね上がった。

 今度は尻尾に魔力を集めてみる。

 尻尾だけで体を持ち上げることができた。

 これなら両の翼に魔力をおくれば?


 バッサバッサバッサバサバサバサバサ・・・・・・。


 結果、飛ぶ事に成功。


 1m程浮き上がり10秒キープできるようになった。

 うん、何か違う。


 これ物理でがんばっている感じがすごいする。

 マミィのように静かにフワッと飛んでいる様子とはまったく違う。

 これをし続けていけば、上半身マッチョの脳筋になってしまうのではないだろうか。

 うん、それはそれでアリかもしれない。どうしよう、違うベクトルで進んでいる気がする。

 だが、飛べたのは事実。俺はマッスルワイバーンとして生きていく事を決意する。


 一週間後。俺は万感の抱きと共に、ついに完璧に飛ぶ事に成功(物理)。

 只今、兄弟の頭上を羽ばたきドヤ顔で見下している。

 このうえなく気持ちがいい。さんざん馬鹿にした奴等を見返す事ができた喜びは、一生の思い出となるだろう。

 悔しそうな兄弟の顔で飯がうまい。


 そして飛ぶ姿をみたマミィは、ちょっと心配そうな顔をしながら俺をみていた。

 その顔は、何? その飛び方。である。


 言いたい事はわかる。マミィが一回羽ばたくのに対して俺は20回くらい羽ばたいてい飛んでいるからな。滅茶苦茶うるさいのだ。

 仕方ないだろ。体表面に魔力を出すってのできなかったんだからな。

 俺がやっているのは、体内で魔力を流し、身体強化をしている。

 マミィがやっているのは体外に魔力を流し、身体を補助している。パワードスーツのようなものだ。


 俺はそれができない。いつかは出来るようになりたいが、無いものねだりをしても、現状がどうにかなる訳でもない。


 マッスルワイバーンは物理で解決していくのだ。


 そしてそして、一ヵ月後。

 他の兄弟達も飛ぶ練習をし始める。俺に触発されてやる気は上々。

 俺は見せ付けながら鼻で笑い、悠々と青空を舞う(物理)。

 くやしかろう。うらやましかろう。この一ヶ月散々煽りまくってやったからな。ねぇ今どんな気持ち? を一日に何回もやってやった。

 凄く嫌な奴だと我ながら思う。だが、ちゃんと意味はあるぞ。

 いつまた、あのヘビのような魔物が俺達を襲ってくるかわからないからな。

 生存確率を上げるならこれぐらい煽るのは必要な事だ。

 まぁ、それは一割ぐらいの理由だがな。残りはただの復讐だ。


 ちなみにだが、あのヘビまた俺達を襲ってきたが、マミィがそれを察知して、上空から奇襲で一撃で沈めてしまった。めっちゃキレて食いちぎっていました。

 マミィ強いっす。 


 兄弟達が飛ぶ練習をしている間、俺は何をしていたかと言うと、マミィに狩りを教えてもらっている。


 魔力視で視力強化、そして魔力の塊を見つけて獲物に向かって飛ぶ。

 そして逃げられるのである。


 マミィ曰く、お前バッサバッサうるさいとの事。

 ぬぅ、音で察知されるとかハンターとして致命的ではないか。


 しかし俺はマッスルスタイルを貫くことにする。だってマミィみたいなドレススタイルできないんだもん。


 そこで編み出した俺のハンティング方法。


 まず高高度まで飛びます。魔力視を使い、視力強化を全力で行い獲物を見つけます。

 獲物を見つけたら、そいつの頭上まで高高度を維持しながら移動します。


 そして相手に向かって十字の構えをしながら全力で落ちます。

 ドラゴンダイブ(物理)である。相手が気づいた頃には俺の天空ペケ字○であの世行きだ。


 ズドーンと小さなクレーターを作り、特性のミートパティさこさえてマミィにスマートさが無いと怒られてるが仕方ないんだ。

 そのままその場でブラッドバスに浸かりながら獲物を租借します。

 うん。このイノシシみたいな奴美味しいな。生肉を美味しくいただけるというのはこの身になってないと味わえない体験だ。


 マミィは横で何か将来を心配する親の目をしているが無視を決め込む。


 食い終わった後、狩りを続けることにする。

 今いる場所は森と岩場の間くらいだ。今度はドラゴンダイブを封印して狩るように注意を受けてしまったので他の方法を考えねばいけない。


 そこで新たに開発した俺の新必殺技。


 まず、獲物を見つけた後、口に岩をくわえます。

 そして身体強化を全力で行い息を吸い込みます。

 強化した肺活量を使って撃ちだします。

 ドラゴンブレス(物理)である。


 撃ち出された岩は、弾丸となって相手に当たり、相手を木端微塵にしてしまう。

 うん、素晴らしい結果だ。


 そして、頭上から尻尾をたたき付けられてマミィに怒られます。

 おではわるぐねぇ。


 マミィの顔が、この子どうしようって顔しているが無視を決め込む。

 俺の将来像が明確に浮かんできた瞬間である。


 今回相手を木端微塵にしてしまった為、次の獲物を探すことにする。

 今度はマミィに怒られない方法を考えた。


 次の相手は鬼のような奴だ。今回初めて人型に出会った。

 いつかは相手をすると覚悟していたが、いざ会ってみると、何にも感じる物は無かった。これはいいのだろうか。


 今はそんな事言っている場合でもないし、後から考えよう。

 俺は地面に降り立ち、鬼を見つめる。そして翼でクイックイッと手の様に動かし、若造を相手する師父の様に煽る。

 

 鬼は挑発に乗り、単身特攻してきた。

 馬鹿めが。


 俺は身体強化で脚に力を込め、爪を地面に埋め込み蹴り上げる。

 ME☆TU☆BU☆SIである。

 ただの目潰しではない。小石に殺傷能力がある素晴らしい礫だ。


 目を潰された鬼は、大佐の如く目を両手で覆いもがいている。

 そこで俺のマイ尻尾を強化し脚払いを行う。


 その後、レスラーの如く空中半回転をして背中でプレス。

 だが、鬼はそれでやられる様なタマではないらしい。

 いいだろう。マッスルワイバーンの力みせてやる。


 俺は尻尾で鬼の首を絞める。そしてそのままスケート選手の如く体を二回転ジャンプして捻り、鬼の首を捻り折ってやる。

 ドラゴンスクリュー(物理)だ。


 グゴキッ!っと嫌な音を立てた後、鬼は大の字で倒れた。


 ふぅ。相手はミンチになっていない素晴らしい結果だ。

 これならマミィに怒られないだろう。


 どうだっ!っとマミィに振り向く。


 マミィは何か諦めたような、思考を放棄したような、切ない顔をして何も言わなくなっていた。


 うん。恐らくこれでいいのだろう。怒られていないし、俺は自分のスタイルを確立したと確信した。

 兄弟達に戦利品を見せ付けて煽ってやろうっと。 


 そしてマッスルハンティングをしながら月日が経ち二ヶ月が過ぎる。


 ついにマミィに巣立ちをしろと告げられて、旅立つことにする。

 俺一人だけ。


 いや、虐めとかじゃなくて、お前もう私必要ないだろと言われてね。

 巣立ちに一年ほど早いらしいが、これ以上、他の兄弟に変な事を教えるのはやめてくれとお願いされてな。

 ただ、プロレス技を教えていただけなのに・・・・・ガッデム。

 まぁワイバーンの翼の可動域が思いのほか広くて調子乗ったのは仕方ないと思うんだ。意外と絞め技がしやすいんだよ。 


 兄弟達もマッスルワイバーンに改造する事に成功したからな。

 マミィは必死に修正しているみたいだけど、まぁがんばってくれ。

 ワイバーンはたかが亜竜なんて侮蔑の混じった言葉を払拭して世界に知らしめてやろうじゃないか。

 ワイバーンはいつだって強いって事をな!!


 待っていろ、世界。美味しい物とプロレス技で世界をまたに駆けてやる。


 俺が意気込みを新たに、高速の羽ばたきで旅立とうとしたら、マミィが持っていけと光る石を投げ渡されてしまった。


 これは? とマミィに聞いてみると、魔結晶と呼ばれるものだそうだ。魔獣の体で生成される物らしい。

 それを体に取り込み、自分の体内にある魔結晶を育てていけば、いずれ進化して、幻獣になる事ができるかもしれないと言われてしまった。

 幻獣に至れるのは魔獣でも数百年にほんの一握りだそうだ。


 マミィ? 初耳なんだけど。俺、体に結晶あるの?

 旅立つもっと前に言うべきじゃないのマミィ?


 幻獣って何? と聞いたら、ドラゴンの事だそうだ。


 ・・・・・・マジか。この世界進化できるのか!


 たかがワイバーンに収まるなんて俺のポテンシャルが許すわけないと思っていたんだよな!

 いやぁ、亜竜なんてつまらない物いつまでもやってられないし。

 俺、亜竜やめるわ。本物の竜になる。

 そして、最強の物理竜として世界に知らしめてくれよう。


 俺は魔結晶を飲み込み体に魔力が澄み渡る感覚を味わいながら、巣立っていく。


 飛び立った後、後方で声がするので振り返ると、兄弟達はそれぞれ、美しいと思う筋肉美のポーズを決めながら俺を見送ってくれていた。


 俺はそれをバックダブルバイセプスで落下しながら魅せつけて答えてやる。

 そして着地と同時に脚力を爆発させて、上空へロケット発射で飛んでいった。(物理)



 マッスルワイバーン旅立ちの日、世界に激震の時代が訪れる。



 ・・・・・・といいな。 





いかがだったでしょうか。

本来、竜騎士を目指そうと思っていたのですが、なぜか脳筋になっていました。

これからの未来像がまったくわかりません。


どうしてこうなった!!


ちなみにバックダブルパイセプスとは両手を開き背筋を魅せるポーズのことです。

空中で落ちながらそれをするのはシュールですが、落下と同時に羽ばたき空に消えていったらカッコいいかなと思って書いてみました。どうなんでしょうね。


こんな所であとがきを終わります。

ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] あー、、、マミィ、、かわいそーですねぇ。 コイツのせいで他の子までミョーな方向にいっちゃってるよ~。 でもバカな子ほどカワイイって言いますから、、、 ちゃんと餞別まであげてるんですもんね。…
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