【1】双剣の使い手1
石柱が整然と並ぶ広い部屋で、私は剣を打ち合っていた。
所々にヒビが見受けられ、古くからの建物であることがわかり、さらに部屋の数多の傷が鋭い斬れ味の武器によるものということも見てとれる。
様々な者たちが剣の修行を行ってきた場所。
そして、まさに私も今、剣の練習の真っ最中。
正対している指南役の女性は、私に精魂込めて剣術を教えてくれているが、それはありがたいし私のためなんだけど……。
手加減って言葉を知らない?
お互いに二本の鋭利な剣を持ち、右手に握る一本の刃で攻めてはもう片方のそれで相手の攻撃を防いでいく。攻防は続き、ぶつかり合う金属音だけが響く。
少しの隙も見せない指南役は背筋を正したまま、薄く目を開いて私の剣さばきを見定めていて、ただただもどかしい。私の後ろで結わえた藍色の髪は肩らへんで激しく揺れ、一心不乱に攻め込んでいく。
踏み込んでは退き、詰め寄っていく。
不利を感じながらもいつもと違う手応えも覚えていた。
強く剣を突き上げる私は勝てる確信を持った。が、そう甘くはなかった。
ぎぃぃーん、と私の攻めの剣は弾かれ、反動で身を後ろによじらせた。
「わっっ」
とっさに体勢を整えたが、凛とした指南役の剣先が私の二つの目の間の前で止まっていた。長剣よりは短い刃ではあるが、後半歩でも踏み出せば十分に斬りつけられる距離。
眼前で光るに刃先に負けを認めざるを得ない。
本当の血みどろの戦いであったならば、私はその剣の餌食になっていただろう。指南役の洗練された動きに私は微動だにせず、息を荒くして立っているしかない。
しくじった思いを隠しきれないまま呼吸を整える。
指南役の女性はじんわりと汗をかき、首に絡みついた髪を振り払う。腰までの長い毛は、二本の剣を静かに背中の剣帯に収めると同時に揺らめいた。