ghost-1 新しい世界へ
※この作品はホラーではありませんと思うので、ご了承のほどを・・・・・。
赤黒い・・・それはまさに血のような色をしていた。夕焼けの空はどこか、険悪な雰囲気をかもし出している。地面は暗い・・・自分の足が見えないほどである。その中央部分に光り輝くそれは、自分を誘っているかのようなものだった。
だが、その塊は近づくにつれて輝きを増し、人の形へと変化していった・・・・・。女の子?そこに現れたのは、紛れもなく、裸の女の子だった。でも、どこか生まれたばかりのような・・・ずっと一緒にいるような気さえした。
そして、その女の子は目を開く。まつ毛が長く、パッチリした目で美しい・・・。
そのピンク色の唇はまさに薔薇のよう。ピンク色の唇を重く、ゆっくりと開く・・・。
▽▲▽▲
ジリリリリリリッッ!!!ジリリリリリリッッ!
目覚ましのアラームが部屋中に鳴り響く・・・。部屋はとても殺風景な部屋で、テーブルにベッド、パソコンがあり、タンスがある。その他もろもろ・・・。そんな部屋で新井世人は起きた。
(また・・・あの夢を見たな・・・なんなんだ?あれは?いつも何かを話そうとして・・・・)
最近ずっと世人はこの夢を見ていた。いつも同じところから始まり、同じところで終わる。こんな不思議なことはこの上ないだろう。
ふと、世人は頭上の時計を見やる。
「うあぁぁぁ!!なんだよ!もう8時じゃんよぉ!目覚まし狂いすぎだよ!!ヤベェ!ただでさえ、内申点が悪いのに!!」
朝ながら、焦りの顔を出して世人はパン一枚を咥えて制服に着替え、大急ぎでバス停へ駆ける。
世人の親は世界一周の旅とやらで、一年前からこの家を出ている。そして、たった一人の妹はとても頭のほうが良いらしく、遠くのお受験学校やらで寮生活をしている。
それでも、一週間に一回は連絡が来るので、世人の一人暮らしも心配はない。
ということで起こす人がいないわけだ。だからといって、どんなに急いだって時間は止まらない。世人がバス停に着いたころにはちょうど出発のときであった。
「あぁ・・・最悪だよ・・今から歩いて行ったら、確実に一限は無理だな。まぁ、仕方ないかぁ・・・ゆっくりと言い訳でも考えるかぁ・・」
世人は性格が悪いわけではない。ちょっとマイペースなだけだ。マイペース過ぎるだけである。昨日だってそうだった。次の日のことも考えず、ずっとオンラインゲームにハマってしまった。三年前からやっていて、今では相当な腕前だ。本人はどうやら、ただ楽しめれば強さなどどうでもいいらしいのだが。
それでいて、ちょっと現実から離れているわけである。まず考え方からおかしい。今でこそ遅刻し反省しているっぽいのだが、すぐに世人は思考を変え、口の端を上げて呟く。
「痛いと思うから痛い。無理と思うから無理になる。つまり、遅れたと思うから遅れるんだよな~そうだよ、きっと・・うん」
これは世人の口癖だ。ポジティブな考えは誰譲りなのだろうか・・・・?いまだにわかってはいないようだ。
(ん~・・でも、あの夢はホントになんなんだ?あの夢を見出してから早、一週間が経とうとしている、それに・・・あの女の子は・・・・おっと、変な妄想を・・・)
世人は激しく頬を赤らめた。一応世人は健全な青春男子であるわけだし、少しくらいのこういう部類のネタは気にならないわけでもない。
そんなこんなで赤い顔のまま、1時間遅れの学校に着いた。
「あぁ、そりゃそうか・・・もしかしたら間に合うと思った俺がバカだったようだな・・・」
「よぉ!世人!今日も遅い登校だなぁ?これじゃあ、成績下がりっぱなしだぞ!」
優々と自転車で登校してきた男・・・下波衛は成績トップで顔もそこそこなのだが、少々性格の問題があるらしく、世人同様モテないグループに登録されているらしい。
世人は太陽の日差しに目を細めた。
「お前だって遅れてんじゃんよ?成績さえ良ければ遅れてもなんの問題なしってか?」
「あっそうかぁ~そうだよなぁ~俺は頭がいいからっていうのもあったな!ありがとよ!じゃあ俺は急ぐぞ!」
「あぁ、早く行けよ」
凄い速さで自転車を飛ばす衛を背に世人も校門へと急いだ・・・・・。
今回は初ということで、短くなりましたが、次回からはしっかり書かせていただきますので、これからも見続けてくださいねぇー!