第7話 秘密の告白
翌朝。
あまりに緊張していたのか、素奈多は目覚まし時計が鳴るずいぶん前に目が覚めた。
枕元には、なんの変哲もない卵がころんと転がっている。
ふとんの腰のあたりが暖かくて手を伸ばすと、そこで丸くなってぐるぐるいっているのは、猫だ。
素奈多はなぜだかほっとして、ゆったりと朝食をとり、猫が起きたときのためにミルクを皿に置いて、学校へ向かった。
帰りに、猫用のカリカリを買って来なきゃ……と思った。
学校で、花南に卵から猫が生まれた話をした。
「えー。じゃあ、その猫、おへそないかもよ?」
もちろん、花南は、茶化すように大笑いした。
「猫のおへそって、どこにあんのよ?」
「そりゃあ、おなかでしょう」
「う……」
花南はお嬢さん育ちのくせにドライなリアリストなので、はなっから、そんな漫画みたいなことは信じない。
どちらかといえば、夢見がちな素奈多でも半信半疑なのだから無理もなかった。
「まあ、猫はともかくね……。ちょっと、試してみたんだ……」
素奈多は声をひそめた。
そして、もうひとつの卵に、九嵐先輩の髪の毛を入れてみたと告白した。
「先輩の髪の毛、入れちゃった」
「あらー……」
花南は最初、驚いて目を丸くしたが、すぐに悪戯っぽく言った。
「もし、先輩が生まれたら、見に行くから教えてね」
面と向かってそう言われると、素奈多もさすがに自信がなくて、「ははは」と乾いた笑い声をあげるしかなかった。
「そもそも、人間が卵から生まれるわけないじゃない? もちろん、おへそのない猫もね」
「ですよね~……」
「てか、先輩の髪の毛大事に持ってるとか、普通にキモいから」
「うっ」
「あんたの根性は認めるけど、ストーカーにだけはなんないでね」
花南はドライに言って、次の授業の準備を始めた。
「ですよね~……」
もう一度、小さな声で言って、素奈多は深いため息をついた。




