第15話 きっと、多分、スキャンダル
学校での素奈多は、さんざんだった。
寝不足がたたって、あくびばかり出て授業に集中できない。
そもそも、家に男を隠していると思うと、それだけでソワソワしてしまう。
高校生の、女の子の、一人暮らしの家に、若い男……。
スキャンダルだ。
バレたら退学かもしれない。
しかも、どこからどう見ても、九嵐先輩……。
大スキャンダルだ……。
しかし。
今日は生活を少しでも快適にするため、昨日不自由だった点を改善すべく、バスローブなんかを買いに行かねばならない。
学校での様子を心配した花南が、買い物に付き合ってくれた。
駅前のショッピングモールを連れだって歩く。
「ふあ~」
歩きながらあくびをする素奈多を見て、花南は呆れたように言った。
「なんかあったの? 素奈多が眠れないなんて」
「う~ん……」
どう話したものか……。
果たして、話していいものか……。
素奈多は考えあぐねていた。
ふと。
ショウウインドウのディスプレイが目にとまった。
メンズブランドの店だった。
思わず立ち止まる。
「ちょっと、素奈多。なけなしの仕送りはたいて勝負賭ける気?」
「えっ?」
素奈多は自分が見上げていたショウウインドウのマネキンが着ている服の値段を考えて、あわてて首を横に振った。
「ま、まさか……。もっと安物で充分よ」
「は?」
花南は、変な顔をする。
素奈多は、あわててとりつくろった。
「あれ? あたし、変なこと言った? いや、先輩、かっこいいから、なんでも似合っちゃうんだろうなぁ~……なんて……ははは……」
花南は、プッと吹き出した。
「今日は、なんだかおかしいわよ?」
「そ、そんなことないよ」
素奈多は、ブンブンと首を横に振る。
「ふうん」
花南は、素奈多の顔をじっとのぞき込んだ。
「なにかいいことでもあった?」
素奈多は、再び、ブンブンと力いっぱい首を横に振る。
「ないないないない。どっちかってゆーと、最悪って感じ?」
ショウウインドウの前からスタスタと歩き出して、素奈多は「最悪」のところに力を入れた。
「そうかなぁ?」
花南は、先を行く素奈多の後を追いかける。
ぴたりと足を止めて、素奈多は海より深いため息をついた。
「はぁ~。本物の先輩に会いたいなぁ~」
「本物ってなによ?」
合点がいかない花南に向き直って、素奈多は言葉を濁した。
「う~ん。ちょっとねぇ~……」
素奈多は迷いながらも、覚悟を決めると、順を追ってことの次第を説明し始めた。
こんなこと、一人で抱えられそうもなかった。




