第9話 放牧
「2400Mであの荒れに荒れた府中のコースで最後足を使えた.....だったら秋は天皇賞やJCらへんを目標に行きたいところだな、有馬は...距離的に無理かもな。とりあえず夏は全休させて9月らへんに再始動するか。」
有力馬は大抵の場合夏を休み菊花賞、もしくは天皇賞やマイル路線へと向かう、それはグロリアも同様でダービーでフロッグだとしても2着の実力はあり、賞金も1億と3800万円はあるので少なくとも秋の天皇賞には出走できるだろう。
「さて、グロリアを放牧に出したし秋の天皇賞に出走しそうなメンツを考えてみるか」
やはりやってきそうな馬といえばこいつ「ヴァヴェガ」だろう。去年の皐月賞とダービーを勝利した後骨折で秋を全休し復帰戦のGⅠ大阪杯と宝塚記念を連勝中の馬だ。
「やっぱヴァヴェガの一番の持ち味は変幻自在の脚質だな、しかも逃げの時が一番厄介だもんな。」
ヴァヴェガは逃げ先行差し追い込み何でもできるとも言っても過言ではない、実際皐月と宝塚は逃げてダービーは差して大阪杯は追い込んで勝利している、しかも必ずと行ってもいいほど奇策をうってくる。
「こんどは逃げるのかなぁやっぱ、だとしたら勝てるかどうか。」
次が「バックドラフト」だ、こいつは去年は未勝利戦でくすぶっていたが四分の一の抽選で出走を果たした有馬記念で見事粘って3着を確保した後から日経新春杯と日経賞を勝利して宝塚記念もヴァヴェガの2着に入っている。
「やはり怖いのはこの2頭か、それ以外は来るかわわからないがイギリスのドゥードゥードゥナもいたな、あいつはJCの方に出走を表明していてその前に日本で前哨戦を使うとも明言していたからな、可能性は十分にある。」
そんなことをもんもんと考え、時も過ぎてすでに9月の後半に入った頃グロリアは帰厩した。
「馬体重478kgからあ498kgか...まあしぼればなんとかなるな」
今日からグロリアの地獄のダイエットが始まる
ヴァヴェガはサモア語で奇跡が由来
バックドラフトは火災時に扉などを解放し急激に酸素が増えることにより爆発や火災が強くなる現象が由来