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名探探偵との出会い?

「ふう、ようやく着きました」

 

私は目的地へ着いた喜び……というか安堵感で思わずそう口走ってしまった。

 

そこは東京都千代田区にある雑居ビル。やや古ぼけたたたずまい


両サイドに立派で大きなビルの間に挟まれるようにひっそりと建っている為に余計に小汚さといいますか見素晴らしさを感じずにはいられません。


その五階建ての細長い建物はまるで満員電車で両サイドにガタイのいい学生に挟まれているやせ細った中年サラリーマンにも見えた程です。

 

おや、ご紹介が遅れましたが私は前島樹里と申します。大学を卒業したばかりのピチピチの二十二歳


今時の日本ではピチピチなどとは言わないのでしょうか?


なにせ久しぶりの帰国で少し日本語がおかしいかもしれませんが、そこはご容赦ください。


約二年ぶりの日本、愛国主義者とは程遠いと思っていた私ですら感慨深いものがあるのは事実です。


東京という場所は中々ノスタルジックな気分にはさせてくれない土地柄ですが、やはり生まれ故郷はいいモノです、何といっても食べ物がおいしい‼


私の四年間居たイギリスではそりゃあご飯がおいしくなかったのです。


産業革命に始まり、文化、スポーツ、政治、様々なモノをリードしてきた大英帝国がなぜご飯だけはおいしくないのか?甚だ不思議でなりません……


ここで誤解の無いように言っておきますが、ご飯がおいしくないのはイギリスだけではなくヨーロッパ全体的の話であり


単に私の口に合わなかっただけの可能性もありますから、そこは深く追求しないでくれるとありがたいです。


登場早々に不用意な問題発言で謝罪とか、本作ヒロインとしてあるまじきことですからどうか長い目で生暖かく見守ってください……


随分と話が逸れましたが本題に戻りましょう。


私は四年間、イギリスのオックスフォード大学の法学部に通っていた二十二歳。


大学を卒業後イギリスで就職することなく生まれ故郷の日本へと帰ってきました、もちろん目的があっての事です。


私の子供の頃からの夢、それは【探偵になる事】なのです……


あっ、今、私の事を馬鹿な痛い女だと思ったでしょう?まあ無理もありません。


推理小説に出て来るような名探偵というのは実際には存在しません。


今の警察は優秀ですし事件解決に必要なのは知恵と推理力より科学的な根拠に基づく捜査が基本であり


特にこの日本の警察は優秀だといわれています。  


ですから日本で探偵といえば〈浮気調査〉や〈人探し〉などの仕事がほとんどであり


小説や漫画に出て来る様な【名探偵】などいるはずがない……そう思っていた時期が私にもありました。


子供の頃から探偵モノが大好きで、誕生日に買ってもらった虫眼鏡と探偵帽子(正確には鹿撃ち帽というらしいですが)を被り


独自の捜査をして遊んでいたモノです。度々お父さんの隠していたエッチな本を見つけ出し、お父さんに怒られたりしましたが


その後お父さんはお母さんにおしっこちびるくらい怒られていましたから事件は無事解決したという事でしょう。


〈オックスフォードまで出て探偵とか馬鹿じゃね?〉というご指摘はごもっともですが仕方がないのです、子供の頃からの夢なのですから……


それに私が探偵になりたいという一見現実味の無い夢を追って日本に帰って来たのはある理由があるのです。


ネットで見つけたとある噂話、それは……


〈日本には警察に協力して難事件を解決している名探偵がいるらしい〉という噂でした。


この話を聞いた時、私の胸は高鳴り、あまりの興奮で夜も眠れなかったほどです。


それから私はその事を徹底的に調べどうやらそれが事実らしいと知りました。


それからはもうその事で頭が一杯です。将来は何となく裁判官や検事にでもなろうかな……


と思っていた私は急に人生の舵を切り、航路変更しました。


〈面舵一杯、全速前進、ヨウソロ‼〉の気分です、ぶっちゃけ裁判官や検事にはいつでもなれるから……


と思っているからです、私、優秀なので……


ここで改めて自己紹介といきましょう、前島樹里、二十二歳、オックスフォード大学法学部卒業。


子供の頃から〈神童〉と呼ばれ、成績は常に一番、運動神経は……マズマズといったところでしょうか?


でもいいのです、探偵は〈頭で勝負〉するものですから。


ちなみに泳げません。縄跳び、跳び箱、鉄棒、徒競走、ダンス、マラソン、マット運動、球技……だけ苦手です。


客観的に見ても容姿は悪くないと思います、身長151cm、体重48kgという小柄でキュートな女の子


スリーサイズは……言う訳無いでしょ、あまり調子に乗らないでください、開示できる情報はここまでです。


ちなみに〈スレンダー美少女〉というフレーズが似合うスタイルと思ってくれればいいです。


スレンダーです、貧乳とかいう日本語は大嫌いです、NGワードです


大体このジェンダーが叫ばれている世の中で〈貧しい乳〉とは何事ですか⁉


乳権侵害も甚だしいです、せめて〈控え目な乳【控乳】〉とか〈慎ましい乳【慎乳】〉という言葉に訂正して欲しいモノです


日本ではまだジェンダー問題が深刻だと聞いていましたが闇は深そうですね…… 


イギリス留学時代、私に論破された馬鹿男子がこんな侮蔑用語使用しSNSで送って来たことがありました。


ブロックは勿論の事名誉棄損で訴えてやりました


例え匿名だろうと管理しているプロバイダーに発信者情報開示請求をしてトコトン追い詰めました、正義の鉄槌です‼


いつか法改正をしてこの言葉を使った人間は【三年以下の懲役、又は百万円以下の罰金】という法案を通して見せます


子供の頃に見たお父さんと同じ目に合わせてやりますよ、正義は必ず勝つのです‼

 

またもや少し話が逸れましたが私がイギリスのオックスフォード大学に留学していたのは


〈イギリスがシャーロック・ホームズの故郷〉だからという訳ではありません


ハーバードかオックスフォードかどちらにしようと迷ったのですがこちらを選んだ理由は〈何となく〉という非常に曖昧なモノで特にこだわりはありませんでした。


シャーロキアンの方々には悪いですが私の中のヒーローはホームズではありません。


子供の頃から憧れていた名探偵、それは……著作権の問題があるのでここでの具体名は避けましょう


しかしそれでは納得できない人の為にヒントを一つだけ教えましょう。


その名探偵の決め台詞は

〈見た目は子供、頭脳は大人、迷宮無しの名探偵〉です。


ヒントはここまで、誰なのかは自分達で推理してみてください。


さて、随分と回り道をしましたが冒頭に戻りましょう


私はそういう思いを胸にここへと辿り着いたのです。今、目の前に見上げる雑居ビルの五階にその探偵事務所があるとの事


いよいよという思いでゴクリと息を飲み最上階である五階を見上げているところです。 


そのビルの一階と四階は空きオフィスとなっているようで〈テナント募集〉の張り紙が貼ってあります。


二階にはダンス教室、三階は少し怪しげなマッサージ店が入っていて、どちらも私がお世話になることはないでしょう


ダンスに興味はないですし、まだ若い私にはマッサージは必要ないですから……


今、あなた〈そりゃあ胸の小さい奴は肩がこらないだろうだろう〉とか思ったでしょう?


胸の大きさと肩がこるのは医学的に因果関係はないのです、巨乳=肩がこるというのは真っ赤な嘘ですから、デタラメですから‼︎


こういった非科学的な論法を元に〈自分は巨乳のせいで苦労をしている〉という謎のマウントを取ってくる痛い女と


そんな迷信じみた俗説を信じるDQN男性が増えたせいで色々な風評被害が起こるのです、被害者が後をたたないのです。


そのような全くもって事実無根、科学的根拠のない俗説を狂信者共がもてはやし


そのプロパガンダによって踊らされる愚かな民衆達、嘆かわしいものです、猛省して欲しいものです。


そもそも昔から〈胸の大きい女は馬鹿が多い〉といわれるように、馬鹿が作った馬鹿な俗説のせいで私はどれだけ……

 

失礼いたしました、この辺で止めておきましょう。一部不適切な表現があった事を訂正しここに謝罪します。

 

さていよいよ乗り込むことにしましょう


〈目的地にたどり着くだけでどれだけ引っ張るねん‼︎〉というツッコミはあえてスルーします。


ビルを見上げながらアレコレと想像するのは無意味で不毛だと知りました


それに見上げてばかりで少々首が痛くなってきました、家に戻ったら低周波治療器で首のマッサージでもしましょうか。

 

ビルにはエレベーターはなく階段のみの移動手段のようです。


掃除もロクにしていないのか少し埃っぽい、仕方がないので私は狭くて薄暗い階段をゆっくりと一段ずつ登っていきます。


夜に一人で上り降りするにはやや抵抗を覚える不気味さと圧迫感、心なしか急勾配にも思えます


六階以上と言わず三階以上のすべての建物はエレベーターの設置を義務付けるべきだと私は思いますがどうでしょう?


何しろ疲れます。この令和の時代にビル内を移動するだけで無意味な体力消耗と疲労蓄積、何の修行ですかコレは?


「ハアハア、やっと……着き……ました」

 

ようやくたどり着いた目的地。息は切れ、服は汗で湿ってしまいましたが、着いてしまえばすべて些細な問題に感じるのが不思議です


天竺にたどり着いた三蔵法師の気持ちが少しわかる気がしました。

 

【天塔探偵事務所】事務所の看板にはそう書かれていました


〈呼び鈴を押してからご自由にお入りください〉という張り紙を見て


私は逸る気持ちを押さえつつ一度深呼吸して心を落ち着かせ、ドキドキしながら扉を開けます。


「ごめんください……」

 

中に入るとパーテーションで中は見えないようになっていて


〈不在の際はこちらにお電話を〉という張り紙が目に飛び込んでくる


ここまで来て不在とか勘弁してほしい。そんな思いが通じたのかしばらくして中から声が聞こえてきた。


「はい、はい、少々お待ちくださ〜い」

 

奥から男性の声で返事が返ってきた。思ったよりも若い声だ


憧れのスターにでも合うような気分で待つ私、鼓動が激しく高鳴り、喉が渇く


それが感情的なものなのか、急勾配の階段を上がってきたことによる身体的な現象なのかはわからないが


今はそんなことはどうでもいい、どんな人なのだろう?私の意識はそれだけであった。


「お待たせしました……おや?随分と若いお客様で」

 

出てきた男性は思ったよりもずっと若かった。


流石に私よりは年上そうだが、見たところ二十代後半、二十七、八歳ほどだろうか?


正直四十代、いや五十代くらいの人だろうと勝手に想像していただけに私は驚きを隠せなかった


身長は175cmほど、中肉中背といった標準的な体型、やや垂れ目がちな目元が温和な雰囲気を醸し出し、優しくこちらを見つめる眼差しは知性を感じさせた


超イケメンとまではいかないまでも、十分整った顔立ちといえるだろう


元々年齢や見た目など私にとってはどうでも良かったのだがコミュニケーション的には年齢が近い方が良いだろうし


当然ですがイケメンに越したことは無いでしょう、女性ならば誰でもそう思うでしょう?見た目は非常に大事なのです。


「あ、あの……私、私は……」


緊張で言葉が出てこない。何やっているの、ここで頑張らなくて、どこで頑張るの⁉︎

 

しかし焦れば焦るほど言葉が出てこない、もどかしさと情けなさで涙が出そうだ、そんな時である。


「ちょっと待って。君の事と、君がここにきた理由を僕が当てて見せよう」

 

キターーーーー‼︎何というセリフ、それを口にしていいのはこの世に選ばれし者、そう【名探偵】である


そしてその証ともいえる名探偵の推理ショーが今この場で始まるのだ


間違いない、この人は私の追い求めていたヒーロー、初めて見た時からわかっていました、この人は夢にまで見た名探偵だと


さあ見せてください、初対面の私を見てどんな世界を見せてくれるのか、その観察眼と溢れんばかりの洞察力でホームズばりの推理を、さあ‼︎


「う〜ん、君は都内の高校に通う学生でお金持ちのお嬢さん、今日は人探しというか可愛がっているペットの捜索でもご依頼かな?」


「へっ?」

 

思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。無理もないです、まるでカスリもしない、まさかの大外れ


これほどまでにボールとバットが離れていると逆に清々しいとさえ思えた。


「どうだい、正解かい?」

 

ニヤリと微笑みながら問いかけて来たがこちらにしてみれば落胆と失望で呆気に取られてしまっている


しかもその得意気な表情にだんだん腹が立ってきた、何故にドヤ顔?


「いえ。全然違いますけど……」


「あれ?おっかしいな〜そうだと思ったのだけどな……そうか、わかったぞ


君は僕に憧れて告白しに来た、恋する女子高生だ‼︎そうだろう?」

 

正解からさらに離れた。何だ、コレ?もうナビゲーションシステムがないと目的地へと辿り着けない程の迷走ぶり


しかも〈自分に憧れて告白しに来た〉とか、どうやらナルシストっぽい、百年の恋が一気に冷めた瞬間であった。


「今度もハズレです、そもそも私は女子高生ではありません、この春に大学を卒業した二十二歳ですが……」


「えっ⁉︎」

 

今度は向こうが驚いていた、まあ私は実年齢より若く見られる事は、よくある事ですから別に……ん⁉︎


「今、私の胸部をチラッと見ましたよね?」


「いや、見ていないよ」


かの謎探偵はしらばくれる様に言い放った。


「いえ、見ました。その胸で二十二歳?と思ったのでしょう?」


「いや、思ってないよ、君、中々に疑り深いね」

 

少しも動揺する事なくあっけらかんとシラを切り通す目の前の容疑者


私の自意識が過剰だとでも言いたいのでしょうか?盗人猛々しいとはこの事でしょう。


全く、コレだから男という生き物は……大体、最初見た時からこの男は胡散臭いと思っていたのですよ


ヘラヘラと薄ら笑いを浮かべ、だらしなく締まらない顔といやらしい妄想を繰り返していそうな変質者的な目


せっかくここまできたというのに、とんだ期待外れでした……

 

落胆している私の姿を見て、なぜか嬉しそうな彼はニヤニヤといやらしい笑みを浮かべながら再び口を開いた。


「まあこんな所で立ち話も何だから、入ってよ」

 

困惑し、言われるままに応接室へと案内され何となく着いて行った


だがその応接室を見た瞬間、私は思わず声をあげた。


頑張って毎日投稿する予定です。少しでも〈面白い〉〈続きが読みたい〉と思ってくれたならブックマーク登録と本編の下の方にある☆☆☆☆☆から評価を入れていただけると嬉しいです、ものすごく励みになります、よろしくお願いします。

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