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勇者の凱旋  作者: おいしいおにく
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レオンは立つこともままならず、神官達によって抱えられるがままにその場を去った。

メイド達もその後を追い、後に残されたのは王と宰相、そして神官長の3人...いや、肉片を人数に入れるのならば7人であった。


「あの者達に、一体何が...」


王は頭を抱えて呟いたが、応える声はついぞどこからも返ってこなかった。


果たして、このように骨までミンチのようになり混ざりあった腐肉が蘇生できるのか...。

神官長は頭の痛くなる思いだったが、できるかどうかでは無い。やらねばならぬのだ。


王国の、ひいては神殿の威信にかけてでも復活させなければ、民が黙ってはいないであろう。

救国の英雄達を復活させることが出来なかったとなれば、神殿の地位が脅かされるであろうことは容易に想像が着く。


「アレは...元に戻るのか?あの状態で、 蘇生したものを、私は知らぬ。」


王が神官長に問いかけるが、神殿にとっても初めての事態であるため答えようがなく、困ったようにさ迷う視線が唯一の答えのように感じられて、王はまた頭を抱えた。


「女神様の加護を信じましょう」


神官長はそう言うと、神殿の中でもトップに入る者たちを10人ほど呼び集め、腐肉を神殿へ持ち帰るために棺桶に詰めさせた。


形ばかりは4つの棺桶に入ってはいるが、不自然な程に腐肉の体積は少なく、欠損が激しいことは容易に想像が出来た。


そして、城の地下からひっそりと大神殿まで腐肉を運ぶと、そこから待っていた作業は正に地獄のようなものであった。


混ざり合った腐肉を元の4人に分けるのだ。

このような腐肉...しかも複数人が混ざった死体を復活させることは滅多にあることでは無いため、慎重に慎重を期してこれらの行為は内密に、神殿でも幹部の者のみによって行われることとなった。


通常であれば下っ端の神官が当たるような作業であるが、欠損の激しい腐肉の仕分けはとても難しいものであり、女神の強い加護を持った神官たちにしか出来ないものだったのだ。


神官達は、腐肉の1片いっぺんに含まれた女神の加護の種類を見極め、それぞれの棺桶へと仕分けていく。気の遠くなるような、おぞましい作業であった。

通常であれば出来ないと断る作業である。勿論このような作業をしたことがあるものはおらず、神殿の地下室は吐瀉物と腐肉の臭いで溢れ返り、地獄の形相を見せていた。


それでもこの作業を辞めることは赦されず、仕分けが完了する頃には3ヶ月の月日と、作業の過酷さに耐えられず自殺するものまで出る大掛かりなものとなっていた。


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