第一話
改めて振り返ると俺の人生は順調だった。生まれてから不自由なことなど一回もない。生まれも育ちも良いし、美人で評判のいい妻が二人もいる。家族や友人にも恵まれてる。住んでる国も平和だしね。でも、そんな俺に隠し通さなければいけない秘密が出来たんだ。
数日前、友人の結婚パーティーに呼ばれた。やっと第二夫人を娶ったそうだ。挙式も終わり久しぶりの友人との会話に花を咲かせていた。
「ルイスのとこの奥さん二人は仲良いか?」
唐突に聞いてきた。
「もちろん仲良いよ。仲良すぎるくらいだよ、でもいきなりどうしたんだ?」
「俺の第一夫人と第二夫人の折り合いが悪くてね、ルイスのところは仲がいいと評判だからコツを聞きたくて」
「コツなんてないよ、俺はなにもしてないさ、二人の相性が良かったんだろうね」
そう。俺の第一夫人と第二夫人はすごく仲が良いのだ。
この友人のように第一夫人と第二夫人の仲があまりよろしくないことはよくある。別の友人の第二夫人は、第一夫人に嫉妬して毒を盛ったと聞いた。なんて恐ろしい、考えただけでも身震いするよ、、
結婚パーティも終わり、疲れ果てた俺は足早に家に帰る。
早くお風呂に入りたいなぁ、なんてぼんやり考えながらドアを開けた。
「ルイス!お帰りなさい。疲れたでしょう?」
「ただいま、ローズ」
第二夫人のローズは人懐っこくて可愛らしい。わざわざ毎回玄関まで出迎えに来てくれるんだ。これは少し、いや大分嬉しい。
「お風呂にはもう入れる?」
「入れるわよ、アンがさっき用意してたから」
すぐさま答えたのは、第一夫人のルイーズだ。ルイーズはしっかりものでクール。内気でノロマな俺には必要不可欠だ。
「アンは流石だな、仕事が早い。ありがとうと伝えといてくれ」
でも、アンはメイド1のイタズラ好き。まぁ、おかげで賑やかだけどね、
お風呂を素早く済ませ、先に寝ると言ってベットに入る。
妻達二人の声が聞こえる。
「ねぇ、ルイーズ、、お風呂一緒に入らない?」
「何か怖い話でも聞いたのでしょう?いいわよ、特別よ」
「やったー!そうなの、アンがね、怖い話をするの!」
ふふ、やっぱり仲がいいな、今日も平和だなぁ、、、
そんなことを思いながら眠りにつく。
「ロージー?今日はこっちに来るわよね?」
「もちろんよ!だってルイスは先に寝たもの笑」
「大好きよロージー」
「ルゥ、私も」
こんな不穏な会話を耳にすることもなく、呑気な顔をしてルイスは眠る。