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シン屋根裏の散歩者  作者: 石田ヨネ
第二章 調査、刺青のローションの恐怖
9/31

9 銀髪のカズヤ

 それはさておき、

「しかし、こいつらが犯人でないすると……、今回の調査は無駄骨じゃないか」

「無駄に、3組のカップルの夜を台無しにしちゃったねー」

 やれやれと、綾羅木定祐と上市理可が罪悪感なしに話す。

 その傍では、

「……」

「……」

 と、カップルの二人が無言ながらも、「はい。私たちが、その犠牲者です」と言わんばかりの顔をしていたが。

「それは、仕方がないことだよ、理可君」

「なぜに、君呼び? そして、ナニカ博士風の話し方」

「物事を為すためにはね、何か、一定の犠牲は仕方がない。そうして、我々人類は、多くの進歩を遂げてきたのだ……。時には、血も涙もない、鬼と言われようが……、犠牲をグッと堪え、やらねばならないこともあるのだ」

「そのようにして、れ、歴史と! 今がある!」

「うん! これは、ゆえに意義のある犠牲だ!」

 と、ナニカ謎のテンションで話す二人に、怪人が、

「ど、どっちかというと……、無駄よりの、無駄なほうの犠牲のように見えますけど」

「ああ”ッ?! 何か言ったか!! ゴラァッ!!」

「いッ、いえッ! な、何も……!」

 と、口をはさんだところ、綾羅木定祐がキレて凄む。

「元はと言えば、だッ!! お前たちが逃げるから、こんなとこで盗撮なんかしようとするからだろが!! 分かってんのか!!」 

「ひ、ひぃっ!!」 

「す、すんません!!」

「すんませんで済んだら警察いるかってんだよ!! 考えろって!! お前たちも、男のいなりにつっこんでみるか? ああ、コラッ!! こちとら、カップルどもが暖かい風呂でエッチするって時によ、二回も男の金〇に頭をつっこんだんだぞ!!」

「き、キンタマーニ高原!」

「おだ、まり!!」

 ボケる上市理可に、綾羅木定祐がつっこむ。

 そうしながらも、

「しかしのしかし……、そうすると、怪人とは別の可能性を考えないといけないのか?」 

「そうね……」

 と、綾羅木定祐と上市理可のふたりは、ソファに腰を掛けつつ、

「おっ? この韓国のり味、美味しいじゃない!!」

「うむ……? うん!! おいしい!!」

 と、ふたりは当たり前のように、人のポテチを食いだす。

 お前、人のものをーー!! と怒りたくもなる話だが……

「――で? お前たちに逆に聞くが、何か、怪人の間で噂になっていることはないのか? 今回の連続爆殺事件に関して」

「ば、爆殺事件に関して、ですかい?」

「い、いや、俺たちの知ってる限りでは、 そんな情報は、ちょっと聞いたことないです」

「ああッ?! 何で聞いてないんだ!! コラ!!」

「そ、そこ、キレるとこ!?」

 理不尽な綾羅木定祐に、怪人が驚愕しながらも、上市理可が、

「じゃあ、さ? 他に、今回の事件の犯行を行えそうな犯人について、ナニカ、思いつくことある?」

「こ、今回の、ナニカ……?」

 と、キョトンとする怪人たちの横、綾羅木定祐が、

「ああ……、せっかくだから、君たちも!! いっしょに考えよう!!」

「え? ぼ、僕たちも?」 

「ええ”~? ナニそれ!! ナニそれ”~!! 逆の逆に面白そうなんですけどぉ”~!!」

 と、カップルたちを巻き込む。

 そして、なぜか相方の女のほうが乗り気という。

 おそらく、テンションがあがると、女装オネェ系の喋り方になるのだろう、彼女は。

 なお、銀髪の男のほうは、「……」と、目が点になっていたが――

 そのようにしながらも、話を進めるに、

「それでぇ”? まず、屋根裏の、穴から爆殺って、どういうことなんですかぁ”? 何かぁ”、江戸川乱歩の、屋根裏の散歩者みたぁ~い」

「……」

 と、綾羅木定祐も、何か微妙にテンションを狂わされつつ、

「う、うむ……。まあ、屋根裏の散歩者のイメージが浮かぶのも無理はない。シン屋根裏の散歩者説も、あるくらいだからな」

「シン屋根裏の散歩者だってぇ”~!! ねぇ”ねぇ”!! カズヤ君!! 面白そう!!」

「……お、おぅ」

 銀髪のカズヤも、若干困惑しながら相槌する。

「でもぉ~、昔の屋根裏と違って、今の、この天井裏ってぇ”~、狭いですよね~」

「まあ、な。こいつらみたいな怪人や、私らみたいに異能力を使えるなら話は別だが……、それでも、屋根裏の散歩者がやったみたいには、簡単にはいかないだろな」

 綾羅木定祐が、そう答える。



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