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【シン屋根裏の散歩者】  作者: 石田ヨネ
第二章 調査、刺青のローションの恐怖

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6 【刺青のローション】



          ******



 すこし、時間は前後して。

 同じラブホでは、浴室にて楽しむ男女の姿があった。

「デュ、フフフ……♡」

 男が思わず、胸の高鳴りに声を漏らす。

 これから、興じるのは潜水艦プレイ――

「さあ、僕の潜水艦が浮上するよ……♪ アメリカ海軍の、オハイオ級潜水艦がね♪ 浮上許可を願う♡」

「いいよ、浮上して、どうぞ♡」

 などと、気色の悪いやりとりをしつつ、これから、まさに盛り上がろうとしていた――!!

 その時、



「む、わぁーりぉぉッ――!!」



 と、浴槽の底からマリオの土管のごとくッ――!! 綾羅木定祐が、

 ――ザッ、バァーンッ――!! 

 と、勢いよく水を滴らせて現れたのだ!!

 すぐ同時に、

「「うっ!? うわぁぁ~ん!!」」

 と、男どうしの悲鳴が重なった――!!

 あろうことか――!?

 綾羅木定祐の出現した場所というのが、悪いことに!! ちょうど男のキンタm――、すなわち、“おいなりさん”の位置だったのだ!!

 そして、よりにもよって、男の【いなり】と自分の顔とが、ドッキングする形になってしまったわけである!!

「ひっ、ひゃぁぁぁッ――!! 何!? 何!?」

 相方の女も、のけぞって叫ぶ。

 目の前で――、それも、浴槽の床から人間が出現するという、目を疑うようなことが起きたのだから仕方がない。

 なお、どうしてこうなったか――? を、説明する。

 妖術【マリオの床】によって、綾羅木定祐は天井板をすり抜けたわけだが、天井板からコンクリートスラブまでの高さであるが、これが低かったのだ。

 ゆえに、当然、そのままの姿勢では、余った身長分がはみ出てしまうわけであり、綾羅木定祐の上半身がフロアに、風呂場に出てしまったのだ。

 よりにもよって、カップルが、これから潜水艦プレイをしようとしている浴槽に――


「ぐッ!? ぐわぁぁぁ――!! き、汚いッ!! 汚い!! かっ、顔が腐るぅぅ――!! 顔が、溶けるッ!!」

 綾羅木定祐が顔をおさえながら、悶絶して大絶叫する!!

 その横で、

「これ、はっ……!? 【いなりが入ってないやん】……!!』じゃなくて、【いなりに入ってるんやん】ですねぇ~」

 と、相方の上市理可だが、こちらは安全な場所に降り立ち、高みの見物をしていた。

 また、悶絶するのは、綾羅木定祐だけではなかった。

「うわぁぁ!! ぼ、僕の股間に、オッサンが!? 僕の股間にオッサンがぁぁ!!」

 と、むしろ男のほうも、見知らぬ中年が転生してくるがごとく――、自分の股間に現れたわけであり、取り乱して叫んでいた。

「と、トラウマになるぅッ!! トラウマになるぞぉぉー――!! 理可ァ氏ィッ!!」

「まあ、相手も、そこそこトラウマでしょうね。とりあえず、綾羅木氏? ここから、移動するし」

「ぐぅぅ……!! か、顔がッ、顔が溶ける……」

「いや、もう、いいから!!」

 と、上市理可が他人事ひとごとのように言いつつ、錯乱気味の綾羅木定祐に移動を促す。

 そうしつつ、


「あっ? すんませんした」


 と、上市理可はカップルたちに平謝りし、そのままシレッ――と、綾羅木定祐を連れ、


 ――ビ、ィィン……


 と、床をすり抜け、消えて行ってしまった。

 そんな、嵐のような出来事ののち、

「……」

「……」

 と、カップルたちは、唖然としていた。

「なっ……、何だったの? い、今の……?」

「い、いやいや!! こ、こっちが聞きたいよ!! ――てか、うげぇぇ……!! ま、まさかの、オッサンの顔がッ、股間にッ――!!」

 と、男は、先の光景と触感がフラッシュバックし、ふたたび気持ち悪くなる。

 とりあえず、起きたことの、すさまじさゆえ……、ふたりはこのあと、情事を行う気力が、一切消え失せてしまっていたという。




          (2)




 綾羅木定祐と上市理可のふたりは、一組のカップルの一夜を台無しにしながらも、そのまま、ラブホテルで調査を続けていた。

 そうしてついに、ふたりは、怪しい怪人たちを見つけることになる。

 ドブネズミの怪人と、ハクビシンの怪人とでも言うべき、輩のふたりが、このラブホテルの天井裏の片隅で、何かを企んでいたのだ。

 そこへ、


「――おい、お前たち」


「「うぉ、っん――!?」」

 と、綾羅木定祐が突然かけた声に、怪人たちは驚く。

 しかも、怪人たちは、振り返ってみると、

「「なっ――!? なんじゃこりゃああー!?」」

 と、思わず、驚愕の声をあげた。

 怪人たちが見た先――

 すなわち、綾羅木定祐と上市理可のふたりの上半身はコンクリート天井に貫通したままで、見えるのは下半身だけという【変態的な絵面】で――!! こちらに迫ってきていたのだ!!

 そうしてまた、

「「うっ、うわぁぁぁ!!!」」

 と、人間たちでなく、怪人たちのほうが叫び声を上げる!!

「な、何だぁ!? に、人間の下半身が追ってくるぞォッ――!!」

「くッ、来るなぁッー!! 来るなぁッ――!!」

 怪人たちは、腰が抜けた状態で後ずさりする。

 そこへ、

「おい!! 大人しくしろってんだよ!! お前ら!!」

 と、追撃をかけるように、中腰に屈んだ綾羅木定祐の顔が現れる!!

「ひっ!? ひぃぃっ――!!!」

「に、逃げるぞッ!!!」

 怪人たちは何とか立ち上がり、逃げ出すも、

「まっ、待てい!!」

「はいはい、そこの二人、待ちなさーい。暖かい、お風呂で、えっち、するん、だ・ろ・な!」

「いや!? どんなテンションよ!?」

 と、綾羅木定祐と上市理可のふたりが追う!!

 なお、その追走劇中も当然、縦横無尽に天井裏を移動しながら追うわけであり、またしても、



 ――ザッバァァーッ!!!



 と、これで二度目の、綾羅木定祐が風呂場から現れることになる。

 そうして、案の定――

 円形の、ローマを思わせる浴槽の先――、洗体マットととも、カップルの姿があった。

「なっ!? 何じゃぁぁ!?」

 厳つい刺青にスキンヘッドで、かつローションまみれの大男と、

「は? 何よ、アンタたち……!!」

 と、その恋人か愛人なのか、はたまたデリヘル嬢かは定かでないが、妖艶な、花魁風の女が立ちはだかる!!

 続けざま、

「ちっ!! こんなとこっからカチコミかけやがって!! こんガキャぁぁッ!!」

「おいおい、こんな異次元のカチコミするヤツがおるんかーい!?」  

 と、刺青の大男が怒って、綾羅木定祐に襲いかからんとする!!

「うぉぉッ!! 行っくでぇぇッ――!!」

 刺青のローションが!! 覆いかぶさるように綾羅木定祐に突進してくる!!

 だが、その動きを、見切った綾羅木定祐が踏み込むなり、

「フン!! 『こう見えて私結構強いんですよ』パァーンチッ!!」

 と、技の名前を出しつつ、【刺青のローション】にボディをかます!!

 その威力は、ヘビー級の格闘家を破壊するに十分な威力であり!! まさに、

 ――ブォン!!

 と、炸裂しようとした――!!

 その刹那、


 ――ヌッ、ルン……!!


「な、何ぃッ――!?」

 と、綾羅木定祐が驚愕した。

 スローモーションのように、まったく、無い手ごたえ――

 同時に、若干の、ヌルっとしてスベッとした感触と――

 男は、超人的な体術で、パンチをいなしたのか? 

 はたまた、某海賊漫画のスベスベの実のような能力なのか?

 いやっ――、


「こ、これはッ!? 【ローション】だッ――!!」

 

 と、綾羅木定祐が、思わず声をあげた。




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