30 常人であれば、心の折れる重症クラスの耐え難いダメージ
(2)
「遅いし! 綾羅木氏! こっちは大変だったからね! ほんとコロす! ほんとコロす! 教育×死刑!」
「ま、まあまあっ! そう、怒るなって、理可氏」
開幕一番、綾羅木定祐は上市理可に恨み言のように文句を言われる。
そのようにしながらも、ふたりは根占三四子のほうを指して、
「さ、て――? これで、こんどは、貴女のほうが二対一なんだけど? 三四子たんっ!」
「そうだぞぉん、三四子たんっ!! 観念して、お尻をペロペロさせるのだぁッ!! ウィヒヒヒィィッ!!」
「は? それが何? ていうか、私の相方を解放してよね!! 変態コンビ!!」
根占三四子が、不快な表情をして声を荒げるも、
「はぁ、そしたら? もう観念してタイーホされなさいよ? 三四子たん?」
「そうだぞぉんっ!! だから、観念して、お尻の〇をペロペロさせるんだって!! ウェヒヒ!! ウェヒヒ!!」
「うっげぇッ!! それは流石にピー・ワードだって、綾羅木氏!! それはほんとにキモすぎ!!」
「ああ、もうッ!! うッるさいわね!! アンタたち!!」
とここで、ついに根占三四子がブチキレる!!
その勢いのまま、
――ゴゴゴ!!
と、綾羅木定祐へと向かって突進し!!
――ブォンッ――!!
と、凶刃のように!! アイスピックを振るいにかかる!!
「うッ――!? うおぉぉんッ!!」
綾羅木定祐も、その攻撃の速さと勢いに思わず驚きの声をあげる!!
「ほらほらほらァァッー!! 貴方も穴だらけにしてあげるわ!!」
根占三四子が狂人の笑みで叫びつつ、
――ザシュザシュザシュッ――!!!
と、目にも止まらぬ連撃を見舞う!!
その攻撃力――!!
たとえ異能力者であっても回避・防御は容易ではない!!
しかし、
「うっ!? うわぁぁん!! 激しいんッ!! 激しいよォォン三四子ォッ!! もっと突いてもっと突いて!! もっと激しいのちょうだい!!」
「だあ”ぁぁ”ッ!! ほんッと!! キモすぎッ!!」
と、綾羅木定祐は全力でキモく振舞いながらも!! 何とかかわし、根占三四子をドン引きさせつつ苛つかせる!!
なお、その綾羅木定祐の回避力であるが、達人の居合を避けることも余裕であり、すこし頑張れば散弾さえも避けて見せるほどの実力を持つという!!
ただ、そんな綾羅木定祐の回避力を以ってしても、根占三四子は激しい連撃で圧す!!
そうして一突き、
「ほらッ――!! これはどう!?」
と、より高速の!! 電光石火の攻撃を根占三四子は繰り出す!!
しかし、それを綾羅木定祐は見切った――
「お”っしゃぁぁ!! 三四子たんのお尻の〇ペロペロォォッ!!」
と、身を屈めたバックステップとともにかわした、その刹那――
――ガッ、ツン――!!
「うぐぉっ!?」
と、綾羅木定祐は、恐らく小指と思しき箇所を、ナニカ角にぶつけてしまう。
「ぐッ――!? ぐ、わぁぁぁ!!!」
綾羅木定祐が、思わず叫び声を上げる!!
常人であれば、心の折れる重症クラスの耐え難いダメージ――!!
だが、次の瞬間、
「がぁぁーッ!! 死ィィにさらせぇぇッ!!」
「ちぃッ――!?」
と、どこから出したのか――!?
警棒を、
――グ、ワンッ!!
と振り上げて反撃にかかり!! 根占三四子を驚かせて一歩引かせた!!
「えっ――!? 何その豹変!? さっきまでア〇ルペロペロとか言ってたじゃん!?」
「おいッ!! 完全にピー・ワード振り切ってるぞ!! 理可氏!!」
驚きつつも完全一発アウトなワードを出す上市理可に、綾羅木定祐が一喝する!!
ただその間も、根占三四子はさらに次の攻撃をしかけてくる。
「ああ”!! ほんとッ!! いい加減にしなさいよッ!! アナタたち!!」
こんどは上市理可にアイスピックの連撃を浴びせようとするも、
「ちょっと!! もう、これで終わらせるよっ!! 綾羅木氏!!」
と、上市理可は
――シュ、タッ――!!
と、距離を取って回避しつつ、ここで、クソダヌキこと妖狐の妖具より、“魔界植物”を召還しにかかる!!
――シュババッ!!
と、放たれる蔓バラのごとく!!
歪な魔界植物が
――ゴワンッ!!
と大きく!! 根占三四子を包みこむ!!
「うぐッ!? な、何よ!? これッ!?」
と、その根占三四子は回避することができず、魔界植物によって捕縛されてしまった。




