29 時間は待ってくれるものではない。
ただ、そうは不平を言ってても、時間は待ってくれるものではない。
その隙にも根占三四子が距離を詰めており、
「ッ――!?」
上市理可が咄嗟に反応するも、目の前には根占三四子がすでにポジションをとっていた!
――シュ、シュッ――!!
根占三四子は、目にも止まらぬ速さの! 何か突きと思しき攻撃を繰り出してくる!
「くっ!!」
上市理可は下がりつつも、何とか連撃をかわす!
そうしながらも、根占三四子が手にしたその武器がアイスピックであることが見える。
「何それ? アイスピック?」
「そうだけど、それが分かったところで何? ほらほら!! これで貴女も穴を開けてあげるわ!!」
と、根占三四子が答えるも、攻撃の手を緩めない!
「ああ、もうッ!! 何で、私だけこんな!!」
上市理可は苛立ちながらも、連撃を交わし続ける。
ただ、根占三四子の攻勢はそれだけではなかった。
――バサバサ!!
と、相方のキツツキも加勢し、ともに上市理可に“穴”を穿たんとする!
そんな攻勢に、
「うッ――!?」
と、上市理可が少しバランスを崩しかける。
それを、根占三四子は見逃すことなく、いっきに迫る。
「さあ!? 貴女も口に爆弾入れてみる!?」
と、そのまま、根占三四子が上市理可の開きかけた口に爆弾をねじ込まんとするーー!
しかし、
「ぐっ!!」
と、上市理可も歯を食いしばり、何とか寸前でそれを回避する!
そのまま、
――ガシッ!
と、同時に、根占三四子を掴む!
「何――!?」
その根占三四子が反応するも遅く、
「フン、ぬッ――!!」
と、上市理可は合気なのか柔道なのか、そのまま根占三四子を投げ飛ばす!
そうして、
――ドサッ!!
根占三四子は床に音を立てるも、
「ちッ――!!」
と、受け身を取りながら舌打ちするだけで、とくにダメージなく、迅速に立ち上がって復帰する!
その間も、
――バサバサ!!
と、キツツキが羽音を立てながら、上市理可に襲いかかる。
それほど手強い相手ではないものの、正確に頭部の急所を突かんと狙ってくるので、その防御も余裕なものではない。
「ああ! 鬱陶しいって!」
上市理可が、防御のリソースを奪われる。
そうすると当然、スキというのが出るもので、体勢を整えた根占三四子が再び迫る!
「どう? 優秀でしょ!! 私の相方は!!」
根占三四子が言いながら、上市理可に追撃を与えんとする!
その時、
――ブワッ……!
と、どこから現れたのかーー?
何やら網のようなもの具現化され、キツツキを包むように広がった!!
≪――!?≫
キツツキが、ビクン! と怯んだように見えるも、時遅く、そのまま網に包まれて捕縛されてしまえ。
バサバサともがく羽音と、ギギィッなどと鳴き声などが虚しく聞こえながら、もはやキツツキは完全に無力化された。
そんな、突然の出来事に、
「な、に……?」
と、根占三四子がいったん攻撃の手を止め、確認する。
同時に、対する上市理可も、
「ん……?」
と、ゆるりと振り向いて、“確認”した。
「……ちょっ! 遅いし! 綾羅木氏!」
と、上市理可が見た、その先――
そこには、追い付いた相方の、綾羅木定祐の姿があった。




