26 これで、第三のいなり男もコンプリート
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ーーそうして、しばらく。
研究棟にて、綾羅木定祐と上市理可のふたりは、今回の『シン屋根裏の散歩者』事件の犯人こと、根占三四子との追走劇を繰り広げる。
最初は、建物を充分に把握している根占三四子がアドバンテージを取っていたものの、綾羅木定祐と上市理可のふたりは、何とかして根占三四子に追いついてくる。
「うぇひひひぃッー!!! 三四子たんのお尻ペロペロォ! 三四子たんのお尻ペロペロォォッー!!」
「ひぃぎぃっ!? ほんときんもい!! ほんときんもい!!」
と、ハイテンションの綾羅木定祐にドン引きしながらも、根占三四子は天井裏から回避するように、下の研究施設に降り立つ。
ただ、そこで逃すほど、綾羅木定祐と上市理可のクズ人間コンビは甘くはない!
「待ていー!!」
「まみむめ!! みぃよこぉぉー!!」
と、ふたりはすぐさま、根占三四子に追い付きそうになる。
だが、
「フフ……♪」
と、先を行く根占三四子は、どこか余裕の様子で不敵に笑う。
そんな風にして、ただ単調に追うだけの中、
「そういえば、綾羅木氏? 何か、忘れてない?」
「ナニカか――、とな?」
ふと、上市理可は何かの予感がした。
あまりに、すんなりと追跡できていること。
何か、罠とかは、ないのだろうか?
そう、これまで犯行に用いられたのは、確か――
と、そこまで思い起こしたところで、
「むっ!? 理可氏!」
と、綾羅木定祐が、そのナニカの気配に気がつく。
ただ、気づいたときにはすでに、“それら”の上を這おうとしていた。
いつの間に置かれたのか、パチンコ玉より小ぶりな、“ナニカ”――
すなわち、
「ば、爆弾――!?」
「ちっ! いったん出るぞ!」
と、ふたりは寸でのところで気がつき、驚異的な反射神経か! 匍匐前進の姿勢から上へとジャンプする!
それとほぼ同時、
――ボ、ンッ!! ボンッ――!!
と、連続的に爆発が巻き起こった!
それらは、小型爆弾なので爆発こそ小規模だが、直に喰らえば身体に損傷を与えるには充分な爆発だ!
それを、間一髪、綾羅木定祐と上市理可は回避したのだ!
ただしかし、ここもラブ・ホの例に漏れず人が、根占三四子と同じように徹夜で実験に励んでいる者もいるわけだった。
そして、その中には、
「ふぅ……、やっと、一息つけるね」
「ワッフルも、できたよ」
などと、コーヒーに、ワッフルとバターにイチゴソースの甘い香りの漂う中、ティーブレイクの準備をしている、学生もしくは若手研究者と思しき男女ふたり組の姿があった。
そうして、
「さぁ、君のワッフル、食べたいなぁ……♡ 食べたいなぁ♡」
「フフ……♡ いいよ♡」
「ワッフル行っちゃっていいの? ワッフル行っちゃっていいの!」
「いいよ! ワッフル行っちゃって! ワッフル行っちゃって♡」
「うぉ、ぉぉん! ワッフル、ワッフルゥ!!」
イチゴソースの滴るワッフルを、口渡しのようにしようとした、そのとき、
――ポ、ワンッ!!
と、突如として、彼らは気づいてないが足元の空間が開き、そこから、
「ム、ワァァリ――!?」
と、綾羅木定祐がマ〇オが土管から出てくるがごとく現れる!
そして、案の定その位置がちょうど若手研究者の男の股間の位置というーー!
「あッ!? あびょんッーー!!」
男は股間にもろに、綾羅木定祐の頭を喰らって奇声をあげる!
また、いっぽうの綾羅木定祐も同様に、
「ぐっ!? ぐ、わぁぁァァッ!! な、何でここまで来て!?」
と、悶えて地面に転がった。
その、あまりに突然の、超常現象的な出来事に、
「ひぎっ!? な、なに!? なにぃ!?」
と、ワッフル女子が、ソースの滴るワッフルを咥えたまま、たまげていた。
そんな彼らを眺めるようにして、
「おっ! これで、第三のいなり男もコンプリートだね! やったね! 綾羅木氏!」
「うぃ、ぎぎぃっ……! け、汚れた……、完全に汚れちまった……! こ、今回は、今回だけは! 回避できると、思ってたのに……」
「だから、逃げようと思っても、無駄なんだよ? 綾羅木氏。いなりからは、逃げられない運命なの」
と、上市理可が喜ぶという、カオスな光景が広がっていた。
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