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【シン屋根裏の散歩者】  作者: 石田ヨネ
第六章 対決、シン屋根裏の散歩者

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23/31

23 口元からイチゴジャムとホイップクリームを滴らせつつ



          (1)



 早朝のこと。


 ――バサ、バサ


 と、子気味のよい、羽音を立てて。

 まるで、「ただいま」と言わんばかりに、小っちゃい”それ”は戻って来た。

 そう――

 その小っちゃいナニカこそ、鳥の、キツツキだった。

 ただし、そのキツツキの表情はというと、ふつうのキツツキの“それ”とは違った。

 まるで、魔界の使いとでもいうべきか?

 マンガキャラクターのような、イタズラ的で、子憎たらしい表情。

 そして、そんなキツツキが戻ってきた場所はというと、鉄筋コンクリートの建物で、白を基調とした室内には、高性能のパソコンに、様々な実験機器や専門書類と――

 まあ、恐らくは研究室だろう。

 すると、そこへ、 


「――お帰り♪」


 と、先ほどのキツツキ挨拶に答えるように、女の声がした。

 白衣姿に、インテリメガネ。

 やや長い髪を後ろで結った、20代後半か、30代くらいの女――

 女は、名を根占三四子ねうら・みよこという。

 生物と情報デバイスの融合を研究している研究者であり、なおかつ、異能力者でもある。

 そして、このカトゥーンチックな雰囲気のキツツキは、この根占三四子のお気に入りのペットとでもいうべきか、相方のようなものだ。

 電子デバイスと脳を接続したキツツキは、さながら、優秀なスパイのような、高度なインテリジェンス能力を持つ。

 また、この根占三四子の異能力と併せることで、そのクチバシを以って、空間に穴を開ける能力も発動することを可能にする。

 それによって、コンクリートの壁であれ、容易く侵入できるわけだ。

 ゆえに、縦横無尽に様々な建物に侵入し、一連の、穴からの精密爆殺を行うことが可能だったのだ。

 根占三四子は、相方のキツツキに御褒美のおやつをあげながらも、自分のためにコーヒを淹れる。 

 イチゴのジャムとホイップクリームをかけたワッフルなど用意し、少し早いが、優雅なブレックファーストの準備をする。

「フフ♪ まさか、本当に郷田を犯人として捕まえちゃうとはね♪ おもしろ♪」

 満悦な様子で、根占三四子は嗤う。

 その微笑は、目元に徹夜明けのクマが少し残りながらも、インテリ女子のかわいい一面的のようにも見える。

 ただ、その口元はというと、どこか狂気的なものを感じさせていた。

「でもぉ……? その、警察が、犯人と思った郷田が、まさか爆殺されちゃうなんてねぇ……? さあ、どうするかな?」

 根占三四子が、口元からイチゴジャムとホイップクリームを滴らせつつ、悦に浸りながら独り言を口にした。

 そう――

 それは、何とも、愉快すぎる気分だった。

 この一連の爆殺事件の犯人であると確信していた容疑者が、まさか、逮捕をしたその夜のうちに爆殺されることになるとは――

 警察たちの面目は丸つぶれであり、また、自分たちが舐められたことに怒り心頭だろう。

「さて、と――♪ ……でも、私も、次はどうしようかしら?」

 根占三四子は、コーヒーカップを置いた。

 気分はよいのだが、しかし……、その次に何をするかまでは、思い浮かんでいなかった。

 振り返るに、郷田が犯行に関係があると警察にミスリードさせるべく、郷田の歯科医院の客たちを調べてターゲットにし、また、歯科医院に偽装工作をすることに労力の大半を費やしてきた。

 それを、研究の合間を縫って、バレないように行なってきたことは、何ともスリリングだった。

 ただ、郷田というミスリードの材料が使えなくなってしまった以上、別の手を考えないといけない。

 それに、同じような犯行、手口というのも、マンネリ化して飽きがきてしまう。

 ゆえに、

「次は、もっと面白くなるべきことを、考えないとね――♪」

 と、根占三四子はそう言いながら、相方のキツツキに微笑した。

 その時、


「ーーそうだな? 次の面白いネタは、おまいがタイーホされる……、でいいか?」


「――!?」


 と、突然にーー

 どこかからした声に、根占三四子は驚いた。

 そうして、

「……誰、なの? 貴方たち?」

 と、根占三四子が、ゆるりと振り返った先――

「え? 私たちが、答えなきゃいけないの?」

「何だ、それ? ダリぃな」

 などと答える声とともに、

 ーーポワン……

 と、床から開いた穴からは、やる気なさそうな顔した綾羅木定祐と上市理可のふたりが、姿を現していた。

「まさか、爆殺事件の真犯人が、研究者の女とはな……。根占、三四子」

「意外、でした?」

 指差すような視線を向ける綾羅木定祐に、根占三四子がニッコリと笑う。

「……いや、別に」

 と、綾羅木定祐がひと言だけ返す。

「ねー、ねー? どうして私たちが、アナタが犯人だと分かったのか? 知りたくない?」

 今度は、上市理可が根占三四子に聞く。

「さあ、特に……。まあ、話してくれるというなら、聞きますが――」

 と、根占三四子はあまり関心なさそうな様子で答えつつ、綾羅木定祐と上市理可のふたりに、話の続きを促した。



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