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【シン屋根裏の散歩者】  作者: 石田ヨネ
第四章 急展開、頭の悪い鳥

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18/31

18 アイツ、【頭が悪すぎる】のが致命的

『まあ、あくまで、【ちょっとした思いつき】程度だけど』

「ちょっとした思いつきで話すなよ。こっちは、忙しいんだぞ」

『いいじゃない。どっちにしろ、【キツツキ】くらいの大きさの鳥を想定すれば、綾羅木さんたちの、【小っちゃいナニカ説】の幅も広がるかもしれないし』

 不機嫌そうにする綾羅木定祐に、賽賀忍が答える。

 また、上市理可が、

「確かに、キツツキくらいの小っちゃい鳥を考えれば、屋根裏・天井裏に侵入するのも、そう難しくはなさそうですね。音を、どうやって立てないか――、って問題もありますけど……、くちばしで天井板に【穴】を開けて、そこから【爆弾】を落として――」

「まあ、犯行を可能にするポテンシャルがあるにしても、アイツ、【頭が悪すぎる】のが致命的なんだよな。脳みそ小っちゃいし、ゆえに、突っついたときのダメージがゼロだし……、ドングリの隠し方がガバガバすぎて、リスにめっちゃドングリ、パクられるし」 

『ボロクソ、言うわね……』 

 と、賽賀忍が、基本悪口しか言われないキツツキを憐れんだ。




          (3)




 そのまま、夜になって――

 綾羅木定祐と上市理可のふたりは、まだ洋館の執務室にて、考えていた。

「キツツキ、か……」

 綾羅木定祐が、少しくたびれた様子で、椅子にもたれながら呟いた。

 その片手には、ワイングラスに注がれた赤ワインのごとく――

 ドクターペッパーが、ゆらゆらと揺れながら。

「確かに、鳥だと――、キツツキくらいの小っちゃい鳥だとすると、気づかれずに侵入して、穴を開けて……、爆弾を投下するってのも、可能なのか?」

 綾羅木定祐が半信半疑ながら、先ほど上市理可が言った内容を、想像しながら口にしてみた。

 その上市理可も、

「……」

 と、ジトッ……とした目で、ドクターペッパーの入ったグラスを眺めている。

 なお、その横には、四角く硬い【ソリッド・プリン】の食いかけが、皿に置かれているという。


 また、綾羅木定祐が、

「ただ、しかし……? あの、【頭の狂ったようなキツツキ】が、そんなこと、できるのかね?」

「何か、【武闘派狂人】みたいな、カッコいい響きだね」

「おだ、まり。それに、屋根裏・天井裏に侵入するにしても、だ? 隙間の多い、古い家ならまだしも、マンションとかの現場もあるわけだし……、小さい鳥とはいえ、そんな簡単に、侵入できるかね? ネズミとかいった小動物連中のほうが、まだ、現実的でないか?」

 と、問題点をあげる。

 聞いていた上市理可は、ドクペのグラスを持ちつつ、

「まあ、それは【たし蟹】なんだけど、綾羅木氏――? もし、【小っちゃいナニカ】が【キツツキ】だと仮定するとしても、そのキツツキが、【普通のキツツキではない】とすると」

「【普通のキツツキではないキツツキ】、とな?」

「うん」

 ときて、

「……」

 綾羅木定祐が、ドクペのグラスを持つ手を

 ――ピ、タッ……

 と、ドクペのグラスを持つ手を止め、すこし考える。

【普通の】、頭のイカれたキツツキと、【普通じゃない】、頭のイカれたキツツキ――

【普通の人間】と、自分たちのように、異能力であったり、あるいはクソダヌキこと妖狐の妖具を扱えたりする、いちおうは【普通でない側の人間】と――

 そこまで、比較も交えて考えたところで、

「――それは? 【異能力を使えるキツツキ】か……、もしくは、【異能力者か何者かの操作の手が加わったキツツキ】、か?」

 と、綾羅木定祐が、何かひらめいたかのように答えた。

「おっ? ご名答です、綾羅木氏」

「ご名答じゃないが。何? その、『自分は分かってたぜ』的なノリ。まあいい……、確かに、仮にキツツキが異能力を使えると仮定すれば、先ほど言った【問題点】をクリアして、犯行を行える可能性があるか」

「私たちが、ラブ・ホで使ったような能力があれば、ちょっとした外壁をすり抜けるってのも、ワケないでしょね」

「それで、サイレンサー的に天井板に【穴】を開けて、あとは、【爆弾】を落とせば完璧――、っと」

 と、綾羅木定祐が、ドヤっとして言い終わりをキメる。

 まだ【仮説】――

 それも、【突拍子の無い仮説】の段階にもかかわらず……


 それは、さておき、

「そうする、と? 【キツツキ的な小っちゃいナニカ説】を押すとして……、さて? それを、どう調べるかが問題だな」

「そろそろ、ドラえもんにも働いてもらわないとね」

「おっ? そうだ。まったく、あのドラえもん野郎、いったい? いま、何をしてるんだ」

 とここで、箱根に行って久しい――、存在感を無くして久しい、妖狐の神楽坂文のことを思い出した。

 同時に、綾羅木定祐がスマホを手にしており、


 ――コロン、コロン♪ コロン、コロン……♪


 と、しばらく鳴らしていると、電話はつながる。

「おいコラ、クソダヌキ」

『はぅ、』

「いま、どこにいるんだ?」 

『ふむ。まだ【箱根】に、おる。いま、口マンスカーで帰ろうと思ってな』

 と、電話の向こうでは、黒のアサシンドレス姿で優雅に、妖狐は答える。

「は? ふざけてんのか、このドラ焼き野郎。人様が事件を調べているというのによ?」

 苛立って見せる綾羅木定祐に、

「ほんそれ。あと、【タケノコ】忘れてない? 忘れたら、死刑でどうぞ」

 と、上市理可が横から添える。

「おお、そうだ。タケノコ、掘ってこいな? 忘れたら許さんぞ、クソダヌキ」

『まあ、そういきり立つな。それで、本題は何だ? 調査は、どれくらい進んだのだ?』

「ああ、それについては、な――」

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