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 化け物車が三台、こっちを見ていた。

 舌なめずりをしていた。


 よし。

 そこで死ね。


 一本を松明がわりに、二本目に火を点ける。

 そして、おもむろに投げる。

 真ん中でボンネットを大きく開けて笑っているスポーツカーの口の中めがけて。

 そのタイミングに合わせて、化け物はボンネットを閉じる。すると、隙間から炎があふれ、苦悶の叫びとともにボンネットを再び開いた。


「viiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii」


 叫び声はクラクションの音。

 追い打ちでもう二本、まとめて投げ込む。

 ガラスの割れる音とともに、炎が高く上がる。


 合わせて、もう二台にも投げつける。

 化け物車は、炎に包まれながら、こちらへと向かってきた。


 テント設営用のペグの束をバラまく。

 タイヤがパンクする音。

 ズルズルとホイールではいずりまわるようにこちらを目指してくる。


 ふむ。パンクした。

 あれ、ちゃんとしたタイヤなんだ。

 うねうね動いているから、丸い形をしただけの脚部かも、とは思っていた。


 と、余計なところで感心する。


 その気の抜けた一瞬、背後でもう一台の化け物車がおおきな口を開けていた。

 それも、蛇が鎌首をもたげるように、大きくボディを持ち上げて、俺の首を狙っている。


 あわてて避けるものの、長い舌が首に巻き付く。

 唾液が気持ち悪い。


 くそ。


 舌にピッケルのピックを突き刺す。

 叫び声とともに、舌が巻き取られる。


 咳き込みながら化け物を見る。

 そこにチャンスがあった。


 大きく持ち上げたボディは、ガソリンタンクをむき出しにしていた。

 俺は、そのスチールのタンクに向かって、ピッケルを叩きつけた。

 本来なら鋼板でできているはずのそれは肉だった。


 若干固いが、たしかに肉の感触のそれに、ピッケルのピックがめり込んでいく。

 そして、液体が噴出した。

 オイルでも血液でもない、透明な液体。

 ガソリンだ。


 俺はライターを取り出し、そのまま投げ入れる。

 刹那、化け物車は、燃え上がった。


 燃え上がったまま、視力を失ったと思しきよたよた感で、そのままもう一台の化け物車に近寄っていった。

 そのまま、巻き込む形で爆発した。



 この化け物車、いろいろとわかってきた。

 見た目以上に車だ。

 だけど、それが全部生き物の肉で置き換えられている。

 ライトが眼球になるのは、似た構造だからだ。


 おそらくエンジンもあるのだろう。

 ボンネットから見える、牙と舌の間には、内燃機関を模した心臓か何か。


 おそらくは銃で撃てば、こいつらは殺せる。


 ただ、拳銃程度では難しいだろう。

 使うなら、大口径の狩猟用ライフル。


 そう。


 猛獣狩りだ。



 とは言え、今は次だ。

 次へ行こう。


 ダイナー。

 ロイヤルグリルって言っていた。

 一体、どこなのか。



 通りには車は走っていない。

 早朝とは言え、無人の町。


 少し違和感を感じつつ、電話で告げられた店名を探す。


 あちこちの店舗の駐車場には、何台かの車が見える。


 ただし、ただの車だ。

 変形しているわけではない。


 起きださないうちに、と少し焦る。

 とりあえず動く様子はない。

 ふと見ると、遠くに看板があった。

 ロイヤルグリル。


 まずはそこに向かって。


 俺は足を速めた。

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