第6話 確実なこと
第6話 確実なこと
(渋):かなりいいぞ、ゾンビに喋らせる事が
出来るというのを証明した。
(進ゾ):お、俺。……ゾンビ?
(渋):すごい。ゾンビまで喋ったぞ。ゾンビが
ゾンビって。
(進ゾ):何か……付いてる……取って。
(渋):おお。まずいな、取れって、……これ
無視したら実験が終わるかもな。牢からは
出さないが、枷くらいは外してやろう。
カチャカチャカチャカチャ。
(進ゾ):取れた…取れた。オマエ、パパ?
(渋):凄い、そ、そうだ。俺が君のパパだ。
(進ゾ):パパ!……パパ!
(渋):おお。いいよ。
(進ゾ2):アレ?オレ?ドレ?
(渋):こっちも喋ったぞ。遂に俺の研究に
ゴールが見えてきた!か、勝ったぞ!
これで真田少年に勝てるぞ!
(ナ):再び貴哉らへと場面は変わる。貴哉が
合流してから3週間経ち、貴哉の見た目にも
完璧に慣れてきた彩華ら。誰も貴哉の事を
不思議がることが無くなった。
(ゾ)ウォー!グォー!
(貴):おりゃ!とりゃ!……ふぅ。
(戸):なあ、貴哉くん。
(貴):どうしました?
(戸):そんなに戦ってて疲れないの?休憩とかしてないし。
(貴):ああ、そういえばこの姿になってから
一度も休憩とかしてないですね。疲れない
みたいで。
(戸):ああ、そう。なら、良いよ。ただ、
急に倒れたりされると困るからな。
(貴):はは。大丈夫ですよ。
(ね)(の):お疲れ様です!先輩!
(貴):おう。
(ね)(の):(ふふ。かっこいい。)
(彩):(全く、いちゃつくのは皆んなの見えない
所でして欲しい。)
(愛):(あの双子ちゃん、たかちゃんのこと
好きなのかな?まあ、可愛いし、たかちゃんもまんざらじゃなそうだし。)
(紗):ねねさんののさんだけずるいです!
たか兄を私も癒したいです!
(貴):さ、紗季。落ち着けって。
(ね):妹だからって自由にはさせませんよ!
(の):愛奈さんが来ないだけどうにかなってるわね。
(愛):呼んだ?
(ね)(の):うわっ!
(の):別に呼んでません。
(愛):そう。愛奈って聞こえた気がしたけど
気のせいか。
(貴):ちょっと待って、まなお姉ちゃん!
助けて!いっぱいくっついてるんだよ!
(愛):そうね。ほら!離れなさい。
あんまりくっ付いてるとたかちゃんが
あなた達を癒してる事になるよ。
(ね)(の)(紗):はーい。(最初から癒して
もらってるし。)
(戸):よし、今日はここで休もう!
(彩):はぁ〜。やっと休める。
(ね):あら?彩華先輩、もう疲れたんですか?
(彩):そうね。疲れた先輩を気遣うのが後輩
でしょ?
(ね):そ、そうですね……。(うぅ〜。怖!)
(の):ねね!こっち手伝って!
(ね):はーい。先輩、すみません。呼ばれ
ました。
(彩):どうぞ、行ってきて。
(ね):失礼します。
(戸):よし、こんなもんだろう。これで
休憩できるな。
(愛):さきちゃん、ここにしようか。
(紗):うーん。
(愛):どうしたの?
(紗):たか兄のとこが良い。
(愛):そう思うのも仕方ないけど、
たかちゃんは1人が良いって。
(紗):で、でも!
(愛):分かった。直接聞いてみようか。
(紗):うん!
(紗):たか兄!一緒に寝ようよ!
(貴):ん?……あ、紗季か。ごめんね。
たか兄ね、寝ないんだよ。
(紗):え?
(貴):ほら、俺こうなってるじゃん?
(紗):うん。
(貴):それで、寝れなくなったんだよね。
全然眠たくないんだよね。
(紗):え〜!たか兄だけずるい!
(愛):ずるい〜。じゃなくて、仕方ないんだよ。
(紗):うーん。わかった。おやすみたか兄。
(愛):おやすみ、たかちゃん。
(貴):おお。おやすみ。
(彩):貴哉くん、少し話があるんだけど。
良いかな?
(貴):え?あ、ああ。いいよ。(え?急に何?
彩華さんが俺に話だって?一体なんだ?)
(彩):じゃあ、こっちにきて。
(貴):わ、分かった。
(ね):(ん?何してるんだろう。貴哉先輩が
彩華先輩と2人きりでどっかに行ってる。
怪しい。)
(彩):あのさ、この前行った研究所みたいな
所覚えてる?
(貴):ああ。覚えてるよ。(なんだ、そんな
事か。)
(彩):そ、そこでね。何もないって言ったんだけど、実はね、あったの。
(貴):え?なんで言わなかったの?食べ物とか
だったら皆んなに怒られるよ?
(彩):そうじゃないんだよね。
(貴):あ、そうなのか。どんなの?
(彩):それが、これなんだよね。
(貴):………、これって……。
(彩):ゾンビと貴哉くんに関する資料。
(貴):あ、そうなんだ。読んでいい?
(彩):良いよ、その為に呼んだから。
(貴):さてなんて書いてあるのやら。
(……。そ、そうかそういう事か。急に様々な
事に関して納得がいった。)俺って、渋野木
教授に利用されていたのか。
(彩):貴哉くんって時々ゾンビを食べてた
よね。
(貴):え、い、いや、そんな……。
(彩):隠さなくても良いよ。知ってるから。
(貴):え、そうなの?
(彩):ええ。見たことある。かなり驚いたけど
これを見て納得がいったの。あと、私ホラー
には慣れてるから大丈夫。
(貴):そ、そうか。まあ、他にもあるんだけど
聞いてくれる?
(彩):別に良いよ。
(貴):ゾンビと同じことばっかだけどね。
(彩):だってゾンビのハーフみたいな感じ
だしね。
(貴):ふっ。たしかに。まずは、飯がいらない
ところかな。
(彩):ああ。でもさ、皆と居るときは食べてるよね?
(貴):まあ、食べても良いんだけど、あんまり
味しないし、食べなくても平気なんだよ。
皆の前では怪しまれないように食べてる
だけ。
(彩):へぇ。そうなんだ。そういえば
食べる量、前より少ないよね。
(貴):そう。あんまり食べると勿体無い
からね。それから、痛みがなくなった事
かな。
(彩):え、そうなの?……そういえばあの時
痛いとか言ってなかった。
(貴):あの時って?
(彩):この前ねねちゃんを庇った時。
(貴):ああ。あれか。
(彩):本当に痛くなかったんだね。
(貴):ああ。傷は残るけどそのうち治る。
(彩):そうなの。
(貴):まあ、治るスピードは普通くらいかな。
(彩):ヘぇ。じゃあ、骨折とかの大きい傷は?
(貴):骨折の時は寝ればある程度くっ付く。
(彩):速っ!
(貴):腕とか足とかがとれた時、ものが有れば
その場でくっ付く。
(彩):え?その場って……。
(貴):切り傷程度までは高速で治る。
(彩):ええええ!凄すぎ!
(貴):まあ、切り傷まで治ったらそっからは
人間と同じになるよ。
(彩):なんか変だね。切り傷は速く治らない
のに骨折とかとれたりしたら速攻でくっ付く
なんてね。
(貴):まあ、確かに。
(彩):他には?
(貴):ん〜。身体能力の急速な向上とか、
強力な力とか、視覚・聴覚・嗅覚の進化
とか?
(彩):ゾンビというかスーパーヒーローに
近いね。
(貴):そんな大層なもんじゃ無いよ。
(彩):そう?私は凄いと思うけど。
(貴):あ、ありがとう。(ふぃ〜。恥ずい。
というか俺普通に喋ってね?彩華さんて、
俺の事どう思ってんのかな。やっぱ眼中に
無いよな。)
(彩):ねぇ、別の事聞いて良い?
(貴):別の事って?(え?急になんの話?怖いな。俺なんか彩華さんに悪い事したかな?)
(彩):この前、ねねちゃんと2人きりになった
時の事。
(貴):あ、ああ。そ、それか。(ぎくっ!
ま、まずいな。ねねと何してたかなんて
言えねぇ。ねねにも口止めされてるし。)
(彩):焦り過ぎよ!も、もう分かったわ。
(貴):え?(や、やばい。今の俺のリアクション
でバレたのか?ねねに怒られる!)
(彩):あのさ、もう分かってるから、私も
したい。ねねちゃんと貴哉くんがやってた事。
(貴):え、え、え、え?ちょっ、ちょっと
待てって。(やばいってなんだよこの展開、
本気でバレたらねねに怒られる。)
(彩):もう、慌てないで。(恥ずかしい、私何
言ってるんだろう。)
(貴):ごめん。この事、ねねには言わないで
くれない?言うと怒られるから。
(彩):もちろん。私も言えないし。
(ナ):この後何があったんでしょうかね。
無論、ねねと貴哉の時も分からなかったので
今回も分かりませんね。気になる……。
ん、ん!(咳払い)ということで、貴哉の
能力が少しばかり紹介され、何となく読めてきた。ゾンビに対しまだ何かがある渋野木。
次回、2115年に生きる者たち。第7話、
迫間谷という男。
第6話 完