ナイトメアサイド
「ああ、クソ。なんでおまえらに思い出されなきゃなんねぇんだよ。てか、いつの間にか人増えてるし。」
すべて思い出した、ずっと思い出したくなかったんだ。あの子の自殺を止められなかったこと、それが俺にとって追いかけてくる殺人鬼みたいに怖くて怖くてしかたなかった。でも、いい加減克服したくて確か占い師に相談した。そこで声をかけてきたのが自称大学生占い師のメアさんだった。そのあとは先に行ったとおり、ミサンガの力を使って自分の夢を通じてそのトラウマを克服しようとしていたんだ。最初は眉唾ものだと思っていたが、今なら分かる。冷静に考えればあれはあいつが、夜霧がおかしかっただけなんだと思う。それはそうとして、今は別の問題を抱えている。いつの間にか照井のような輩が二人三人、いや十人はいた。しかもそれらは全員見知った顔だった。
「はあ、クラスメイトは殴りたくねえな」
「ハア」
「ナンダヨ」
「イツモスマシガオデ」
「ツヨイヤツアピールシアガッテ」
その他諸々どうたらこうたら、一言うと十返される。さすがにどうするか思案して、ようやく思い出す。
「やべえ、気絶したら起きられねんだ。」
本当に逃げるしかない。雷のような重く強い思考が全身を貫いて冷や汗がにじみ出る。そう思ったときにはもう足が動いていた。
幸い、非常口の鍵は開いていた。すぐに扉を開けて外へ跳び出した。空は紅に染まりつつ、わずかに藤色のオーロラが見えた。裏口から校庭へといたる少し狭い道をスーパーカーの勢いで走り抜ける。そのまま、最初に来た校庭の入り口にある金属製の円柱ポールの間を抜けて、
パチッと、目が覚める。