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逃げるな
特別教室棟の廊下の突き当たりに二階へ続く階段と体育館へと続く通路との分かれ道がある。
俺は、体育館へと向かい、そこにある非常用出口から外に出ることにした。途中、窓から見える空が紅いのが見えた。
体育館の入り口を勢い良く抜けて、その中央付近から非常口が閉まっていることを確認する。その時、照井の奴がこちらにやってくるのが見えた。どうやら振り切れていなかったらしい。
「なあ、さっきから逃げるなって行ってるよな! まさかわざと無視してるとかじゃないだろ、なあ龍之介」
「包丁持って追いかけてくる奴の話なんか聞きたかねえよ」
「逃げるなよ、おまえがほんとに向き合いたいのは七瀬の事じゃないダロ」
七瀬、つまり樹のことだ。しかしなんだ。本当に向き合いたいこと? 突然何言い出すんだ。俺が本当に思い出したいこと。この夢の世界で。それは……。